バックオフィス・管理部門の仕事は楽なの?未経験からの転職ポイント3点
[最終更新日]2024/07/24
「総務や法務、人事などのバックオフィス・管理部門にキャリアチェンジしたい」と考えていませんか。
バックオフィス・管理部門は経営や組織運営に直結する仕事を担うことが多いです。
営業や企画、エンジニアなどのフロントオフィスとはまた違う、やりがいを得られることも多いでしょう。
または、日々の売上アクションや開発業務からの疲弊感から、「売上目標やノルマのないバックオフィス・管理部門で働きたい」と考えている人もいるかもしれません。
目次
1)バックオフィス・管理部門とは
バックオフィスとは、「顧客と直接関わらない業務」を指す言葉で、総務や法務、人事、経理、事務などの職種がこれにあたります。
対となる言葉が、「フロントオフィス・直接部門」です。こちらは営業や企画・エンジニアなど、顧客に向けてサービスを提供する職種が対象となります。
バックオフィス・管理部門の主な職種
職種 | 説明 |
---|---|
経理・財務 | 会社が使ったお金、または会社がこれから使うお金を管理する業務です。 主な仕事内容に、「仕訳」「債権・債務管理」「月次決算」「確定申告などの税務処理」があります。 業務遂行にあたり、簿記・税の知識が求められます。 |
人事 | 組織内の人員配置や採用活動など、文字通り「人」にまつわる仕事を担います。 主な仕事内容に、「採用」「教育」「評価・考察」そのほかメンタルヘルスなどの労務関連などがあります。 採用ではマーケティング、教育・評価では組織開発などの知識が求められます。 |
法務 | 契約書の作成およびチェック、コンプライアンスへの対応、訴訟などのトラブルが発生した際の対応を担います。 契約書の作成・チェックでは法律の知識、各種手続きにおいては事務能力が求められます。 |
情報システム(社内SE) | 社内SEなど、組織内のシステム運用・開発を担当する部署・人員もバックオフィスとして区分されます。 システム・ネットワークに関する知識と、関係部署との調整の際にはコミュニケーション力、調整力が求められます。 |
総務 | 総務はバックオフィス業務において、「他の部署がおこなわないすべての業務」を担います。 そのため、会社によって業務範囲は様々です。 中小企業で多く見られるのが、「人事総務」という名称など、人事業務を兼任するケースです。 コミュニケーション力、調整力、マルチタスク力、全体を俯瞰してみる力などが求められます。 |
実務未経験からバックオフィスに転職できる?
バックオフィスのどの職種も、「全くの未経験」で中途採用されるケースは少ない傾向にあります。
一方で、これまでの実務経験を活かすことで、未経験からバックオフィス・管理部門のポジションに転職(または部署異動)となるケースも見られます。
代表的なパターンとしては、以下があります。
事務職の実務経験→総務・経理・法務への転職(または部署移動)
事務職での実務スキルを評価してもらい、総務・経理・法務への転職を果たすパターンです。
この場合、事務職として達成した実績(業務効率化の仕組みづくり・運用など)があるかどうかで、難易度が大きく変わります。
アピールできる実績がない場合は、社会保険労務士や日商簿記検定(2級以上)などの資格を取得しておくことで確度を高められるでしょう。
営業職の実務経験→総務・人事への転職(または部署移動)
営業職のフロントオフィス・直接部門としての経験を評価してもらい、総務・人事(簿記の知識がある場合は経理も含む)に転職するパターンもあります。
一般的に、フロントオフィス・バックオフィス両方を経験した人は、企業から「高い市場価値」として評価される傾向にあります。
これまで営業職として実績を出してきた人でしたら、バックオフィス・管理部門へのキャリアチェンジを歓迎する企業は多いはずです。
エンジニア職の実務経験→人事・情報システムへの転職(部署移動)
近年のエンジニア人材不足の影響もあり、エンジニアへの知識のある人材を人事部に求める企業は増加傾向にあります。
また、ネットワーク・セキュリティ関連の実務経験のある人は、社内SEとして歓迎されることも多いでしょう。
2)バックオフィスとフロントオフィスの違い
続いては、これまで営業職や企画職などのフロントオフィス業務に携わっていた人向けに、バックオフィスとフロントオフィスでどのような違いがあるかを、以下の観点で見ていきましょう。
求められる働き方・目標設定
フロントオフィス:売上、サービス品質 バックオフィス:生産性向上、「ミス・遅れなく」
営業やマーケティング、エンジニアをはじめとするフロントオフィスでは、売上やサービス品質の向上が最優先ミッションとなることが多いです。
一方のバックオフィスでは売上を直接的に扱うことはありませんので、生産性向上(売上、サービス品質の向上を果たしやすい組織体制にすること)が大きな目標になります。
生産性向上とは
生産性向上とは、企業が持つ資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を最大限に生かして、より多くの成果を生み出すことをいいます。
「業務効率化」とセットで扱われることが多いですが、業務効率化は「労働時間の短縮」にフォーカスされるのに対して、生産性向上は「適材適所」や「部署間の連携によるシナジー効果」など、パフォーマンスや収益の改善・向上までが含まれます。
とうぜん生産性向上が高まれば売上も高まりますので、最終的な目的はバックオフィスもフロントオフィスと同じく「企業の発展」になるといえます。
業務の進め方
フロントオフィス:優先順位に沿った行動 バックオフィス:業務の同時進行が多い
フロントオフィスからバックオフィスにキャリアチェンジした人の感想によくみられるのが、「バックオフィスは同時進行の業務が多い」というものです。
これは、バックオフィスはフロントオフィスと比べて「単発業務」が発生しやすく、かつそれぞれの業務は他の業務と連動しない個別発生のものが比較的多い傾向にあるためです。
フロントオフィスでも業務が多岐にわたるケースはありますが、バックオフィスと比べてそれぞれの業務は連動していることが多いため、優先順位付けはしやすいでしょう。
一方のバックオフィス業務は、常に業務の優先順位を確認しながら、目の前のタスクを処理していく必要があります。
また、バックオフィスの仕事は他部署から相談されることがふんだんに発生しやすく、「まとまった時間がなかなか取れない」という人も多いです。
ときに5分~10分のスキマ時間を最大限活用して、なんとか1日の業務を終わらせる──という日もあるでしょう。
コミュニケーション・意見発信
フロントオフィス:イニシアティブをとりやすい バックオフィス:イニシアティブをとりにくい
さきに「バックオフィスは他部署から相談されることが多い」と言いましたが、フロントオフィス業務では、「仕事に集中しているときに他部署から話しかけられて中断された」という話はあまり聞きません(実際はあるでしょうが、バックオフィスと比べて少ない印象です)。
当然これら傾向は会社文化・風土によっても変わりますが、多くの職場で「フロントオフィス業務のほうが、優先度が高い」という意識・価値観が見られることと無関係ではないでしょう。
仕事や役割に優劣をつけるべきではありませんが、コミュニケーションや意見発信の際に、バックオフィスはフロントオフィスと比べて「イニシアティブをやや取りにくい」と感じることは、実際に少なくないのです。
3)他職種からバックオフィス・管理部門にジョブチェンジする際のポイント4点
ここからは、フロントオフィスからバックオフィスにジョブチェンジする際に、意識したいポイントを4点、お伝えします。
「その業務を極めたい」とモチベーションを持てるか自問しよう
これまでフロントオフィスとしてキャリアを積んできた人がバックオフィスにジョブチェンジするというのは、相応の想い・考えがあってのことでしょう。
その想いをより確かなものにしていくうえでも、ジョブチェンジ後の業務に対してモチベーションを維持し続けるかについていちど自問しておくことをおすすめします。
必要となる知識・スキルを整理しよう
バックオフィスのポジションへの転職・部署異動は、多くの場合「空き枠採用」です。
前任者と同等のパフォーマンスが求められるため、そこに臨む私たちも即戦力となれるよう準備することが求められます。
目指す職種・ポジションでどのような知識・スキルが必要となるかを事前に洗い出し、不足点がある場合は調査や学習を進めておきましょう。
参考:バックオフィス・管理部門の主な職種で、必要となる知識・スキル例
職種 | 説明 |
---|---|
経理・財務 |
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人事 |
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法務 |
|
情報システム(社内SE) |
|
総務 |
|
これから先5年~10年のキャリアプランを立てよう
バックオフィスに限らず、これまでの働き方から大きなキャリアチェンジを実現する際は、これから先5~10年のキャリアプランを立てておくことをおすすめします。
とくに今後管理職や役員クラスへのキャリアアップを目指している人は、キャリアチェンジ後どのようなキャリアパスを辿るかの考察はとても大切です。
キャリアプランの進め方
キャリアプランは、以下のように表組でまとめると整理しやすくなります。
「5年~10年も先のことなど、イメージが付かない」という人はまず1年~3年のスパンでキャリアプランを整えてみましょう。
キャリアプランの例(人事部へのキャリアチェンジをする場合)
キャリアビジョン (仕事で実現したいこと) | キャリアプラン (そのためにやるべきこと) | |
---|---|---|
1年後 |
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5年後 |
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10年後 |
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バックオフィス・管理部門の転職は、企業の「空き枠採用」が殆ど。中長期的なプランを
これからバックオフィスへのキャリアチェンジを見据えて転職活動を予定している人は、半年~1年ほどの中長期プランでスケジュールを立てておくことをおすすめします。
その理由は、バックオフィス・管理部門の転職は企業の「空き枠採用」が殆どで、あなたに充分なスキルがあったとしてもタイムリーに希望にマッチする求人が見つかるとは限らないからです。
具体的な進め方としては、以下の流れが望ましいでしょう。
- ①バックオフィス・管理部門の求人を多く取り扱う転職エージェントに登録
- ②エージェントからのヒアリングはじめ、情報収集をおこなう
- ③不足する知識・スキルについての調査・学習をおこなう
- ④希望条件に合致する求人があったら応募する
②~④の流れは、1~2ヵ月単位で繰り返すことをおすすめします。
数ヵ月の経緯で、転職市場などの状況が少なからず変化することは多いです。
あなたのこれまでの経験が活かせる働き方が新たに見つかることもあるでしょう。
4)未経験からバックオフィス・管理部門へ転職におすすめ転職エージェント
ここからは、未経験からバックオフィス・管理部門への転職におすすめの転職エージェントをお伝えします。
先にお伝えしたとおり、転職エージェントは「情報収集」としても役立ちます。
また、バックオフィス・管理部門の求人はフロントオフィスと比べてやや少なくなりますので2~3のサービスに登録して、幅広く求人にリーチできるようにしておきましょう。
ヒュープロ
バックスタッフ・管理部門の転職支援に特化した転職エージェント。求人の豊富さと、キャリア相談の手厚さが強みです。
ヒュープロは、管理部門の転職支援に特化した転職エージェントです。
同領域を扱うサービスとの違いは、ヒュープロは大手から中小までの優良企業・事務所の求人を幅広く取り扱っていること、また求職者へのキャリア支援の品質の高さにあります。
そのため、若手からミドル・シニア層まで幅広い求職者が利用しています。
ヒュープロの特徴は、バックスタッフ求人の豊富さと、キャリア相談の手厚さにあります。
「どのような求人があるか」だけでなく、「どのような働き方を実現したいか」といった疑問にも対応しながらの求人紹介、キャリア支援が可能です。
サービスを利用した人たちからは、「こちらの希望条件にしっかり向き合ってくれた」「面談を受けていくなかで、自分の強みやキャリアを考えるきっかけになった」といった意見・感想が多く見られます。
ヒュープロの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
バックオフィス・管理部門の公開求人数 | 約4,200件(2024年7月現在) |
マイナビエージェント
マイナビブランドによる、大手から中小までの優良企業の紹介に強み。書類添削・面接対策のサポートの手厚さが評判で、「初めての転職」になる人にとくにおすすめの転職エージェントです。
マイナビエージェントは全国の幅広い業種・職種の求人を取り扱う、転職エージェントです。
「20代~30代の若手社会人への支援に強い」と紹介されることが多いですが、40代以降のミドル世代やハイクラス向けの求人も多いです。
マイナビエージェントの主な特徴は、「業界・職種ごとにサポートチームが分かれている」点、そして「書類添削、面接対策のサポートに力を入れている」点です。
応募後は、バックオフィス・管理部門の専門チームからのサポートを受けらます。
マイナビエージェントを利用した人たちの評判・口コミからは、「担当者が親身に対応してくれた」「じっくり話を聴いてくれた」「書類添削、面接対策が役立った」といった意見・感想が多く見られます。
マイナビエージェント登録時には、「希望条件」「これまでの経歴」を入力する欄があります。ここであなたの情報を丁寧に入力しておくことで、担当者からより適切な支援を受けられるでしょう。
マイナビエージェントの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
管理部門の公開求人数 | 約5,000件(2024年7月現在) |
doda
都市部・地方ともに豊富な求人と、担当からの積極的な提案が特徴。企業からのスカウトも多く、「たくさんの求人に接していきたい」人におすすめの転職エージェントです。
dodaは求人数・実績において国内トップクラスを誇ります。
国内最大級の求人数と実績で培ったノウハウがあり、「積極的に求人紹介をする」タイプのアドバイザーが多いため、「スピーディ」かつ「自分にマッチする求人が見つかりやすい」特徴があります。
dodaのサービスの主な特徴は、「転職サイト・転職エージェント両方の機能を利用できる」、「企業からのスカウトが多く届く」ことです。
アドバイザーにキャリア相談をしながら求人を紹介してもらえるほか、自分でも登録後のマイページから気になった求人をチェックして応募が可能です。
企業からのスカウトについては、実際にdodaを利用した人たちからは「スカウトメールがたくさん届く」「(スカウトメールによって)色んな企業を知れる」といった評判・口コミが多く見られます。
業種や職種、地域に関わらず豊富な求人を擁していますので、「まずはバックオフィス・管理部門の求人をチェックしてみよう」という際にもおすすめのサービスです。
dodaの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
管理部門の公開求人数 | 約1.7万件(2024年7月現在) |
リクルートエージェント
バックオフィス求人は国内No.1の豊富さ。担当エージェントの的確かつスピーディな支援も受けられるので、「なるべく早く転職したい」人にもおすすめのエージェントです。
リクルートエージェントは、「保有求人の数」と「転職成約実績」の2つにおいて国内でNo.1を誇る転職エージェントです。
「リクルート」ブランドの信頼性も相まって、企業への営業・提案力も高く、これまで50万人以上の転職者を成功へと導いています。
リクルートエージェントの主な特徴でまず挙げられるのが、全業種・職種においての豊富な求人数。管理部門・バックスタッフの求人数は約3.0万件(※2024年7月現在)と、国内の転職サイト・エージェントで最多となっています。
希望条件にこだわりのある人、他の転職エージェントで紹介される求人が少なかったという人は、とくにリクルートエージェントのサービスメリットを感じやすいはずです。
リクルートエージェントを利用した人たちの評判・口コミからは、「担当エージェントが的確かつスピーディにサポートしてくれた」「求人をペースよく紹介してくれた」といった意見・感想が多く見られます。
急ぎの転職を求めている人に、特におすすめの転職エージェントです。
リクルートエージェントの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
バックオフィス・管理部門の公開求人数 | 約3.2万件(2024年7月現在) |
まとめ)「バックオフィス・管理部門で成長する未来が見える」ならチャレンジを
ここまでお伝えした内容をまとめましょう。
- 実務未経験からバックオフィス・管理部門に転職する際は、これまでのキャリアを活かしたPRポイントを見出すことが大事
- バックオフィス業務は、フロントオフィスと比べて以下の特徴・傾向がある
●目標設定:「生産性向上」が主軸になることが多い
●業務の進め方:業務の同時進行が多い
●コミュニケーション・意見発信:イニシアティブをとりにくい傾向がある - バックオフィス業務へのキャリアチェンジ・転職を目指す際は、以下を意識することが大切
●「その業務を極めたい」とモチベーションを持てるか自問する
●必要となる知識・スキルを整理する
●これから先5年~10年のキャリアプランを立てる
●転職の際は、中長期で臨む
フロントオフィス業務からバックオフィス業務にキャリアチェンジして、「望む働き方を実現できた」と答える人は多いです。
この記事を参考に、あなたが未来に実現したいキャリア像を明確にしつつ、バックオフィス・管理部門へのチャレンジの一歩を踏み出してください。