音楽業界ってどんな仕事?未経験・異業種から音楽に関わる企業に転職するには
[最終更新日]2024/07/21
音楽業界の仕事は、アーティストと一緒に形のないものを創り出す、夢に溢れたお仕事です。
音楽やものづくりが好きな方にとっては、そんな音楽に携わる仕事がしたいと思う方も多いはずです。
しかし、一口に「音楽の仕事」といっても、携わる仕事によってその内容は大きく異なります。
目次
1)未経験・異業種の方が知っておきたい、音楽業界の仕事内容
一言で「音楽」の仕事内容、アーティストに関わる仕事内容と言っても、かなりの種類があります。今回は、募集が出ることが多い「レコード会社」と「事務所(プロダクション)」についてお話しします。
2つの会社では売るモノが異なります。レコード会社とは「CD、パッケージを売る仕事内容」、事務所は「アーティストを売る仕事内容」です。それぞれが売ろうとしているモノが違うので、転職に際しての考え方も異なってくるため注意が必要です。
【レコード会社】での仕事内容
レコード会社では、CDやパッケージという「形のあるもの」を販売しています。近年では売上が減少傾向にあり、レコード会社でもCDに関する仕事内容だけでなく、ライブを制作する部署があったり、「事務所」の機能を一時的に持っている場合もあります。それらの条件は会社概要にて確認出来ますので、事前に確認しておけるとよいでしょう。
レコード会社ではいかにその発売アイテムを売るのかが大事になってきます。そのため、売れるための発売時期や販売戦略を考えていきます。発売にあわせてのインストアイベントやライブの企画、またその発売アイテムの宣伝のための雑誌、テレビ、ラジオ等へのアーティストの出演を調整します。
あくまでも「発売アイテムの宣伝」という目的なので、発売がないタイミングだと、出演が難しいこともあります。常に1つのアーティストが発売し続けるわけではないので、1人の従業員につき複数組のアーティストを担当することになります。
多くのアーティストがそれぞれ動き、ジャンルが異なることもあるので、頭の切り替えが必要になってきます。
【事務所】での仕事内容
いわゆる「マネージャー」としての仕事内容です。いかに素敵なアーティストになるかを考え、世間へ売り出していくことを目的とします。その中で、レコード会社と一緒にパッケージの戦略を考えることもあります。
しかし、あくまで「アーティスト」を売ることが目的となりますので、ある一定の期間にだけ宣伝、売り込みをするわけではなく、常時、動き続ける必要があります。同じアーティストでも様々な切り口から売っていくことが必要となるので、多角的なものの見方、情報のキャッチ力が必要になってきます。
専属で1つのアーティストにつきっきりとなることもあれば、数名のアーティストを抱えることもあります。また1つのアーティストに数名のマネージャーがつくこともあります。アーティストの規模や動き方によってそれらは異なります。
最近では音楽活動を中心に、演技をしたり、バラエティーに出演したり、洋服のプロデュースをしたりと、アーティストによっても活動の幅が広くなってきています。入社時には思いもしなかった現場で仕事内容が出来る可能性もあるでしょう。
2)音楽業界での業務では、どんな知識やスキルが必要?
フレキシブルな物の考え方、俊敏な行動力
アーティストと一緒に仕事内容をしていくことになるので、フレキシブルな物の考え方、俊敏な行動力が必要です。
アーティスト個人の独創的な発想をサポートするために、スタッフとしても新しい物事をたくさん吸収し、それをアーティストにアドバイスすることもあります。そのアーティストが何をしたいのか、会社としてはどうしていきたいのか、それぞれが同じ方向ではないことも多いので、折衷案を考えることも必要となります。
また「実行する」となった時に、先陣を切って準備をしたり、行動を引っ張っていく力も必要です。なかには突飛な提案をしてくるアーティストもいますので、どう実現するのか、誰へ依頼すれば実現できるかを、様々な観点から考えます。同じ方法で毎回解決するわけではないのが、大変ですが変化のある楽しい仕事でもあります。
「いつでもリラックスできる」スキル
もちろんアーティストにもよりますが、会社が定める時間通りの勤務時間でなくなる場合も考えられます。土日はライブやイベントで出勤となることも少なくないですし、夜中でも連絡が来ることもあります。かなり不規則なタイムスケジュールとなるので、「不規則な休みでも変わらずリラックスできる」スキルも求められます。
人間、常に仕事モードの状態でいると、疲れてしまい、仕事もスムーズに出来なくなってしまいます。どんな状況でも、すぐにOFFのスイッチに切り替えられることで、常に良い状態で仕事に取り組めるようになります。
自分の得意分野・ジャンルを持つこと
自分で得意なジャンルがあるのも大切です。必ずしも好きなジャンル、アーティストと仕事内容ができるわけではないですが、何かの分野に特化していることで、意見を求められたり、自分が好きなことを仕事に出来ているんだという喜びを感じることが出来ます。
私も得意な音楽のジャンルがあり、部署を越えて意見を聞かれることがあったり、上層部から相談を受けることもありました。
業界内での転職の際にもそのジャンルに詳しいからとプラスの評価につながりました。そのほかにもSNSが得意な社員が、アーティストの情報拡散についてを取り扱う部署が新設された際に、役割を任されていたこともあります。
ただし、好きだからこそのこだわりが出てきてしまったり、その分野に詳しくない人への説明に不足が出てしまうこともあるので、「好きだけど少し距離を取っておく」ことも大切です。
3)未経験から音楽業界に転職する際の、準備しておきたい3つのポイント
1)雇用形態にこだわらない
音楽業界位は求人サイトに募集をかける会社が少なく、募集要項にも「経験者」と記載のある場合が多いです。何が何でも音楽業界でと考えている方は、雇用形態が「正社員」でなくても前向きに検討することをおすすめします。
いずれは社員登用を検討している会社もあります。こちらも転職エージェントや採用面接を通じて、確認してみるとよいでしょう。
入社前だと実情が分からない場合も多いかと思いますが、もし勤務先にお知り合いがいらっしゃったら、確認をしてみても良いかと思います。
私も最初はアルバイトとして入社を致しましたが、社員の方と同じ週5勤務でしたり、雇用保険と健康保険も加入させてもらえていました。のちに社員雇用試験の受験も出来ましたが、こちらも必ず受けられるわけではなかったり、合格率が低いこともあるので、入社後になるかとは思いますが、キャリアプランの確認は必ず行いましょう。
私の勤めていた会社では、社員雇用試験を受験し、不合格の場合は退社しなければならないという決まりがありました。アルバイトでも良いからその会社にいたいのか、社員でなければ他の会社へ行くことになっても良いのか、しっかりと考えることが大切です。
特にデスク(一般企業でいうところの事務職)業に関しては、派遣社員での雇用をしている場合もあります。なかなか転職となると条件を気にしてしまう部分も多いかと思いますが、とりあえず「業界経験者」になっておくのも作戦の一つです。
2)年下の先輩・上司ができる場合も多い
音楽業界は専門学校を卒業して、働き始める人が多いです。また、元々音楽活動をしていて、のちにスタッフ側に回る人もいます。そのため、自分よりも年齢が若くても「先輩」となることも多い業界です。業界が初めてだと、分からないことも多く、先輩から教えてもらう機会が自ずと増えていくと思います。
小さなことだと単語が分からなかったり、業界ならではの風習も教えてもらうことになります。私も入社時には年下の先輩に教えてもらい、しばらく経ってからは年上の先輩に業務を教えていたこともあります。
それぞれに伝え方や接し方を悩んだ時期もありました。ある程度、他の会社で実績を積んでいて、それまでは後輩をいっぱい抱えていたのに、急に後輩の立場になってしまうと、なかなか素直に聞くことが難しいと感じられる方もいるでしょう。
それでも音楽業界は特に上下関係がはっきりしているため、素直にたくさんのことを教えてもらうことが大切です。初めてのことには、分からないことだらけなのは仕方のないことです。色々と教えてもらえるのは新人の時だけなので、分からないことはどんどん先輩に教えてもらいましょう。
3)感受性を豊かにしておく
「あの時、あのライブ/舞台に行っておいて良かった!」「このCDを持っていて良かった!」など、自分の芸術的経験値を高めておくことをおすすめします。
転職後も時間を作ればライブには行けるでしょうし、福利厚生としてライブ観劇が出来る企業もあります。
しかし、転職前と後では「見え方」が異なってきます。いちファンとして、たくさんのものに触れておくのは、転職前しかできないことだと思います。
なぜなら、転職後だと、どうしてもビジネスとしての観点も入れて見てしまい、純粋に楽しめなくなってしまうからです。
また、ライブに通った経験が豊富でも、それが必ずしも仕事で実を結ぶとも限りません。それでも自分の経験値をふやすべく、好きなものをたくさん吸収しておくのも大切なことです。その時に得たものが、転職後にデザインで生かせたり、演出で生かせたりと、思ってもみないところで花咲くことが、私もよくありました。
私は業界に入ってからも、毎月1本は仕事とは関係のないライブに行くようにしていました。そのおかげで、ライブの制作担当の方と仲良くなり、仕事に繋がったこともあります。
4)年代別 音楽業界への転職で注意するポイント
20代から音楽業界を目指す場合
若いうちは思い切りも大切です!20代中盤でも、音楽業界への未経験での転職は「年を取りすぎている」と企業から言われたこともあります。
当時は大学を卒業し、せめて3年と他の業界にて頑張っていましたが、面接で「今のままで頑張った方が良いよ。音楽は趣味のままにしておきなさい」と言われたのです。それでも私は音楽業界で仕事がしたかったので、先を決めずに当時勤めていた会社を辞めました。
もちろんご縁、タイミングはありますが、退職後すぐに音楽業界への転職が決まりました。
そして、音楽業界は業界内での転職がかなり多いということを知りました。音楽業界のスタートはレコード会社でしたが、そこで私がやりたいのはマネジメントだと分かり、そこから再度転職をしました。
さらに現在もスキルアップを目指して、目下転職活動中です。
最初から希望通り、やりたいことと直結している仕事内容に就くのは難しいかもしれませんが「ちょっと思っていた仕事と違うかな…」と思っても、試してみるのも良いかもしれません。
20代の転職者の方におすすめの転職サービス
1位マイナビエージェント
2位リクルートエージェント
3位マイナビジョブ20’s
30代から音楽業界を目指す場合
若い働き手が多い業界なので、30代の役職者は多いですし、さらには社長が30代であることも珍しいことではありません。入社後、すぐに役職が付く可能性もあると思います。
役職に就いていても、小さな会社では社長や会長が現場に出ていることもあります。会社にもよるかもしれませんが、私が勤めていた会社では、他の業界よりも「肩書き/役職」への縛りが弱いように感じました。
逆に「働くなら現場が良い」と思っていても、慣れない仕事で身体がついてこないこともあるかと思います。連日の飲み会、連日の徹夜作業も珍しくない業界です。無理せず、適度に体をならしていくと良いかと思います。
また、音楽業界の独特の風習だと思いますが、「前日深夜」として、前日が遅かったから翌日は遅く出社できることがよくあります。はじめは私も驚きましたが、午前中に会社にほとんど人がいないこともざらにあります。そのようなフレキシブルな勤務体系に魅力を感じる方には、向いている業界と言えるかもしれません。
30代の転職者の方におすすめの転職サービス
1位doda X
2位リクルートエージェント
3位ヒューレックス
40代から音楽業界を目指す場合
管理者としての転職になる場合も多いかと思いますが、アーティストだけでなく、音楽業界で働く人もかなり個性的な方が多いです。見た目も中身も、実年齢よりも「若い」印象を受けることが多々あるでしょう。
なかには「その格好で会社員なの?」と聞きたくなるような人もいますが、良いモノを生み出すため連日徹夜をし、見た目に気を遣っていられない場合もあるのです。
また、一会社員として、利益を生み出すことを考えないといけないのは理解していても、現場でアーティストと直接向かい合っていると、利益ではない部分を追ってしまいたくなることもあります。そうした部下のため、頻繁に話をする時間を作ったり、親しみを抱かれる上司を目指すことが肝要となります。
以前の会社での部下とは接し方がかなり変化する場合もあるでしょう。音楽業界では、柔軟な働き方が優先される場合も多いのです。個性的な部下をまとめるのは大変ですが、商品やアーティストがヒットした時の喜びは計り知れないものがあります。
40代の転職者の方におすすめの転職サービス
1位doda X
2位リクルートダイレクトスカウト
3位JACリクルートメント
まとめ)未経験からの音楽業界への転職は、とにかくやってみる!
音楽業界では、入社してからも柔軟な頭が求められます。
未経験だからこそのモノの見方、というのもありますが、若い頃から音楽に携わっている人が多い中で、真っ向から勝負を挑んでも負けてしまうでしょう。自分には何が出来るのか、どんな知識を持っているのかを把握し、効果的にアピールしてください。
募集要項に「経験者」と入っていない求人に出会えるだけでも、かなりラッキーな業界です。経験者にも勝るフレッシュな気持ちを、前面に押し出していけば、未経験からの転職に道も開けていきます。