「コーピングリスト」で仕事もプライベートも快適に!忙しい人が実践するメンタルケア術
[最終更新日]2025/03/14

仕事や日常生活が多忙になると、体力だけでなく心のコンディションも大きく影響を受けます。いつも高いパフォーマンスを発揮するためには、メンタル面のケアが欠かせません。
そんな中で注目されているのが「コーピングリスト」です。すでに言葉自体は耳にしたことがあっても、どのように作ったり活用したりするのか、詳しくはよくわからないという方も多いのではないでしょうか。
目次
1)コーピングリストとは?

コーピングリストとは?
「コーピングリスト」とは、ストレスや不安を感じたときに行う“気分を軽くする行動”や“前向きになれる工夫”をリスト化したものです。
コーピングの意味
「コーピング」という言葉は、心理学の領域で“ストレスに対処する方法”という意味で使われます。たとえば、落ち込んだときに趣味を楽しんで気を紛らわせる、友人に話を聞いてもらうなど、人それぞれの対処法があるでしょう。
頭の中だけで「何をしたらいいかな?」と考えていると、いざストレスが溜まったときに何も思い浮かばないことがあります。しかし、あらかじめリスト化しておけば、必要なタイミングですぐに取り出して対処法を選ぶことができます。結果的に、落ち込みを引きずりにくくなり、ポジティブな状態をキープしやすくなるのです。
コーピングリストの「効果」についてのエビデンス
コーピングリストの有効性は、国内外の専門機関が示すストレス対処の推奨例とも共通点があります。
厚生労働省「こころの耳」
「自分なりのリラックス法や気持ちの切り替え法を普段から意識し、いざというときに実践できるようにしておくことが大切です。」
ストレスを感じやすい状況でも、あらかじめ対処法を用意しておくことで、落ち込みや不安を最小限に抑えられると示唆しています。コーピングリストはまさに「いつでも実践できる対処法のストック」として機能する点で、これに合致します。
アメリカ心理学会(APA)
“There are many ways to manage stress effectively, including writing down your thoughts, reaching out to friends and family, or practicing relaxation techniques.”
(ストレスを効果的に管理する方法はいくつもあります。例えば、思考を書き留めること、友人や家族に連絡を取ること、またはリラクゼーション技術を実践することなどです。)出典:Source: American Psychological Association “Coping with Stress”
思考の整理や周囲への相談、リラクゼーション技術の活用など、複数の選択肢を持つことでストレスへの対処力が高まるとされています。コーピングリストを作っておくことで、こうした選択肢を具体的に明文化し、必要なときにすぐ行動を起こせるというメリットがあります。
これらの情報からもわかるように、コーピングリストを活用することで、ストレスの軽減や気分の落ち込みの早期回復が期待できます。忙しい毎日でも、自分に合った対処法をリストとしてまとめることで、ポジティブな状態を維持しやすくなるでしょう。
2)コーピングリストのメリット

メリット①パフォーマンス向上
気持ちが沈んでいると、仕事の効率や判断力に影響が出ることがあります。事前に対策をリストアップしておくことで、ストレスを早めに軽減し、集中力や生産性を高めやすくなります。
メリット②モチベーション維持
どんなに忙しくても、気持ちを切り替える術があると「また頑張ろう」という前向きな気持ちになれます。
やりたいこと・好きなことを明確にしておけば、ちょっとした合間に取り入れるだけでもモチベーションの維持につながります。
メリット③意思決定の迅速化
疲れているときや落ち込みやすいときほど、「何をすればいいかわからない…」と迷ってしまうもの。
コーピングリストがあれば、あらかじめ用意された選択肢の中からすぐに行動を決められるので、意思決定にかかるエネルギーを節約できます。
メリット④自己肯定感の強化
コーピングリストを活用すると、自分が実行できる具体的な行動が「こんなにあるんだ」と再確認できます。
気付かないうちにできることが増えていくと、自分自身の可能性を肯定できるようになり、メンタル面の強さへとつながります。
3)コーピングリストの作り方

ステップ1:気持ちを軽くするアクションを洗い出す
まずは、自分が「やっているときにリラックスできる」「これをすると気分が上がる」と感じる行動を、思いつくまま書き出してみましょう。
- 例:好きな音楽を聴く、コーヒーを入れて香りを楽しむ、ふだんと違う道を散歩してみる…など
ステップ2:カテゴリー分けをする
書き出したアクションを、いくつかのカテゴリーに分けてみます。カテゴリーがあると、気分や状況に合わせて行動を選びやすくなります。
カテゴリーの例
- 「運動」…軽いストレッチ、ウォーキング
- 「頭を休める」…瞑想、音楽鑑賞
- 「人とつながる」…友人とのメッセージ、オンラインコミュニティで相談
- 「ご褒美・楽しみ」…好きなスイーツを食べる、気になるドラマを見る
ステップ3:実行しやすい形でまとめる
リストは「見返しやすいかどうか」がカギです。スマホのメモ機能やPCデスクトップの付箋、紙の手帳など、自分が頻繁に目にする場所に残しておきましょう。
ステップ4:実際に試して、効果を振り返る
作っただけで終わらず、定期的に「どんな効果があったか」「新しい発見はあったか」を振り返りましょう。
合わないものは削除し、他に良い方法が見つかったら追加していくと、コーピングリストの精度が高まります。
4)具体的なコーピングリストの例

ここでは、忙しいビジネスパーソンでも取り入れやすいコーピングリストの例を挙げてみます。
運動・身体を動かす系
- 仕事の合間にできる腕・肩のストレッチ
- ランチタイムや帰宅前に10分だけ散歩
- オフィスの階段を意識的に使う
リラックス系
- 深呼吸&瞑想(1分~3分でもOK)
- お気に入りのカフェで香りを楽しみながらコーヒーを飲む
- 寝る前に軽くストレッチをして全身をほぐす
思考転換系
- 感謝できることを1つノートに書き出す
- 気になった本や雑誌を2~3ページだけ読む
- 朝、鏡の前で自分を肯定する言葉をひとつ口にする
コミュニケーション系
- 信頼できる同僚や友人に「ありがとう」を伝える
- オンラインで情報を交換し、気づきを得る
- 週末に家族や友人と雑談の時間を作る
小さなご褒美系
- 1日の仕事が終わったら好きな音楽を聴く
- たまに自分のために少し高めのスイーツを買う
- 目標を達成したら、美味しい食事に出かける
5)コーピングリスト活用のコツ

忙しい中でも取り入れやすくする工夫
「1日○時間確保しなきゃ…」と考えるとハードルが上がってしまいます。1回5分、1日合計で30分など、小さなスキマ時間にできることをメインにリストアップするのがおすすめです。
リストは常に見えるようにする
せっかく作ったリストでも、存在を忘れてしまっては意味がありません。スマホのホーム画面のウィジェットにしたり、PCのメモ帳を常に開いておくなど、思い出しやすい仕組みをつくりましょう。
定期的に更新する
人の気分やライフスタイルは常に変化します。最初は効果的だったアクションが、慣れてくると刺激が薄れたり、逆にストレスに感じてしまうことも。
定期的に「これはまだ効果ある?」「新しい方法はない?」と見直していきましょう。
楽しさ・ポジティブな気分を重視する
コーピングリストは「あれもやらなきゃ」「これもやらなきゃ」と義務感で埋めるとストレスになりかねません。まずは「やってみたい」「ワクワクする」と思えるものを優先するのがおすすめです。
「やってみたい」「ワクワクする」要素のあるコーピングリストの例
気になるカフェ巡りをする | 以前から行ってみたかったお店や、新メニューが話題になっているカフェに足を運ぶ。コーヒーやスイーツの香りや味が心をほぐしてくれます。 |
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新しい趣味の道具を少しだけ揃える | たとえば、ギターがほしいと思っていたら初心者向けのセットを買ってみる、料理が好きなら手軽なキッチンツールを試してみるなど。ワクワク感を味わいながら始められます。 |
一駅ぶん散歩してみる | 通勤や外出時に、いつものルートを少しだけ延長して歩いてみる。普段気づかない風景やお店を見つけると、小さな冒険心がくすぐられます。 |
短時間のプチ旅行プランを立てる | 近場でも、まだ行ったことのないスポットをリサーチして「今度の休みに行ってみよう」と計画を立てる。旅気分で気持ちが軽くなるはず。 |
お気に入りの音楽を大音量で聴く時間を作る | ヘッドホンやスピーカーで、自分の好きな曲を思い切り楽しむ。好きなメロディーに浸ることで、脳がリラックスモードに切り替わります。 |
ちょっとおしゃれな料理を作ってみる | 毎日忙しいと簡単な食事で済ませがちですが、休みの日や余裕があるときに少し凝った料理に挑戦してみる。成功したときの達成感は格別です。 |
オンラインで興味のあるセミナーやワークショップに参加する | 新しい知識やスキルを学ぶのが好きな人におすすめ。興味がある分野なら、学ぶプロセス自体が気分転換になります。 |
プレイリストを作ってドライブや散歩をする | 自分好みの曲を集めたオリジナルプレイリストを作り、ドライブや散歩しながら流す。景色と音楽の組み合わせは、日常を特別なものに変えてくれます。 |
普段は読まないジャンルの本や漫画を読んでみる | いつもは小説なら小説ばかり、実用書なら実用書ばかり…という人こそ、全然違うジャンルを手にとってみると意外な発見があるかもしれません。 |
少し高めの入浴剤やアロマを使ってリラックスバスタイム | お風呂が好きな人なら、ちょっと奮発して高品質な入浴剤やアロマオイルを用意するだけで特別感がアップ。自然とリラックスモードになれます。 |
6)コーピングリストの注意点・リスク回避

やりすぎない・詰め込みすぎない
「リストに書いたことは全部やらなくちゃ」と思い込むと、かえって心の負担になることも。まずは無理なく実行できる範囲で始めるのがポイントです。
“合わない”アクションは無理に続けない
人によって合う方法は違うため、「これはあまり気が乗らないな」と感じたら、思い切ってリストから外しましょう。自分の状況や好みに合った対処法を取り入れるほうが、効果はずっと高まります。
プロのサポートが必要な場合も
長引く不安や強い落ち込みを抱えている場合は、専門家に相談することも選択肢です。カウンセリングや医療機関の受診を早めに検討することで、事態の深刻化を防ぐことができます。
【まとめ】コーピングリストを習慣化して“前向きな自分”をキープ
コーピングリストは、忙しいビジネスシーンの中でも、自分の気持ちを上手にコントロールしながら高いパフォーマンスを維持するために役立つツールです。
- 自分に合ったアイデアをリスト化する
- スキマ時間に活用できるよう工夫する
- 定期的にアップデートし、楽しみながら取り組む
この3つを意識すれば、気分が落ち込んでも素早く回復し、日々の成果やモチベーションをより高いレベルでキープできるでしょう。コーピングリストの作成をまだ試していない方は、ぜひこの機会に取り入れてみてください。