経理に未経験から転職するのは難しい?必要なスキルと転職成功のポイント
[最終更新日]2024/07/08
「経理の仕事って、実務未経験でも転職できるんだろうか…」
未経験からの挑戦には、そのような不安が付きまとうことかと思います。
専門職としての印象の強い「経理職」。
しかし実は、未経験から転職に成功し、経理としてやりがいを持って働いている人は沢山います。
また、経理の仕事はその専門性の高さから、キャリアアップのためのロードマップを描きやすい職種でもあるのです。
目次
1)そもそも経理の仕事とは
はじめに、経理の主な業務内容について紹介していきましょう。
経理の主な業務は、大きく以下の4つに区分されます。
仕訳
経理の基本が日々の「仕訳」。これは、「資産、負債、資本、費用、収益」の動きを「勘定科目」と呼ばれるもので、記帳していくことです。
※ 勘定科目とは
企業の財務諸表などに金額をつけていく際の、名目を表す科目のこと。
家計簿で言うところの、「食費」や「光熱費」、「交際費」といった科目があるように、企業の財務諸表にも「こういう科目で計上する」という決まりがあり、それを勘定科目といいます。
ちなみに、勘定科目には「現金」や「売掛金」、「買掛金」など数百種類あり、会社によっても種類が異なるため、入社した企業に応じてそれらを覚えなければなりません。
仕訳は、借方(左側に記載)と貸方(右側に記載)から成り立ち、「資産」と「費用」が増える場合は「借方」へ記入、「負債」、「資本」、「収益」が増える場合は「貸方」へ記入します。会計ソフトを使い、記帳する企業が多いです。
債権・債務管理
「債権」とは、相手からの未回収分のお金(売掛金、受取手形など)で、「債務」とは、相手へ支払うべきお金(買掛金、支払手形)を主に指します。
ときには、営業担当と調整しながら、債権債務の処理をすることも。特に、支払漏れは、取引先への信頼を失う結果にも繋がり、最悪の場合、取引がなくなることもあるため、注意しなければなりません。
月次決算
「月次決算」とは、1ヵ月分の仕訳した内容を、まとめて数値化することです。これをすることで、1ヵ月間の「資産、負債、資本、費用、収益」が分かります。また、年次決算と呼ばれるものもあり、こちらについては、1年分の数字の動きが把握できるのです。
資産・負債・資本の勘定科目が載った「貸借対照表」、費用・収益が載った「損益計算書」、さらに現金や預金などの出入りを主に見る「キャッシュフロー計算書」という3つがメインです。
確定申告などの税務処理
税務処理をするのも、経理の大事な仕事です。例えば、「確定申告」、あるいは「中間納付」など、数種類あります。
提出期限が遅れると、延滞金が上乗せされ、会社の財政状況に大きなダメージを与えることも考えられます。
「たかが書類」と思って行動していると、実際に入社してから苦労する可能性があります。
企業の規模によって経理の業務内容は異なる
未経験から経理に転職する際に注意したいのが、大企業と中小企業で、任される経理業務の範囲が変わる点です。
大手企業の場合、支社が複数ある会社も多く、それに応じて扱う金額の規模が大きくなる傾向があります。
そのため経理の仕事も複数人で分担されている場合がほとんどで、「税務」「財務」「決算」などのいずれかの一分野を任される可能性が高いと言えるでしょう。
一方中小企業の場合、経理全体を任されることが多いため、金額の規模は小さくとも幅広い分野の知識を備える必要があるでしょう。
未経験から経理に転職した場合の平均年収は?
未経験から経理職に転職した場合、前職と比べて年収が下がるのではないかと心配に思われる方もいると思います。
一般的な経理職のモデル給与は、以下のようになります。
経理の実務経験 | 資格 | 平均年収 |
---|---|---|
未経験から転職 | 簿記2級程度以上 | 200万円~350万円程度 |
1~2年の実務経験 | 簿記2級程度以上 | 300万円~450万円程度 |
3年以上の実務経験 | 簿記2級程度以上 | 350万円~600万円程度 |
3年以上の実務経験+英語力 | 簿記2級程度以上 | 400万円~700万円程度 |
引用元:会計人材バンク
上記はあくまで参考値ですが、経験者に比べ未経験者のほうが給与水準は低く、年収250万円~350万円程度からのスタートとなることもあります。
ただし、現在管理職として働いており、次も管理職としての転職を希望する場合などは、経歴やスキルに応じて上記より高い水準で転職することも多いです。
また、全くの未経験であっても転職は可能ですが、その場合でも、簿記2級程度の知識は必要となります。
なぜ簿記の知識が必要なのか、転職に成功するためにどのようなスキルを学ぶべきかを次の項で見ていきましょう。
2)経理の業務に必要な知識・スキル
続いては、主に経理での業務に必要な知識やスキルについて見ていきましょう。
簿記の知識
経理をする上で「簿記」の知識がないと、業務をするのは難しいと考えて良いでしょう。
簿記には、仕訳だけではなく、「入金・出金・振替」伝票の書き方から、決算書の作成方法、さらに会計原則に関する内容まで、覚える事柄が多岐にわたります。
その基礎を頭に入れておかないと、経理業務をこなすの難しいです。
目安としては、「日商簿記2級」までの範囲を覚えておくのがベストですが、必須ではありません。
また、「簿記についてまだ全く知らない」方は、以下に「簿記について初めて学ぶ方用のおすすめ書籍」を紹介しますので、宜しければご参考下さい。
「簿記について初めて学ぶ」方の、おすすめ書籍
税(税法)の知識
税にも、たくさんの種類があります。「所得税、法人税、固定資産税」と呼ばれるものから、「消費税、関税、酒税」など取引する際に発生する税まで、幅広くあります。
しかもひとくちに「消費税」と言っても、その中でさらに「国税」と「地方税」に分かれているなど複雑ですし、「関税」についても、仕入れる国によって税率が異なるため、グローバル展開する商社などは、これらを覚えていないと適正な仕訳をすることすら困難になるのです。
未経験で経理への転職を目指す際は、先に述べた「簿記」同様に、税の知識もある程度身につけておいた方が安心でしょう。
以下に、「税金・法人税などについて初めて学ぶ方」へのおすすめ書籍をご紹介します。
「税金・法人税などについて初めて学ぶ」方の、おすすめ書籍
経営観点の知識
最後に紹介するのが、「経営観点」の知識です。会社によっては、経理職が「財務分析」まで行うこともあります。財務分析とは、簡単に言うと「コストパフォーマンス」を算出することです。
つまり、「現状の利益率で、会社の経営が成り立つか」など、「お金を扱うプロ」として経営陣にアドバイスする役割を担うこともあるのです。
例えば「費用をもう少し減らした方が良い」、「収益を、あと〇〇円上げた方が良い」という意見を参考に、経営陣が今期の売上目標を決定するのです。
これを的確に行うためには、経営者視点で、会社を分析することが大事ですので、経営観点の知識は持っておくべきでしょう。
ただ、経営者としての経験が無いと、なかなか具体的なイメージを浮かべるのは難しいかもしれません。
その場合は、まずご自身の私生活の収入と出費について、「損益計算書」と「貸借対照表」を作成してみると良いかもしれません。
言うなれば、「家計簿のより詳細版」といったところでしょうが、それでも自身のお金の流れを知っておくと、その流れを管理(経営)しようという意識に繋がります。
会社の経営は、当然のことながら個人の財務経営の規模よりも大きくなりますが、基本的な仕組みは同じです。
まずは個人としての経営意識を育み、それから会社経営の視点へと広げていくと、イメージがつきやすくなるでしょう。
また、経理課とは別に「財務課」を設けている会社もあります。
その場合は、上記で説明したような企業の「財務分析」も財務課の方で行われます。
希望する転職先の企業にて、経理課で行われる業務内容・業務範囲についても、予め調べておくと良いでしょう。
3)未経験から経理に転職する際に準備するポイント3つ
経理に関する「資格」の習得を検討する
未経験から経理に転職する際に、まず意識したいことが「資格」の取得です。
さきに伝えたとおり、「日商簿記2級」を取得することで、「経理に関する知識はある程度持っている」と思ってもらえます。
参考:経理としての転職・スキルアップを目指す方におすすめの資格一覧(※一例)
資格名 | 概要 |
---|---|
日商簿記検定 |
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FASS検定 |
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給与計算実務能力検定 |
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MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト) |
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日商PC |
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ただし、「資格があれば転職成功する」とは限りません。
企業が経理により求めるのは「業務遂行スキル」です。
資格取得の検討と合わせて、それぞれの資格を得ることでどのような実務シーンで役立つかをしっかりイメージすることが大切です。
コミュニケーション能力を身につける
他部署のメンバーや、取引先とコミュニケーションを取ることが多いです。
お金の処理に詳しくない人に、経理・会計上の決まりやルールを伝えなくてはいけないことも少なくないでしょう。
適切なコミュニケーションを取らないと、相手に悪感情を与えてしまうこともあります。
人から気に入られやすいけど、言うべきことはハッキリ言える人は経理職にかなり向いているかもしれません。
親しい間柄で「なれ合い」が生じてはいけませんし、反対に一人で殻に閉じこもってしまうのも良くありません。いかに人間関係を要領よくこなせるかもポイントとなるでしょう。
ただし、現状での自身のコミュニケーション力に不安があったとしても、これからの取り組みで改善できる可能性は高いです。
ビジネス上のコミュニケーションは一定の型があり、「慣れ」によっても適切な対話が実現しやすいからです。
ポイントは、「相手を尊重しながら、端的にわかりやすく伝えること」です。
普段の日常コミュニケーションから意識しておくとよいでしょう。
前職で、経理職に活かせそうな能力をピックアップしておく
経理職未経験の人であっても、前職で活かせる内容はあります。
例えば、「事務処理能力が正確で早い」「経営管理を行っていた」「接客業をしていたからコミュニケーション能力には自信がある」など、探せばいくつか見つかるはずです。
より効率良く「活かせそうな経験」を見つけるためには、自分がどのような業務を行ってきたかの「キャリアの棚卸し」を行っておくことをおすすめします。
補足:キャリアの棚卸しについて
キャリアの棚卸しとは、「これまでの自分のキャリアで何をやってきたのかを全て洗い出すこと」です。
「キャリアの棚卸しをしましょう」と聞いても、具体的にどう進めるかパッと思いつかない人もいると思います。
そんな際は、以下の手順で進めてみてください。
ステップ | 説明 | 例 |
---|---|---|
STEP1: 自分のスキル・知識を洗い出す | これまでのキャリアで何をやってきたのか、どのようなスキルや知識を身につけたのかをリストアップします。具体的な業務内容やプロジェクト、成果を挙げるとよいでしょう。 | 例:事務職でのデータ入力、文書作成、電話対応、スケジュール管理 |
STEP2: 好きか嫌いかを考える | リストアップしたスキルや知識に対して、それが自分にとって好きなものか、嫌いなものかを考えます。これにより、自分がどのような仕事に向いているかが見えてきます。 | 例:データ入力は好きだが、電話対応はあまり好きではない |
STEP3: 未来のキャリアを探求する | 自分の好きなスキルや知識をもとに、将来どのようなキャリアを築いていきたいかを探求します。具体的な目標やビジョンを設定し、それに向けたアクションプランを立てます。 | 例:経理職を目指し、日商簿記2級の資格を取得し、経理に関する知識を深める |
特に転職前においては、キャリアの棚卸しはぜひやっておきたいところです。
キャリアの棚卸しの進め方については、以下記事で詳しく紹介しています。興味のある方は併せてご覧ください。
また、周囲に経理職として働いている人がいれば、自分の前職での業務経験を提示し、活かせそうな経験はないか聞いてみるのも一つの手です。
経理職としての生の声を聞くことで、転職を有利に働かせることも可能でしょう。
もし、周囲に経理職の友人・知人がいなければ、転職エージェントに相談するのもおすすめです。
「転職のプロ」からの有益なアドバイスをもらうことで、転職活動も円滑に進められます。
4)未経験から経理への転職におすすめの転職エージェント
マイナビエージェント
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書類作成・面接準備のサポートにじっくり時間をかけてくれます。「初めての転職で不安」という人におすすめです。
マイナビエージェントは専門知識を持つキャリアアドバイザーが一人ひとりの転職者に対して丁寧に向きあい、きめ細かなサポートをしてくれることで知られる転職エージェントです。
とくに20代〜30代前半の転職サポートを得意としており、志望動機のブラッシュアップや面接指導を的確に行ってくれます。
未経験から経理を目指す求職者にも、力強い支援をしてくれるでしょう。
サポート対応地域は全国で、地域ごとに経理専門のアドバイザーが対応しています。
マイナビエージェントは、大企業だけでなく中小の優良企業求人も豊富に保有しているため、企業規模に関わらず自分の希望に合った会社を探している人に向いています。
マイナビエージェントの特徴
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サービス対応地域 | 全国 |
拠点 | 東京(2か所)、神奈川、北海道、宮城、愛知、大阪、京都、兵庫、福岡 |
経理/財務/管理会計の公開求人数 | 約1,700件(2024年7月現在) |
doda
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また、dodaは職務経歴書作成ツールや自己分析ツールなど、転職活動をサポートしてくれるサービスが豊富です。これらを無料で利用するメリットだけでもdodaに登録する価値はあります。
dodaの特徴
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サービス対応地域 | 全国 |
拠点 | 北海道、宮城、東京、神奈川、静岡、愛知、大阪、京都、兵庫、岡山、広島、福岡 |
経理・財務・会計・内部統制の公開求人数 | 約7,500件(2024年7月現在) |
リクルートエージェント
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リクルートエージェントの特徴
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サービス対応地域 | 全国 |
拠点 | 北海道、宮城、福島、東京、埼玉、千葉、栃木、群馬、神奈川、新潟、静岡、石川、岐阜、滋賀、愛知、京都、大阪、兵庫、岡山、広島、加賀、愛媛、福岡、長崎、熊本、鹿児島、沖縄 |
財務・経理・会計の公開求人数 | 約5,000件(2024年7月現在) |
ジャスネットキャリア
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現在では業界トップクラスの経理・会計系の求人数を保有しており、また多くの大手・有名企業との取引実績を積み上げています。
会計、税務、経理・財務それぞれの分野に精通したエージェントが担当につくため、転職だけでなく、今後のキャリアプラン・キャリアパスを考える上でも大いに有効です。
ジャスネットキャリアの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
拠点 | 関東・関西・東海 |
経理系職種の公開求人数 | 約1,700件(2024年7月現在) |
5)未経験から経理への転職に成功した人の体験談
最後に、過去に「未経験からの経理の転職」を成功した方の体験談を2つほど紹介いたします。
どちらの方も、転職の際は苦労をされながらも、経理としてのキャリアチェンジをされたのちは、やりがいを持って日々のお仕事に臨まれています。
これから経理職を目指す方には、参考になる点もあることでしょう。ぜひご覧ください。
ケース1)「前職の経験は役に立たない」と言われたけど…。公務員から未経験で経理に転職(たぐちさん/女性/34歳)
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「あなたのこれまでの経験や資格は、転職ではあまり役立ちそうにありません」 転職時に最初に利用した、転職エージェントから言われたセリフです。
──ショックでしたね。
正直、私は10年勤務して頑張ってきた自負がありましたから。異業種を目指すとしても、通用しないことはないだろうと思っていたのです。ですが、すぐに頭を切り替えて、さっそくハローワークの職業訓練で経理事務の講座を受けて、3ヵ月後に日商簿記3級を取得しました。
その後、私は転職活動を再開し、何とか経理事務の仕事を頂けることになりました。
未経験ということもあって、新しい仕事は本当にわからないことだらけです。
ですが、同時に少しずつ自分の業務知識が増え、徐々にできることが増えていくことも実感できました。 また、前職に比べて収入は減ったものの、オンオフがはっきりと区別できることで家での生活も充実でき、夫のサポートもできるようになりました。
>体験談を最初から読む
経理事務講座の受講が、転職成功のきっかけに
たぐちさんの転職活動の流れが良い方向に変わったのは、職業訓練講座の受講、そして資格を取得し、転職に必要なスキルを得たおかげでした。
経理は専門知識が必要な職種のため、未経験から転職に成功するには積極的にスキルを身に着け、経験がないなかでも「即戦力」になるための努力が必要になります。
たぐちさんが利用した「ハローワークの職業訓練校」は同じ境遇の人たちと励まし合いながら学べて、モチベーションの維持にも役立ちます。スキル面に不安を感じている方は、活用してみるのも良いでしょう。
ケース2)介護士から未経験の経理職に転職。育児と仕事が両立できるように(ななみさん/女性/45歳)
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やはり子供のことを考えて、仕事と育児を両立できる制度の整った会社に転職する必要がありました。
私は「一般職から介護職、そして再度一般職へ」という経歴を抱え、転職活動に臨みました。そしてその経歴は人事の方の目に留まることも多く、「仕事に行き詰って逃げたくなったんじゃないですか」そういったニュアンスの言葉を面接で投げかけられることもありました。
その経歴は誰もが気になるところだろうと覚悟はしていたのですが、それでも苦しかったです。
まだ子育てが必要な歳の子供がいることも、転職活動においては不利になりました。
紆余曲折ありましたが、私は現在経理として勤務しています。
福利厚生も充実した会社でしたので、面接の際に「育児中」であることを伝えても、温かく受け入れてくれました。
実際に勤めてみると、私のように子育てと仕事を両立させている女性社員もたくさんいました。
例えば以前の職場で子供が保育園で急に熱を出した時は、言葉では「帰ってあげな」とは言われつつも、内心では迷惑に思われているのだろうな、と感じる空気感がありました。
今の職場は、皆が心から人のことを思いやってくれている雰囲気がひしひしと伝わるのです。
本当にいい職場に転職できたな、と思います。
>体験談を最初から読む
未経験転職では「志望理由の一貫性」が何より大切
異業種・未経験から経理に転職する際、「なぜ経理に転職したいのか」は面接で必ず聞かれる質問です。
特に前職が経理と関連性の薄い仕事だった場合、ななみさんのように答えづらいニュアンスでこの質問を投げかけられることもあるようです。
そんなときは、これまでの経歴から一貫性があり、前向きな志望理由を用意しておくが大切です。
ななみさんも前職で軸となっていた「もっと人の役に立つ仕事がしたい」という軸は経理職となった今でも変わることなく持ち続けていることが伺え、かつその点が人事担当者の心に触れたのだと思います。
また、実際の業務内容など経理職の実情を調査しながら、自身が経理職の何に魅力を感じるのかを洗い出しておくことも重要なポイントと言えるでしょう。
まとめ) 未経験でも経理への転職の突破口は見つかる
未経験での経理職転職は、たしかに簡単ではありません。
ですが、経理業務を100%やってくれる人を募集する会社もあれば、労務と経理50%ずつ行ってもらう会社まで、「経理」と一言で表せても、求められるものは企業によって様々です。
さらに、経理業務の大半を外部委託していたり、「仕訳業務」だけできれば良い会社もあるため、一概に、経理経験の有無ですべてが決まるとも言い切れません。
そのため、自分がどこまでの経理業務であれば出来そうかを考えたうえで転職先を探してみるのも、未経験での転職としては良い進め方かもしれません。
大切なのは、「現状、自分は経理として何ができるか。そして、これから何ができるようになりたいか」を明確にすることです。
そこを意識するだけでも、経理転職の糸口は掴みやすくなるでしょう。
皆さまの転職が良いものになることを願っています。