組み込みエンジニアに未経験から転職するには?仕事内容・必要なスキル・おすすめ転職エージェント
[最終更新日]2024/07/08
組み込みエンジニアへの転職を検討している人は多いのではないでしょうか。
組み込み系システムは、IoT(モノのインターネット)で話題となっています。モノづくりに関わりたくて、未経験から組み込みエンジニアを目指す人もいるでしょう。
組み込みエンジニアは、他のIT系職種と異なる点があることに注意が必要です。
ITエンジニア経験がない人はもちろん、他の職種で経験を積んだ方も、職種の特徴を十分に把握し、準備を進めることが成功への道です。
目次
1)そもそも組み込みエンジニアとは?
組み込みエンジニアとは、家電や自動車、産業機械やロボットなどで動作するシステムを開発するエンジニアのことです。
たとえばご自宅にある炊飯器や電子レンジも、組み込みエンジニアが開発したシステムが使われています。
これは他のITエンジニアがパソコンなど、汎用のIT機器で動くシステムに特化している点と対照的です。
最近話題のIoTも、組み込みエンジニアが開発しています。システム開発を通じてさまざまな業界に貢献できるだけでなく、時代をリードする技術を学び取れることも、組み込みエンジニアの魅力の1つです。
一方で、組み込みシステムは小型化される場合が多く、システム開発にあたりさまざまな制約があります。
このため組み込みエンジニアの開発現場では、小型化や効率化に向けて「知恵を絞って工夫を凝らす」シーンが多く見られます。
組み込みエンジニアの仕事内容
組み込み系システムの開発ステップは、仕様の検討から設計、開発、テストの順に進むことが一般的です。このことは、他のシステム開発と大きな違いはありません。
また、組み込み系システムの特徴のひとつに「ハードウェアに特化する」ことがあります。
たとえばエアコンなら、エアコン専用のシステムが開発されます。こうした特徴から、他の職種にはあまりみられない以下の業務も行う場合があります。
- 電子基板の設計など、ハードウェアに関する開発
- 実際の家電や機器、機械を使ったテスト
- IoTを搭載した機器では、センサーに関する技術を使った開発
なお、開発作業は機能別のチームに分かれ、少人数で進められることが多いです。
組み込みエンジニアの年収
転職情報サイト「doda」では、組み込みエンジニアの年収イメージが公開されています。その内容は、以下の通りです。
- 平均年収は501.2万円
- 全体の76%が、300万円~700万円の年収額
- ボーナスは2021年の冬・2022年の夏ともに66万円
出典:パーソルキャリア「あの職種とはどんな仕事?doda職種図鑑 組み込みソフトウェア開発」
dodaでは、ITエンジニア全体の年収も公表しています。2022年の平均は442万円ですから、組み込みエンジニアの年収は平均より60万円ほど多くなっています。
組み込みエンジニアは、ITエンジニアの中でも、高い年収が期待できる職種といえるでしょう。
年収を上げるには、他の職種と同様に要件定義や設計など上流工程に携わる力をつけることが大切です。
組み込みエンジニアでは、アセンブラよりもC言語で開発できる人の年収が高い傾向にあります。
C言語は難しい言語ですがさまざまな応用もききますから、習得しておくとさまざまな点でプラスになるでしょう。
組み込みエンジニアの将来性
組み込みエンジニアの将来性は、他のIT系職種に比べても高いといえます。それは、以下の理由があるためです。
- 一人前のエンジニアになるまでのハードルが高い
- 主に使う言語がアセンブラやC言語であるため、他の職種から流入しにくい
- 人手不足である一方、他のIT系職種と比べて人気がない
- IoTへの対応など、多くの仕事が想定されている
組み込みエンジニアは一人前になるまでは大変ですが、できるエンジニアに成長すれば安定して続けられる職種です。
もっとも、求められる機能や技術は変化しますから、時代の要請に応える姿勢とスキルアップは常に必要となります。
キャリアパスについては、他の職種と同様にコーディングやテスト担当から上流工程に進み、プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーへ進むことが多いです。
未経験から組み込みエンジニアを目指せる?
結論からいうと、全くの未経験から組み込みエンジニアを目指すのは難しいでしょう。
先にお伝えしたように、組み込みエンジニアはアセンブラやC言語などのプログラミングスキルが求められ、さらには業務でハードウェアに対する深い知識が必要となります。
これらに対して知識ゼロの状態であった場合、組み込みエンジニアの求人に応募しても、採用される確率は低いです。
一方で、組み込みエンジニアは人手不足が顕著にみられる職種ですので、「実務未経験であったとしても、積極的に採用したい」とする企業も見られます。
その際は社内研修などで不足している知識・スキルを補うわけです。
「現在のスキル不足は否めないが、積極的にキャッチアップしていきたい」という熱い想いを持てる人は、チャレンジする意義はあるでしょう。
2)組み込みエンジニアに必要な知識・スキル
組み込みエンジニアで必要なスキルには、以下の4つがあげられます。
限られた性能の機器やOSに、必要な機能を実装するスキル
組み込みエンジニアが関わる機器は、製品や機械に組み込まれて提供されます。
もし仕組みが複雑になると、コストアップにつながります。このため必要な機能は実装しつつ、できるだけ簡素な環境で動かす工夫が求められます。
開発で想定されるハードウェアやOSのスペックは、余裕がない場合も多いでしょう。
冗長な記述ができないこともあり、「もう少しスペックが高ければ、実装しやすいのに」と思うケースも、多いかもしれません。
しかしそれこそが、組み込みエンジニアの能力を決める重要なポイントです。
熟練したエンジニアなら、必要な機能をコンパクトに実装できるスキルを備えています。組み込みエンジニアとして働くなら、シンプルな実装を意識することが欠かせません。
品質にこだわり、安全を第一に考える姿勢
組み込み系システムの特徴として、製品化後の修正が難しい点は見逃せないポイントです。
万が一不具合が発生した場合は、すべての製品を回収する、機械を使った業務の停止を余儀なくされるといった、甚大な影響を与える恐れもあります。
また組み込み系システムはさまざまな機器・機械に内蔵されるため、不具合があると設備や建物の破損、人身事故や火災などのリスクも存在します。
このような事態は、ぜひとも防がなくてはなりません。万が一誤動作したり危険な事象が発生したりした場合は、機器の停止など安全な方法を自動で選ぶ「フェイルセーフ(フェールセーフ)」 の仕組みも必要です。
このため設計や開発の時点から、「絶対にミスをしない」「製品に起因する危険な事象を起こさない」というこだわりが必須です。その上で、テストを入念に行うことが信頼につながります。
セキュリティに関する知識も重要
組み込み系システムはセキュリティのリスクと無縁と思われがちですが、そうではありません。IoTの進展に伴い、家電や機械もインターネットに接続するものが多くなっています。
このため悪意のある人がインターネットを経由してシステムを利用不能にする、ウイルス感染の踏み台にするなどの行為をするリスクがあります。
実際に国内外で、以下のような事例が起きています。
- HDDレコーダーに不正侵入され、ブログにスパムコメントが大量に投稿される
- 複合機に蓄積された個人情報を含むデータが、外部から参照可能な状態になっていた
- 工場の生産設備を破壊する
- ATMにウイルスを感染させ、不正に現金を引き出させる
参考:
ユビテック「-組込みセキュリティ事例紹介-自動車、医療、住宅…迫る脅威と守るポイント」
日本ネットワークインフォメーションセンター「IoTのセキュリティ~ハッカーによる攻撃の現状と対策ポイント~」
このため、組み込みエンジニアも他の職種と同様に、セキュリティを踏まえた設計と実装が求められます。
コミュニケーション能力も重要。まずはチームメンバーとの円滑なコミュニケーションを
組み込みエンジニアは、少人数のチームに分かれて開発をする場合が多いです。求められる品質をクリアし、ミスなく仕上げるためには、チームメンバーとの密接なコミュニケーションが欠かせません。
快適に働ける環境づくりのため、丁寧なコミュニケーションは必要です。スムーズに開発を進めるためにも、相手が話す内容を正しく理解するとともに、不明な点があれば遠慮なく質問しましょう。
その上で自らの報告も正しく行うとともに、主張すべきはきちんと主張することが重要です。
なおキャリアを積むと、顧客担当者との対応スキルも求められる場合があります。
しかしこれから組み込みエンジニアになる人は、まずチームメンバーとのコミュニケーションを円滑に行うことに優先して取り組むとよいでしょう。
3)未経験から組み込みエンジニアの転職を成功するために、準備したいポイント
未経験から組み込みエンジニアに転職を目指すならば、以下にあげるポイントを押さえて準備することをおすすめします。
こちらも、組み込み系ならではの内容が多く含まれています。それぞれの理由について、順に解説していきましょう。
組み込み系でよく使われる開発言語やOS、ネットワークの知識が必要
多くのシステム開発と異なり、組み込み系システムでは以下の技術が使われます。
- C言語やC++
- アセンブラ
- TRON
- 有線・無線ネットワーク
上記のスキルを身につけていない人は、転職までにある程度学んでおくことをおすすめします。
組み込みエンジニアは即戦力と正確性が求められますから、ミスなく正確に、かつ迅速に動くシステムを作成できるよう、プログラミングスキルを高めておきましょう。
また、組み込み系システムで使われる言語の習得は決して簡単ではないため、スクールなどを活用することも1つの方法です。
組み込み系システムでは、リアルタイム性に特化したOS(RTOS)としてTRONがよく使われます。事前に学び、知識を得ておくとよいでしょう。
ハードウェアの知識も習得することをおすすめ
組み込み系システムはICなど、特定のハードウェアと組み合わせて使われます。
いわばハードウェアに特化したシステムですから、ハードウェアの持ち味を生かすプログラミングが求められます。プロジェクトによっては、ハードウェアの開発に携わる場合もあります。
このため組み込みエンジニアを目指すなら、ハードウェアの知識を習得しておくこともおすすめです。一例として、半導体チップやセンサー回路などがあげられます。書籍やWebを使って、学習しておきましょう。
英語力もあるとよい
組み込みエンジニアになるためには、英語力をつけておくこともおすすめです。その理由は、以下の2つにまとめられます。
- 必要な情報が日本語で提供されておらず、英語の文章を読む必要に迫られる場合がある
- オフショア開発により、海外のエンジニアとコミュニケーションを取る可能性がある
せっかくC言語やアセンブラの高いスキルがあっても、英語がわからないためにシステムを組めないといった事態は避けたいものです。
最低でも、マニュアルを読める程度の英語力を身につけてから転職することをおすすめします。可能であればTOEICで700点以上のスコアを取るとよいでしょう。
業界に強い転職エージェントを利用しよう
ここまで解説したとおり、組み込みエンジニアは他のITエンジニアと異なる特徴を多く持っていることが特徴です。このため組み込み系システムへの転職には、業界に強い転職エージェントの活用がおすすめです。
転職エージェントは企業ごとの特徴を把握しているため、あなたが入社後に活躍できるか事前に判断できます。
加えて非公開求人も多く持っているため、独力で探すよりも選択の幅が広がります。もちろんキャリアアドバイザーは、組み込み系システムならではの特徴も押さえていますから安心です。
また転職エージェントを活用することで、書類作成や面接のアドバイスを受けられることも、内定に近づく上では欠かせないメリットです。
4)組み込みエンジニアの転職におすすめの転職エージェント
未経験から組み込みエンジニアを目指す人にとって、転職エージェントの選択は極めて重要です。できれば未経験者にも手厚いサポートがあり、豊富な選択肢から選べる転職エージェントに依頼したいことでしょう。
ここでは組み込みエンジニアを目指す際の、おすすめの転職エージェントを紹介します。あなたに合った転職エージェントを見つけられるよう、ぜひご参考ください。
リクルートエージェント
組み込み・制御エンジニア求人数は国内No.1の豊富さ!豊富な転職ノウハウと支援ツールで、「スピーディな転職」を実現できます。
リクルートエージェントは国内No.1の求人数と転職支援実績を誇る転職エージェントです。
組み込みエンジニアの転職支援にも強く、2024年7月の組み込み・制御エンジニア向け公開求人数は1.7万件と、他のエージェントから群を抜いての豊富さです。
これまで培ったノウハウをもとに開発された「サービス体制」と「支援ツール」が非常に高品質であることが、リクルートエージェントの強みです。
たとえば、リクルートエージェントでは志望企業の特徴・評判といった分析から選考のポイントまでをまとめた「エージェントレポート」を用意してくれます。
組み込みエンジニアの転職では、その職場の開発環境から必要なスキルや働き方まで、ネットで公開されていないような企業情報が必要となることも多いでしょう。その際に、レポート情報は大いに役立つはずです。
また、担当アドバイザーもこれまでの実績をもとにITエンジニアの転職に関する有益なアドバイスを提供してくれるでしょう。
リクルートエージェントの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
組込み・制御エンジニアの公開求人数 | 約1.6万件(2024年7月現在) |
doda(デューダ)
都市部・地方ともに豊富な求人と、担当からの積極的な提案が特徴。企業からのスカウトも多く、たくさんの求人に接していきたい人におすすめの転職エージェントです。
dodaは国内トップレベルの求人数と、担当アドバイザーから積極的な提案が評判の転職エージェントです。
組み込みエンジニア系求人も常時6,000件ほど取り揃えており、都市部だけでなく地方での転職支援にも強いです。
dodaのサービスの主な特徴は、「転職サイト・転職エージェント両方の機能を利用できる」、「企業からのスカウトが多く届く」ことです。
アドバイザーにキャリア相談をしながら求人を紹介してもらえるほか、自分でも登録後のマイページから気になった求人をチェックして応募が可能です。
企業からのスカウトについては、実際にdodaを利用した人たちからは「スカウトメールがたくさん届く」「(スカウトメールによって)色んな企業を知れる」といった評判・口コミが多く見られます。
登録時のレジュメに「組み込みエンジニアの働き方を希望している」とPRすることで、希望条件に合致するスカウトが届くこともあるでしょう。
dodaの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
組み込みエンジニアの公開求人数 | 約8,000件(2024年7月現在) |
ワークポート
エンジニア、営業、メーカー系はじめ豊富な求人。転職決定率の高さに定評があり、「転職活動をエージェントから力強くプッシュしてほしい」人におすすめのエージェントです。
ワークポートは、国内に52の拠点を持つ運営20年の大手転職エージェントです。
ほぼ全ての業種・職種の求人に対応しており、組み込みエンジニア、制御エンジニアの案件も豊富です。
同サービスの活用メリットとして挙げられるのが、「転職決定率の高さ」です。
サービスを利用した人たちの評判・口コミからは「求人紹介から企業との交渉まで積極的に動いてくれた」「企業とのミスマッチを最小限に抑えようと働きかけてくれた」といった感想が目立ちます。
リクナビNEXT『GOOD AGENT RANKING ~2023年度上半期~』(2023年4月~2023年9月)にて、『転職決定人数部門 第1位』を受賞した経緯もあります。
「転職活動をエージェントから力強くプッシュしてほしい」というニーズのある人におすすめのエージェントです。
ワークポートの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
ものづくりエンジニアの公開求人数 | 約1.4万件(2024年7月現在) |
マイナビエージェント
書類作成、面接準備のサポートの手厚さが特徴。とくに「はじめての転職で、不安…」という人におすすめです。
マイナビエージェントは専門知識を持つキャリアアドバイザーが一人ひとりの転職者に対して丁寧に向きあい、きめ細かなサポートをしてくれることで知られる転職エージェントです。
とくに20代〜30代前半の転職サポートを得意としており、志望動機のブラッシュアップや面接指導を的確に行ってくれます。
また、マイナビエージェントは業界ごとに専任のキャリアアドバイザーが在籍しており、専門知識を持つプロからアドバイスしてもらえるのが特徴です。
組み込みエンジニアおよびメーカー業界に特有の転職事情を熟知したキャリアアドバイザーに相談したい人に適しています。
マイナビエージェントの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 全国 |
組み込み・制御エンジニアの公開求人数 | 約1,900件(2024年7月現在) |
まとめ)組み込みエンジニアは将来性のある職種だが、難易度は高め。事前の準備を万全に
組み込みエンジニアは、さまざまな機器や機械の開発で役立てます。
このため将来性ややりがいがある一方でエンジニアに要求される技術のレベルは高く、簡単に参入できる職種ではありません。そもそもC言語は、難しい言語の1つであることにも留意が必要です。
加えて採用においても即戦力や正確性が求められる傾向にありますから、プログラミング言語の習得など事前の準備を万全に行った上で転職活動を進めるとよいでしょう。
転職活動をスムーズに進めるためには、転職エージェントの活用がおすすめです。あなたに合った企業を紹介してもらえますから、入社後のアンマッチを防ぎ、活躍できる可能性を高めます。積極的に活用し、希望どおりの未来を実現しましょう。