未経験からScalaエンジニアへ転職するには？年収・仕事内容・成功のポイントを解説

Scala（スカラ）エンジニアへの転職を考えるなら、まずはScalaという言語が「どのようなもので、なぜ今注目されているのか」を知っておくことが大切です。

ここではScala言語の基本的な特徴から、Javaとの違い、そして最新の開発現場でどのような役割を担っているのかを、分かりやすく解説していきますね。

Scalaの概要：オブジェクト指向と関数型プログラミングの「良いとこ取り」

Scalaは、2000年代前半に公開されたプログラミング言語です。

Scalaの最大の特徴は、「オブジェクト指向」と「関数型プログラミング」という2つの異なるプログラミングスタイルの“良いとこ取り”をしている点にあります。

少し難しく聞こえるかもしれませんが、特にJavaなど「オブジェクト指向」の言語を経験した方には馴染みやすい特徴もたくさん持っています。

このように、ScalaはJavaと非常に仲が良く、Javaの便利な部分を活用できるのが強みです。

Javaとの違いは？ なぜ今、あえてScalaが選ばれるのか

Javaとの大きな違いは、先ほど触れた「関数型プログラミング」の特徴を強く持っている点です。

この特徴のおかげで、Javaよりもずっとシンプルで、バグ（不具合）の少ない安全なコードを書くことができます。
例えば、Javaでは何行も書く必要があった処理が、Scalaでは数行（時には1行）でスッキリと書けてしまうケースもあるほどです。

Javaの豊富な資産（ライブラリ）はそのまま活用しつつ、より安全で保守しやすいコードが書けるため、「Javaの良さを引き継いだ、よりモダンな言語」として、多くの企業から選ばれています。

Scalaエンジニアの具体的な仕事内容と最新の活用事例

Scalaはさまざまな開発に使えますが、特にその強みが活かされる「高い信頼性」や「大量データの高速処理」が求められる専門的な分野での採用が目立ちます。

具体的には、以下のような最先端の現場で活躍しています。

もちろん、私たちがよく知るサービス、例えばX（旧Twitter）やChatwork、SmartNewsといった、日々多くの人が利用する大規模なWebサービスの開発・運用にも使われています。

（コラム）技術的負債の解消手段としてのScala採用（PHPなどからの移行事例）

最近の注目すべき動向として、Scalaを「技術的負債（ぎじゅつてきふさい）」を解消するための“切り札”として採用する企業が増えています。

「技術的負債」とは、古いシステムや複雑になりすぎたコードが原因で、新しい機能の追加や修正がどんどん難しくなってしまう問題のことです。

例えば、ビジネスチャットで有名な「Chatwork」（現 kubell株式会社）は、もともとPHPという言語で作られていました。しかし、サービスの成長に伴うシステムの複雑化を解決するため、大規模なシステムをScalaで書き換えるプロジェクトを実行したことで知られています。

Scalaの「コードの簡潔さ」や「バグの見つけやすさ」が、長く安定してサービスを運用していくために最適だと判断された、良いお手本と言えるでしょう。

Scalaエンジニアを目指すうえで、「実際どのくらい稼げるの？」「将来性はある？」といった点は、一番気になるところですよね。

ここでは、2025年の最新データも交えながら、Scalaエンジニアの年収事情や、これからの需要について詳しく見ていきましょう。

Scalaエンジニアの平均年収は？ 高年収を実現しやすい3つの理由

Scalaエンジニアは、プログラミング言語の中でも特に年収が高いことが大きな特徴です。

転職サービス「レバテックキャリア」の調査によれば、Scalaエンジニアの正社員求人では「年収600万円～1,000万円」といったレンジの募集も多く見られます。

また、フリーランス案件の動向調査（フリーランスボードによる2025年最新データ）では、Scala案件の平均年収が約977万円という、非常に高い水準であることも発表されています。

なぜこれほど高年収が実現しやすいのでしょうか。主な理由は3つ考えられます。

最新の求人動向と需要が堅調な業界（FinTech・アドテク・AI・SaaS）

Scalaエンジニアの需要は、特定の専門分野で非常に堅調（けんちょう）です。

特に、第1章の仕事内容でも触れたような、以下の業界・サービスで強く求められています。

これらの分野は、今後もテクノロジーの進化が続く成長産業であり、Scalaの「安全性」と「処理性能」が引き続き求められるでしょう。

Scalaの将来性は？（「オワコン」説は本当か）

転職を考える際、「Scalaはもう古い、オワコン（時代遅れ）なのでは？」といった不安の声を耳にすることがあるかもしれません。

確かに、一時期の爆発的な流行（トレンド）と比べると、学習コストの高さなどから、あらゆる場所で使われる言語にはなりませんでした。

しかし、「特定の専門分野において、代替が難しい言語」としての確固たる地位を確立しています。
Javaの資産を活かしつつ、安全に関数型プログラミングを導入できる強みは、今も健在です。

特にビッグデータ処理の定番である「Apache Spark」がScalaで作られている限り、データエンジニアリングの分野での需要がすぐになくなることは考えにくいです。
「広く浅く」ではなく、「狭く深く」活躍し続ける将来性がScalaにはあると言えます。

働き方のトレンド：リモートワーク案件の割合と柔軟性

Scalaエンジニアの働き方に関する最新トレンドとして、リモートワークの導入率が非常に高い点が挙げられます。

先ほどご紹介したフリーランスボードの調査（2025年最新）によれば、Scala案件のリモートワーク比率は9割を超えるというデータもあります。

これは、Scalaを採用する企業が、モダンな開発環境や柔軟な働き方に理解のあるIT企業（Web系企業）が多いことの表れです。

年収だけでなく、ワークライフバランスや働く場所の自由度を重視したい方にとっても、Scalaは魅力的な選択肢となるでしょう。

Scalaエンジニアとして転職を成功させ、高い年収を目指すためには、どのような技術スキルが求められるのでしょうか？

ここでは、転職市場で特に評価されるスキルセットを「基礎」「必須」「応用」「関連」の4つのレベルに分けて解説します。

【基礎】JVM（Java仮想マシン）の深い理解（※Java経験者がアピールすべき点）

Scalaエンジニアの土台として、まず重要なのが「JVM（Java仮想マシン）」の知識です。

ScalaはJavaと同じくJVMという実行環境の上で動く言語です。そのため、JavaやKotlinでの開発経験がある方は、その知識をほぼそのまま活かすことができます。

「Javaで培ったメモリ管理やパフォーマンスチューニングの知識」は、Scalaエンジニアとして働くうえで強力な武器になります。
Scala実務未経験であっても、JVMの深い理解をアピールすることは非常に有効です。

【必須】関数型プログラミングの概念と実践スキル

Scalaの最大の特徴であり、同時に学習のハードルとも言われるのが「関数型プログラミング」の考え方です。

これは「バグを生みにくい、安全で簡潔なコードを書くための設計思想」のようなものだと考えてください。
（例：副作用を減らす、不変性（イミュータブル）を意識する、など）

Scalaエンジニアの求人では、この関数型プログラミングの概念をどれだけ理解し、実践できるか（または学習する意欲があるか）が最も重視されます。
文法を覚えるだけでなく、「なぜそう書くのか」という背景の理解が求められます。

【応用】モダンなライブラリ・フレームワーク（Play, Akka, ZIO, Cats Effect）

より高い年収やモダンな開発環境を目指す場合、Scalaのエコシステム（関連ツール群）の知識が求められます。

転職市場では、これらのライブラリを使った開発経験、あるいは個人学習でのキャッチアップ経験が大きなアピールポイントになります。

【関連】ビッグデータ・分散処理の知識（Apache Spark）

第1章、第2章でも触れましたが、Scalaの需要を支える大きな柱が「Apache Spark（アパッチ・スパーク）」です。

Sparkはビッグデータ（膨大なデータ）を高速に処理するための定番ツールであり、Scalaで開発されています。
そのため、Scalaエンジニアの中でも「データエンジニア」としてのキャリアパスを目指す場合、Sparkの知識はほぼ必須と言えるでしょう。

【関連】クラウドネイティブ技術（Docker, Kubernetes）の経験

現代のWeb開発において、クラウド技術は切り離せません。Scalaが使われる現場も例外ではなく、その多くがクラウド（AWS, Google Cloudなど）上で動いています。

特に、Docker（ドッカー）やKubernetes（クーベネティス）といった「コンテナ技術」の知識は、今やインフラ担当者だけでなく、アプリケーション開発者にも求められます。

Scalaのスキルと合わせて、こうしたクラウドネイティブな開発環境での実務経験があると、転職市場での価値はさらに高まります。

「Scalaの実務経験はないけれど、エンジニアとしてステップアップするために挑戦したい！」
そう考える方に向けて、ここでは「実務未経験」からScalaエンジニアへの転職を成功させるための、具体的な3つの戦略（＋コラム）をご紹介します。

まず確認：「Scala未経験」求人の実態とは？（※多くはJVM経験者を指す）

転職活動を始める前に、まず「Scala未経験OK」という求人の“実態”を知っておくことが大切です。

求人情報サイト（例：求人ボックスなど）で検索すると、「Scala未経験」と書かれていても、応募条件に「JavaでのWebアプリケーション開発経験 〇年以上」といった記載があるケースがほとんどです。

つまり、多くの企業が求めているのは「プログラミング完全未経験」ではなく、「他の言語（特にJava）での実務経験はある、Scala実務未経験のエンジニア」なのです。

この現実を踏まえたうえで、次の戦略が重要になります。

戦略1：Java/Kotlinでの開発経験を「JVMの知見」としてアピールする

「Scala実務未経験」のハンデを覆すための最も強力な武器が、JavaやKotlinでの開発経験です。

第3章でも触れたとおり、ScalaはJavaと同じJVM（Java仮想マシン）の上で動作します。
面接では、「Javaが書けます」と伝えるだけでなく、「JVMの仕組みを理解しています」とアピールすることが非常に重要です。

例えば、Javaで培ったメモリ管理の知識やパフォーマンスチューニングの経験は、そのままScalaでの開発にも活かせます。
この「JVMの知見」こそが、企業がJava経験者を採用したい最大の理由です。

戦略2：関数型プログラミングの学習意欲をポートフォリオで証明する

JVMの知見に加えて、企業が知りたいのは「Scala（特に関数型プログラミング）への学習意欲が本物か」という点です。

口頭で「勉強中です」と言うだけでなく、その証拠となる「ポートフォリオ（自作のプログラム）」を見せることができれば、説得力が格段に上がります。

大規模なものである必要はありません。
Scalaの公式サイトや学習書籍（例：『実践Scala入門』など）を参考に、ご自身で簡単なWebアプリケーションやツールを作ってみましょう。

（例：Play FrameworkやZIOなど、モダンなライブラリを使ってTodoアプリを作ってみる）

こうした具体的なアウトプットが、あなたの学習意欲とポテンシャルを何より強く証明してくれます。

戦略3：キャッチアップ枠・ポテンシャル採用企業を見極める方法

戦略の最後は、「Scala実務未経験者」を積極的に受け入れている企業を正しく見極めることです。

こうした企業は、入社後にScalaを学んでもらう前提の「キャッチアップ枠」や「ポテンシャル採用枠」を設けています。

例えば、株式会社FOLIOの採用ページでは「Scala の経験がなくとも業務の中でキャッチアップが可能」と明記されており、Scalaそのものの経験よりも、ベースとなる技術力や学習意欲を重視する姿勢がうかがえます。

求人票の「歓迎スキル」の欄に「Scalaを学習中の方」「関数型プログラミングへの興味」といった記載がある企業や、社内勉強会が活発な企業は、ポテンシャル採用に積極的である可能性が高いでしょう。

（コラム）PHP/Rubyなど他言語経験者がScalaを目指す場合の学習ステップ

「JavaやKotlinの経験がない、PHPやRubyからのキャリアチェンジは可能？」という不安を持つ方もいるかもしれません。

正直にお伝えすると、JVM言語の経験者に比べてハードルは高くなります。しかし、不可能ではありません。
その場合、いきなりScalaの文法を学ぶのではなく、まず「Javaの基礎」と「JVMの仕組み」を学ぶことを強くおすすめします。

なぜなら、Scalaの現場ではJavaの知識が前提とされることが多いからです。
遠回りに見えても、以下のステップが着実です。

動的型付け言語での開発経験で培った「Webアプリケーション開発の全体像」を理解している強みと、上記の学習ステップをアピールしましょう。

Scalaエンジニア向けの求人を取り扱う転職エージェントは多くあります。
選ぶ際は、「Scalaエンジニアの求人が豊富か」「希望する転職地域に対応しているか」「担当者はこちらの希望をしっかり聴いて理解してくれるか」の３点を意識するとよいでしょう。

1点目の求人数と2点目の対応エリアについては、本記事が紹介するおすすめサービスの公式サイトを確認するとよいでしょう。
３点目の「担当者の品質」については、まずは「ここが良さそう」と感じたサービスを２～３つ登録して、そのうえで自分に合った担当者を見出して利用を絞っていくのがおすすめです。

ITエンジニアが転職エージェントを利用する際の選び方・活用法を紹介します。「自分に合った転職エージェントを見つけたい」という人は、以下ご参考ください。

Scalaエンジニアでの転職で、転職エージェントを活用するポイントは以下の3点です。

• Point１ 各ITエンジニア向け転職エージェントの、それぞれの特徴を知っておく
• Point２ はじめに２～３つ「複数」の転職エージェントに登録しておく
• Point３ 何度かのやりとりで「相性」と「やりやすさ」を確認する

特にポイント３つ目の「相性とやりやすさ」は重要です。転職エージェントの担当者とは、転職期間中はずっと付き合いを続けていきますので、「自分に合った担当アドバイザー」を早めに見出していくことが、転職成功のひとつの要となるでしょう。

• キャリア相談に、親身に乗ってくれるか
• 求人を紹介する際に、「なぜおすすめなのか」についてきちんと納得できる説明をしてくれるか
• 求人紹介の量・その後の連絡ペースが、適切と感じられるか

ITエンジニア向けの転職エージェントの選び方について詳しく見る

レバテックキャリア

Scalaエンジニアとしてキャリアアップ・年収アップを目指す人におすすめ

レバテックキャリアは、レバテック株式会社が運営する転職エージェントです。

同サービスの特徴としては、アドバイザーのほとんどが「エンジニア実務経験者」であること。IT業界についてエンジニアリングの技術的な事柄についても通じた担当が付いてくれる可能性が高いです。

レバテックキャリアのScalaエンジニアへの転職おすすめポイント

レバテックキャリアでは年3,000回以上の企業ヒアリングから得た最新情報をもとに企業別に対策を行っています。
そのため、転職希望者のスキルや希望にマッチした求人紹介を得意とし、ヒアリング後の初回マッチング率（内定率）は90%にものぼるといいます（同社担当より）。

引用元：レバテックキャリア公式サイト

「Scalaの知識・経験をどういった事業分野で発展させていくか」についてしっかり把握して転職活動をするうえで、自分だけの調査・研究では不安だという人はレバテックキャリアのサポートが役立つでしょう。

マイナビIT AGENT

書類添削・面接対策で丁寧なサポートを受けたい人におすすめ

マイナビIT AGENTは、マイナビが運営するIT・Webエンジニアの転職支援に特化した転職エージェントです。

在籍するキャリアアドバイザーはいずれもIT・Webエンジニアの転職事情に精通しており、エンジニアの視点からキャリア相談や求人紹介を行ってくれます。

マイナビIT AGENTのScalaエンジニアへの転職おすすめポイント

エンジニア系の求人を常時豊富に取り揃えています。大手から中小企業まで幅広い求人を持ち、注目企業の求人があった場合は個別の説明会や、ITエンジニア向けのWebセミナーも常時実施しています。

引用元：マイナビIT AGENT テーマ別転職相談会

特に都市部在住の人は、求人企業の選択肢の豊富さとサポートの「質の高さ」が期待できるでしょう。

エンジニアのジョブチェンジの提案も含めて、キャリアについて手厚なサポートを受けたい人におすすめです。

ワークポート

未経験からのチャレンジ転職の支援に強い

ワークポートは総合型転職エージェントですが、中でも「IT・Web・ゲーム業界」の支援実績の豊富な転職サービスです。

エリアごとに特化したキャリアアドバイザーがいるので、対応エリアの付近の企業を探したい人にもメリットがあります。

ワークポートのScalaエンジニアへの転職おすすめポイント

ワークポートは「未経験職種」へのサポートが手厚いことでも知られています。 他の分野や業界からScalaエンジニアへジョブチェンジを検討している人は、ワークポートで積極的な支援を受けられる可能性があります。

参照元：ワークポート 「転職コンシェルジュの転職相談サービス」

「検討の余地があれば求人を紹介する」というスタンスのエージェントのため、転職先の選択肢を広げる際にもおすすめです。

リクルートエージェント

未経験者・経験者どちらも対応可。豊富な求人とスピーディな対応

リクルートエージェントは国内でも最大の求人数と転職支援実績を誇る全国展開の転職エージェントです。
「リクルート」のブランドの信頼性の高さから、企業に転職者を紹介する営業力・提案力の高さに定評があります。

リクルートエージェントのScalaエンジニアへの転職おすすめポイント

転職活動を進めていくにあたり、不安はつきものでしょう。
たとえば面接での受け答えについて。リクルートエージェントでは面接の必勝法が学べる「面接力向上セミナー」を開催しています。

引用元：リクルートエージェント公式サイト

また、「企業が求める人材はどういったものなのか」という悩みに対しても、実績豊富なキャリアアドバイザーがポイントを記した「エージェントレポート」を提供してくれます。

ここまで、Scalaエンジニアの魅力から必要なスキルセット、そして「実務未経験」から転職を成功させるための具体的な戦略まで解説してきました。

最も大切なポイントは、「ゼロからのスタート」と気負うのではなく、「今ある強みを最大限に活かす」という戦略的な視点です。

Scalaエンジニアは、確かに学習ハードルが高い側面もあります。
しかし、それ故にエンジニアとしての希少価値が高く、高い年収とモダンな働き方（リモートワークなど）を実現しやすい、非常に魅力的なキャリアです。

あなたの市場価値を正しく評価し、こうしたポテンシャル採用に積極的な優良企業と出会うためにも、ITエンジニアの転職に強い転職エージェントの活用は、成功への近道となるはずです。