動画編集の仕事で正社員になれる?未経験から転職成功するポイント3点
[最終更新日]2025/10/25

 近年、情報発信の手段として「動画」の需要が急増しています。
 YouTubeはもちろんのこと、SNSや広告媒体などで動画を目にする機会が増えていることは、多くの人が実感しているところではないでしょうか。 
動画コンテンツが増えているということは、それらの動画を編集する仕事の人材ニーズも増していることを表しています。
目次
1)動画編集の正社員は未経験から目指せる?

動画編集の仕事と聞くと、副業やフリーランスのイメージが強い人も多いはずです。そもそも、動画編集の仕事で未経験から正社員を目指すことはできるのでしょうか。
 結論から言うと、動画編集の仕事で正社員になることは「可能」です。
 前述の通り副業ワーカーやフリーランス向けの案件が多いものの、動画編集者を正社員採用する企業も存在します。
 そういった企業を探して応募することで、動画編集者として正社員になることができるのです。 
 ただし、正社員の求人は決して多くありません。
 また、純粋に動画編集だけを担当するケースはまれで、顧客折衝、スタッフ管理のほか、関連するデスクワークを兼任することも少なくありません。 
副業ワーカーやフリーランスとして動画編集を担当する場合と比べると、正社員はより手広くさまざまな仕事に携わることを想定しておくほうがよいでしょう。
動画編集の正社員を募集している主な業界は?

動画編集の正社員を募集している企業として、最も多いのは「映像制作会社」です。
 広告コンテンツや結婚式用の映像といった動画を受託制作している企業で、クリエイターやディレクターとして勤務するパターンがよく見られます。
 そのほか、YouTubeチャンネルのディレクション業務を中心に受託している企業もめずらしくありません。 
制作する映像のジャンルはさまざまですが、共通して見られる傾向として下記の点が挙げられます。
- 動画編集やディレクションの経験者を求めている企業が多い
 - 映像制作全般(企画やAD、監督なども含む)を担当することもある
 - マーケティング会社であれば、マーケティング施策の一部という位置づけ
 
つまり、純粋に動画編集だけを担当するというよりは、映像制作のプロフェッショナルとして職務を遂行できる人材が求められているのです。
2)動画編集で正社員になる際に求められる経験・スキル

動画編集で正社員を目指す場合、副業やフリーランスの動画編集者として案件を受託する場合と比べて幅広いスキルが求められます。
シンプルに「動画編集を担当したことがある」というだけでは通用しないことも考えられるため、必要とされる経験・スキルを把握しておくことが大切です。
具体的には、次に挙げる4つの経験・スキルが求められます。
Adobe Premiere Pro、Final Cut Proなど動画編集ソフトを扱えるスキル
 動画編集者に求められるテクニカルスキルとして、動画編集ソフトのオペレーションスキルが挙げられます。
 Adobe Premiere ProやFinal Cut Pro、Adobe After Effectsといった動画編集ソフトをはじめ、Photoshop、Illustratorといった画像編集ソフトを扱うスキルが求められることもあります。 
 注意点として、上記のようなソフトを「扱えればよい」のではなく、「扱えることが最低条件」とされている求人が少なくありません。
 動画のカットやテロップ入れ、BGM挿入、サムネイル作成といった動画編集に関する業務は一通り経験していることが応募要件になっている求人も多いのです。 
どのソフトを主に使用するかは、応募先の企業によって大きく異なります。応募を検討する際には、使用経験が必須とされているソフトの種類をよく確認しておくことが大切です。
コミュニケーションスキル(ディレクションスキル)
動画編集で正社員として就業する場合、ディレクションを担当するケースもよく見られます。
副業やフリーランスとして動画編集に携わったことがある人は、ディレクターから送られてくる要件や指示書に従って編集作業を進めてきた人も多いはずです。
正社員になると、要件や指示書を「送る側」に回ると捉えておくとイメージしやすいでしょう。
 編集チームのメンバーをまとめつつ、クライアントとの折衝も担当することになるため、コミュニケーションスキルは欠かせません。
 クライアントの要望を的確に引き出すヒアリング力、予算を踏まえた制作費の見積、スケジュール調整といった総合的なディレクションスキルが求められる仕事といえます。 
マーケティングスキル
 世の中で必要とされている動画の大半は商用コンテンツです。
 アート作品として動画を制作するわけではないので、成果物によってクライアントの売上伸長に寄与したり、集客に役立ったりするなどの具体的な効果が求められます。 
 こうした成果を挙げていくために必要となるのがマーケティングスキルです。
 動画を制作する目的やゴールを俯瞰的に捉え、「指示通りに制作する」のではなく「求められる成果を達成するために制作する」スキルが必要となるでしょう。 
 ペルソナの設定をはじめ、ターゲットに対して効果的に訴求するための施策を提案できるスキルが求められます。
 動画編集を「編集作業」と捉えるのではなく、コンテンツマーケティングの一環と捉える感覚は必須となるはずです。 
SEO・アナリティクスに関する知識
動画編集の仕事は、動画を編集して納品すれば完了するわけではありません。たとえば、クライアントが「再生回数をもっと伸ばしたい」「チャンネル登録者数を増やしたい」といったことを要望しているのであれば、納品した動画の効果を測定し改善につなげていく必要があるからです。
ロジカルに成果を出していくには、SEOに代表されるWebマーケティングの知識が必須となります。また、効果測定にはアナリティクスに関する知識も求められるでしょう。
 動画編集ソフトを使って動画を制作できる人材は大勢いますが、マーケティング効果の高い動画を制作できる編集者はごく一握りです。
 SEOやアナリティクスを使いこなし、クライアントの要望に応えられる動画編集者を目指すことは、人材価値を高めることにもつながります。 
3)動画編集正社員の年収とキャリアパス
動画編集正社員の平均年収

正社員の動画編集者の平均年収は399万円(※)です。ボリュームゾーンは282〜351万円(※)のため、実際には平均年収に届かないケースも多いことが想定されます。
ただし、一部には動画編集者として高収入を得ている人もいます。経験やスキルによっては年収800万円以上を目指すことも可能です。
正社員の動画編集者の年収は?
- 全体として平均年収はやや低め
 - 平均的なスキルの場合は年収282〜351万円が想定される
 - 経験・スキルが高く評価されれば高収入も実現可能
 
 以上のことから、動画編集で正社員を目指すのであれば一定以上の経験は必須といえます。
 完全な未経験の状態から正社員を目指すのは現実的ではないので、副業などで動画編集の実績を積んでおくほうが得策でしょう。 
※求人ボックス 給料ナビ「動画編集の仕事の年収・時給・給料」より引用
動画編集正社員の将来性
動画編集者という職業の将来性を考えるとき、大きく2つの視点を持っておく必要があります。1つは動画そのものの市場という視点、もう1つは職業として存続可能かという視点です。
 動画の市場は年々拡大傾向にあり、今後は5Gが普及していくことを見据えると、さらに需要は拡大していくと予想できます。
 下図は動画広告の市場規模について、2021年までの実績と2022年以降の予測を示したものです。今後も動画市場が順調に伸びていくとの予測が発表されています。 

(サイバーエージェント オンラインビデオ総研/デジタルインファクトによる調査結果から引用)
 ただし、動画編集者という職業は淘汰が進むことも十分にあり得るでしょう。
 たとえば、テロップ入れの作業は徐々にAIによる自動処理へと代替され始めています。 
一方で、単純なフルテロップではなくコンテンツの要旨・概要を分かりやすく示すためのテロップを入れるには、コンテンツの趣旨を十分に理解していなければなりません。
「編集」という仕事の本義に立ち返り、得意なジャンルや専門分野を確立していくことが、動画編集者として活躍し続けていくための土台となるでしょう。
動画編集正社員のキャリアパス

動画編集の正社員としてのキャリアパスには、大きく分けて3つの選択肢があります。
専門分野に対する深い知見を備えたスペシャリスト
特定のジャンルの動画編集に造詣の深いスペシャリストとして活躍するキャリアが考えられます。
たとえば「投資」に強い動画編集者、「法律」に強い動画編集者といったように専門分野を確立することで、他の動画編集者との差別化を図ることができるでしょう。
マネジメントスキルに長けたディレクター
1人の動画編集者というポジションから、チームをまとめ上げるマネジメントスキルに長けたディレクターを目指す方法です。
映像制作が大がかりになればなるほど、携わるメンバーの人数も増えていきます。大規模なプロジェクトを一手に引き受けられるディレクターになれば、高収入を目指すことも可能です。
動画編集を受託するフリーランスや制作会社として独立
正社員としてのキャリアを礎に、フリーランスに転身したり制作会社を立ち上げたりする道もあり得ます。
 動画編集者として十分な実績と信頼があれば、会社組織を離れたとしても取引先の確保は可能です。
 独立後は案件の獲得も重要な仕事となるため、会社員のうちから多方面で信頼関係を構築していく必要があるでしょう。 
4)未経験から動画編集正社員への転職を目指す際のポイント3点
動画編集未経験の状態から正社員を目指すには、どのような点を意識しておく必要があるのでしょうか。
完全な未経験の状態ですぐに正社員になるのは現実的ではありませんが、着実に準備を進めていくことで正社員を目指すことは可能です。
次に挙げる3つのポイントを押さえて、正社員への道を一歩ずつ歩んでいきましょう。
ポートフォリオの作成は必須

動画編集者としてのスキルレベルや実績は、職務経歴書などの応募書類に記載します。
 しかし、動画編集のようにクリエイティブ系職種の場合、職務経歴書以上に重要視されるのが「ポートフォリオ」です。
 過去に携わった動画集があれば、スキルレベルや実績は一目瞭然でしょう。正社員求人への応募時には、ポートフォリオの提出が必須になると考えてください。 
 人によっては「初心者なので、ポートフォリオを用意するのは難しい」というケースもあるはずです。
 その場合は、まず副業ワーカーとして動画編集に携わり、実績として公開できる案件を確保していくことをおすすめします。 
動画作品を掲載できるポートフォリオ作成サービスが複数ありますので、作品のストックを増やしていきましょう。下記は無料のポートフォリオ作成サービスの一例です。こうしたサービスで作成したポートフォリオが、動画編集者にとって「名刺代わり」となります。
ポートフォリオ作成サイトの一例
- foriio:最短30秒でポートフォリオが作成できる
 - MATCH BOX:履歴書・職務経歴書の作成も可能
 - Strikingly:デザイン性の高いテンプレートが充実
 - Portfoliobox:無料プランで10ページまで作成可能
 
動画編集にまつわるスキルに加え、クライアントの分野に関する知見も必要

 動画編集ソフトをある程度扱える人材は数多くいる中で、高収入を実現する動画編集者は「特定分野における強み」を持っています。
 クライアントが求める品質の動画を制作するには、視聴者が必要とする情報を把握した上で動画編集に取り組む必要があるからです。 
たとえば、マーケティング分野の動画を編集するにあたって、テロップやサムネイルを作成するケースを考えてみます。
初心者向けの解説動画であれば、出演者が「LTV」という言葉を使った際に「LTV(顧客生涯価値)」というテロップを入れたほうが親切でしょう。
 しかし、動画編集者自身にマーケティング関連の基礎知識がなければ、こうしたテロップの必要性を判断するのは容易ではありません。
 動画編集者としてキャリアを築いていくのであれば、担当する動画ジャンルに関する興味関心や知見は不可欠です。常に知識をアップデートしていくための調査力や理解力も求められるでしょう。 
動画編集の仕事に強い転職エージェントを活用する

動画編集者の求人を探すなら、動画編集の案件に強い転職エージェントを活用するのがおすすめです。
 前述の通り動画編集の案件は関連業務も含めて裾野が広いため、得意とする動画編集ソフトがあれば各サービスサイトの求人検索で「フリーワード検索」を利用するとよいでしょう。
 そのソフトを扱える人材を探している企業を見つけやすくなり、自身の適性に合った案件を効率よく探すことができます。 
また、TwitterなどのSNSで動画編集の案件を募集している企業を探すのもおすすめの方法です。
 SNSでの人材募集は拡散性・即時性の面で優れているため、今すぐ実務を始められる人材を求めている企業が少なくありません。
 副業などを通じて実務経験を積んできた人は、気になる企業の担当者にDMを送ってみましょう。
 転職サイトよりもスピーディに採用が決まることもめずらしくありません。 
 自分に合った企業や案件が分からない場合や、スキルレベルに不安がある場合は、転職エージェントを通じて企業を紹介してもらうことをおすすめします。
 転職エージェントのアドバイザーに応募書類の添削や面接対策を実施してもらえるため、選考通過率を高めることができるはずです。 
5)動画編集の仕事への転職におすすめの転職エージェント
doda
なるべく早く転職を済ませたい人におすすめ
dodaは「なるべく早く転職したい」という人におすすめの転職エージェントです。
常時20万件を超える求人を保有していること(2024年8月現在)、担当エージェントが積極的に求人紹介を行ってくれることから、「希望にマッチした求人が見つかりやすい」のが特徴です。
また、dodaは求人を自分で探して応募する「転職サイト」と、求人紹介から企業への応募、日程調整までアドバイスしてもらえる「転職エージェント」両方のサービスを利用できます。
 「まずは自分で動画編集の求人をじっくりチェックしたい」という場合は転職サイトのサービスを利用するとよいでしょう。
 その後「応募や企業への交渉についてサポートしてほしい」となったときに、エージェントサービスに切り替えることもできます。
dodaの特徴
| 特徴 |  
  |  
|---|---|
| サービス対応地域 | 全国 | 
| 動画編集関連の公開求人数 | 約200件(2024年8月現在) | 
リクルートエージェント
動画編集の求人を数多く比較検討したい人におすすめ
 リクルートエージェントは国内No.1の求人数の転職エージェントです。
 転職先を選ぶにあたって、なるべく多くの求人を比較したい人に、リクルートエージェントはおすすめです。 
動画編集関連の求人は、約200件(2024年8月現在)。他のサービスと比べて、比較的多くの動画編集求人にアプローチできるはずです。
また、リクルートエージェントでは、企業の特徴から選考のポイントまでをまとめた「エージェントレポート」を利用できます。
 とくに未経験から動画編集の仕事に就く際は、事前に入念なリサーチが欠かせません。その際に、レポート情報はあなたの活動に大いに役立つはずです。
また、担当アドバイザーもこれまでの実績をもとに動画編集への転職に関する有益なアドバイスを提供してくれるでしょう。
リクルートエージェントの特徴
| 特徴 |  
  |  
|---|---|
| サービス対応地域 | 全国 | 
| 動画編集関連の公開求人数 | 約200件(2024年8月現在) | 
ワークポート
全国47都道府県すべてに拠点を展開。キャリア相談はじめ対面での面談を強化
ワークポートは「IT・Web業界でキャリアチェンジしたい」と考えている方におすすめです。
ワークポートは様々な業種・職種を扱う総合型転職エージェントですが、とくにIT・Web・ゲーム業界への転職支援に強みがあります。
 全国都道府県に拠点を展開し、キャリア相談はじめ対面での面談を強化しています。
サービスを利用した人からは、「経験が浅くても求人を紹介してくれた」「必要なスキルについて詳しく教えてくれた」など、手厚いサポートを裏付ける評判が多く見られました。 
ワークポートの特徴
| 特徴 |  
  |  
|---|---|
| サービス対応地域 | 全国 | 
| 拠点 | 全都道府県 | 
| 動画編集関連の公開求人数 | 約100件(2024年8月現在) | 
マイナビクリエイター
エージェントによる丁寧なサポートが欲しい人におすすめ
マイナビクリエイターは、Web・ゲーム・IT業界に特化した転職エージェントです。
 同サービスでは、サポートの強みとして「専門性」、「マッチング力」、「満足度」の3点を挙げています。
 今回が初めての転職の方や新たな業界や職種をチャレンジする方は、マイナビクリエイターのサポートが特に役に立ちやすいでしょう。 
動画編集・映像クリエイターに関する求人は約100件あります(2024年8月現在)。
マイナビクリエイターの特徴
| 特徴 |  
  |  
|---|---|
| サービス対応地域 | 全国 | 
| 動画編集(映像クリエイター)の公開求人数 | 約100件(2024年8月現在) | 
【まとめ】動画編集で正社員を目指すなら、長期的なキャリア形成の視点が重要
動画編集の仕事で正社員を目指すのは可能ですが、長期的なキャリア形成には担当ジャンルに対する深い知見など、動画編集+αの知識・スキルが求められます。
正社員になることをゴールにするのではなく、正社員になってから何を実現したいのかをよく検討しておく必要があるでしょう。
 今回解説してきたポイントを参考に、ぜひ動画編集の仕事で正社員を目指してください。
 高い専門性を備えた動画編集者として評価されれば、希少な人材として長く活躍し続けていくこともできるはずです。 






