人によって態度を変える上司が苦手…。どう向き合う?付き合い方・対策まとめ
[最終更新日]2024/06/14
相手によって態度を変える上司に苦手意識があり、日々の仕事でストレスを溜めていませんか?
職場の上司であれば日々の業務で関わりを持たざるを得ないことから、どう向き合っていくべきか悩んでいる人もいるでしょう。
目次
1)人によって態度を変える上司にストレスを溜めている人は多い
転職サービス「エン転職」が実施した調査によれば、「困った上司」と感じる原因の最多を占めた回答が「人によって態度を変える」ことでした。(※)
「困った上司」がいると答えた人へのアンケート|どの点に「困った上司」と感じましたか?
※エン転職「「上司と部下」について|アンケート集計結果」より(グラフは弊社作成)
上のグラフからは、「人によって態度を変える上司」にストレスを抱えている人は決して少なくないことが分かります。
具体的には、どのような場面で「人によって態度を変える」上司と映っているのでしょうか。
まさにそうした状況に遭遇したという、3名の方々の体験談を見ていきましょう。
体験談① 自分にだけ異様に厳しく、フォローもしない上司
25歳 男性 教育サービス業 愛知県
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直属の上司(男性 40代後半)は同期や後輩からの評判が良く、頼りになる上司で通っています。
しかし、半年前に私が配属された当初から、どういうわけか私に対してだけ異様に厳しくフォローも全くしないのです。
仕事は基本丸投げ、必要な情報も与えてもらえず、質問すれば「少しは自分で考えろ」、自分で考えて進めると「事前に一言ぐらい確認したらどうだ?」と、非常に理不尽な回答が返ってきます。
これは私の憶測ですが、同期や後輩はほとんどが現地採用で、かつ直属の上司が自ら採用した人材。
県外の大学出身者は私だけですし、本社から異動してきたのも私だけでした。ときおり、上司と後輩たちが「地元トーク」で盛り上がっているのを耳にすることがあります。
私は地元の人間ではないので、話題に加わることができません。私は「よそ者」扱いされているのだろうか?と感じてしまう瞬間がたびたびあります。
社内派閥などの人間関係のしがらみが問題を複雑にしている場合もある
上司が自分にだけ異様に厳しく、不公平な扱いを受けていると感じているという方の体験談です。
自分以外の社員の間で評判の良い上司であれば、なおさら人によって態度を変えているように映るはずです。
そもそも人は、程度の差こそあれ接する相手によって対応は変わるものでしょう。
ですが、同じ「社員」という立場にもかかわらず出身地などの当人が変えようのない事柄で、上司が態度を変えることは、部下にとっては理不尽に感じらるものです。
体験談② 私のチャットにだけまったく反応しない上司
35歳 女性 ITサービス 東京都
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社内チャットで、私のコメントにだけまったく反応しないのが、直属の上司(男性 45歳)です。
彼あてにしている質問なのに、まったく返事なしです。うちの職場はほぼ100%テレワークなので、そのせいで業務が非常に滞ってしまうことも。ある時は、「明日の14時までにクライアントに提出しないといけない資料を、確認してほしい」と何度お願いしても、まったく反応なし。
リミット1時間を切って、5回目のお願いの際に「お忙しいところ、本当に申し訳ないのですが、ご確認頂きたいです」と連絡したら、その2分後に「良いと思います」とだけ返ってきました。その上司、その間に他の社員とのチャットで(雑談スレでも!)たくさんコメントしてるんですよね。
本当に、いつもはらわた煮えたぎる思いです。
「社内チャットでスルーされる」ことを悩む人も多い
「社内チャットでスルーされる」悩みを持つ人は多く、ネット上でも同様の声を多数見つけられます。
この場合、「〇〇までにご返事ください」と期限を設ける、なるべく一対一のチャットは使わずにグループチャット(他の人も確認できるスレッド)を使う、必要に応じて電話やオンラインミーティングの機会を設けてもらうなど、いくつか対策を講じることも可能です。
ですが、「なぜスルーする相手のために、そこまで自分が合わせないといけないだ?」とストレスを溜めてしまうこともあるでしょう。
とくに相手が直属の上司で、かつ他のメンバーにはレスポンスよく対応しているようでしたら、その負の感情は大きくなってしまいがちです。
体験談③ 自分自身の評価が最優先事項の上司
38歳 男性 出版業 東京都
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部下の失敗は部下自身の責任、部下の手柄は自分の手柄、というのが上司(女性 50代)の基本的なスタンスです。
上司は新卒入社組で社歴は30年以上という最古参の社員の1人。現在の役員はかつて彼女の上司だった人で、彼女を管理職に抜擢した人でもあるそうです。
上層部の信頼は極めて厚く、明らかに部下をないがしろにしている様子が見られても苦言を呈したりはしません。
普段は部下に対して刺々しく嫌味な注意の仕方をしますが、社長や役員が視察に訪れると一変して穏やかな口調になります。
一度、別の部署の管理職に「上役と部下への対応が全然違う」と相談したことがありましたが、「いやいや、〇〇さん(上司の名前)に限ってそんなことはしないでしょう!思い込みでは?」と一蹴されてしまいました。
上司にとっては自分自身の評価が最優先で、部下は踏み台にされてしまうのだな、と最近は半ば諦めています。
上司が保身に走っているように映ることに対して不満を感じる人も。
上司の態度が人によって変わる原因が「保身」のためではないか、と感じると、部下にとっていっそうストレスの溜まりやすい状況になりがちです。
上司自身の評価にプラスになるかどうかによって、態度を使い分けているように感じる場合もあるでしょう。
体験談にあるように、上役に見せる顔と部下に向ける顔が大きく異なるケースでは、部下のほうが圧倒的に不利な立場になりかねません。
仕事の成果や力量を評価された結果、管理職に昇進している人が大半だからです。
社内に理解者がいない・味方がいないと感じられる状況は、上司との関係性において大きなストレスとなり得ます。
2)結論:相手を見て態度を変える人には深入りすべきではない
結論からいうと、相手を見て態度を変えるタイプの人とは、関わりを最小限にするのが得策です。
うまく付き合っていくにはどうするかを考えるより、そもそも深入りしないほうがよいでしょう。
その理由は、次の3点があるからです。
相手を見て態度を変える人に深入りすべきではない理由
相手の考え方やスタンスはすぐに変えることはできない
上司が「人によって態度を変える」人であった場合、それはあなたのタイプや上司との関係性が原因ではなく、上司の人間性(=考え方・スタンス)の方に問題があるのかもしれません。
考え方・スタンスは、その人のこれまでの人生によって形成されたものであり、仮に「あなたのそういうところを直してほしい」と言われてすぐに改善できるものではありません。
つまり、上司の機嫌を伺ったり、印象を良くしようと心がけたりしても、相手の基本的なスタンスはすぐには変わらない可能性があります。
ただし、今後も中長期的な付き合いになる場合は、上司のあなたに対するスタンスが徐々に変化していくことも十分に考えられます。
今の上司に感じているストレスが許容範囲内であり、かつ「ゆくゆくは、上司と良い人間関係を築きたい」という想いが少なからずあるのなら、「短期的な改善を求めすぎずに、少しずつ信頼関係を形成していく」という方針を持つのもありでしょう。
自分自身が振り回されるリスクが高い
もし現在、「人によって態度を変える上司のことで頭がいっぱいになってしまっている」としたら要注意です。
その想い自体に自分自身が振り回されてしまう場合があるからです。
上司の言動に腹を立てたり、なぜそのような態度を取るのか考えたりしていた時間は、端的に言えば「上司に奪われた時間」です。
本来、業務とは直接関係のないことでストレスを抱え、エネルギーを削がれている状態といえるでしょう。
こうした状態が続くと、自分自身が担当業務に集中できなくなりがちです。結果として仕事でも思うように成果が出せなくなり、評価も下がってしまうこともあります。
そうすると、ますます社内で「嫌なこと」「ストレスの原因になること」が増えていく悪循環に陥りかねません。
このような状態にならないためには、上司と一定の距離を持つことも大切です。
「自分がいま優先して考えるべきこと・取り組むべきことは何か」を考えて、まずはそれらに注力することを心がけるとよいでしょう。
本当に「立場の弱い人に対して態度を変える」ような人なら仕事相手としても適切ではない
上司と部下という枠組みを一度外して考えた場合、相手によって態度を変える人と進んで仕事をしたいと思うでしょうか。
おそらく、多くの人にとって答えは「No」になるでしょう。
会社という組織内で偶然にも上司と部下という関係になったものの、お互いが一人の人間であることに変わりはありません。
そして仕事とは多くの場合、他者との信頼関係のもとに成り立つものです。
相手のことを「信頼できない」と感じている場合、(その現時点においては)その相手との協働によって大きな価値を生み出すことは困難でしょう。
また、「人は、自分よりも立場的に弱い人と接するときに、その本性が出やすい」といいます。
もし、その上司が立場の弱い人に対して態度を変えるようであれば、共に仕事をしていくパートナーとしてそもそも適切ではないのかもしれません。
3)それでも「人によって態度を変える上司」にストレスが溜まるときは
人によって態度を変える上司に深入りしないように心がけていても、同じ職場で働いている上司と部下という関係である以上、接点を完全に排除することはできません。
前章で挙げた点を意識してもなおストレスが溜まるようであれば、次の対策を講じてみてください。
「感情本位」ではなく「目的本位」で仕事に臨む
上司へのストレスが高まっている際に、一旦振り返っておきたいのが「いま、自分は何を優先して仕事をしているか」という観点です。
また、この際は「感情本位(気分本位)」/「目的本位」という考え方に沿って考えると、思考の整理がしやすくなるでしょう。※
感情本位とは、「感情・気分」を優先している状態を言います。
一方の目的本位とは、その人自身の「目的・目標」を優先している状態です。
仕事・私生活に関わらず、私たちはときに「自分は今、感情的になりすぎていないだろうか?」と見つめ直すことがあるでしょう。これはすなわち、「感情本位になっていないかの振り返り」です。
そして感情本位の状況にあるとき、人は負の感情を増長させやすく、また適切な判断・行動ができなくなってしまいがちです。
一方、目的本位でいた場合は、誤った判断・行動をしてしまうリスクは少なくなります。
どういうことか、例として「人によって態度を変える上司」に対して感情本位・目的本位それぞれの状態でいたときの違いについて見てみましょう。
状況 | あなたの状態 | 考えられる結果 |
---|---|---|
あなたにだけ態度が冷たい上司がいる | 感情本位になっている |
|
目的本位になっている |
|
このように、こと仕事においては「感情本位」でいるよりも「目的本位」でいた方が、より有意義な結果にしていけることが多いです。
煎じ詰めて言えば、どのような状況であってもそこで受ける結果は、当事者の「状態」によって変わります。
「あなたにだけ態度が冷たい上司がいる」という状況があって、「その結果、どうなるか」はあなたの状態に依るところも少なからずあるのです。
どうやったら「感情本位」から「目的本位」に意識を変えられるのか?
目的本位の状態に近づけるには、本来自身がやるべき仕事や今後目指したいキャリアを再認識することが大切です。
一方で、「それ自体が難しい」「分かっていても、やはり上司への悪感情に引っ張られてしまう」という人もいるでしょう。
その場合は、いちど以下の2点を知り、そして意識することをおすすめします。
不安やストレスといった感情は欲望の裏返しであること
そもそも私たちがなぜ不安やストレスといった感情を持つのかというと、「こうありたい」という欲望があるからです。
人によって態度を変える上司から受けることに大きなストレスを感じているときとは、「厳しくされるのではなく、褒めてほししい」、「上司から正当な評価を得たい」、「他の人と平等・公平に接してほしい」などの欲望があるのかもしれません。
欲望がなければ、不安・ストレスも生じません。
いま現在抱いている欲望に対して、「本当にその欲望は自分にとって必要なものか」を振り返えること。また、「必要ではない」と思えるのなら、その欲望を意識的に小さくしていくこと。そうすることによって、不安やストレスが低減することもあります。
感情の法則を知っておくこと
森田正馬氏により創始された精神疾患に対する心理療法「森田療法」によると、人の感情には以下の法則があるといいます。
- ① 感情は、そのまま放任し、またはその自然発動のままに従えば、その経過は山形の曲線をなし、ひと昇りひと降りして、ついに消失するものである。
- ② 感情はその衝動を満足すれば、急に静まり消失するものである。
- ③ 感情は同一の感覚に慣れるに従って、にぶくなり不感となるものである。
- ④ 感情は、その刺激が継続して起こるとき、注意をこれに集中するときに、ますます強くなるものである。
- ⑤ 感情は、新しい経験によって、これを体得し、その反復によってますます養成される。
①は、「いま抱いている感情は、時を経て強まったり弱まったりしながらも、いずれは消失する」ということです。つまり、どのようなストレスも未来永劫は続きません。
②は、「感情からの衝動(怒りを発散したりすること)によって、(一時的には)その感情を消失できる」ことを伝えています。ただし、一時の感情で衝動的な行動を取った場合は、あとで後悔することも多いといいます。
③は、「その状況に慣れてくると、感情は収まりやすくなる」ということ。一方で④では、「その感情に意識を集中してしまうと、感情はますます強くなる」と説明しています。
⑤は、「感情は行動と経験から生まれるもので、かつその繰り返しで形を変えたりますます大きくなったりする」ということです。たとえばある出来事に対して、あなたが笑えば笑いの感情が、あなたが怒れば怒りの感情が養成されます。
これら①~⑤の法則について、いま一度人によって態度を変える上司へのストレスに当てはめてみてください。
ポイントは、「感情は、自分自身の意識・働きかけからの影響も受けている」ことを知っておくことです。
それによって、今のストレスをどう対処していくとよいか、あなたならではの対策を見つけられることもあるでしょう。
※ 感情本位・目的本位の説明については、文中でも紹介した森田正馬氏の「森田療法」を参照しています。森田療法について詳しく知りたい方は、以下の書籍がおすすめです。興味がありましたらご参考ください。
第三者に相談して本人に働きかけてもらう
信頼できる第三者に相談し、間接的に上司へ働きかけてもらうのも1つの方法です。
上司と部下という関係である以上、部下から直接言いにくいことがあるのはやむを得ないでしょう。
上司から見た場合、部下が苦痛を訴えたり不満を直接ぶつけたりしないため、部下にストレスを与えていることを自覚していない可能性があります。
他部署の管理職や役員など、一定の立場にある人から働きかけてもらうことで、上司自身が行動を改めてくれる可能性もゼロではありません。
また、あなたのことを認める人が周りにいれば、上司のあなたへの意識や態度もそれに合わせて変化していく(改まる)ことも少なくありません。
ただし、相談する相手を見誤らないよう十分注意が必要です。
相手によっては上司の側に加担するなど、かえって問題が複雑化する原因となることもあり得るからです。
なお、上司の態度が明らかにパワハラやモラハラに該当すると思われる場合は、人事部やハラスメント相談窓口などに相談するのが得策でしょう。
異動を願い出るまたは転職して環境を変える
上司の態度によってストレスを感じる状況から逃れられないと感じる場合は、環境を変えるのも1つの方法です。異動を願い出て別の部署に移ったり、転職して勤務先ごと変えたりする方法があります。
ただし、上司から逃れたいという一心で異動や転職に踏み切るのはあまりおすすめしません。
異動先や転職先でも、同じような上司に遭遇する可能性も十分にあるからです。
とくに転職においては、「上司と合わなかった」という転職理由はよくある事情として受け取られる傾向があります。合わなかった原因が上司・本人のどちらにあるのか、選考の場では判断しがたいのが実情です。
環境を変える決断をするのであれば、上司以外の理由・動機も見つけておくことが大切です。
人によって態度を変える上司に遭遇したことは異動や転職を考え始めたきっかけの1つに過ぎないと本心から思えるよう、今後のキャリアも見据えた異動・転職の理由を考えておきましょう。
「転職したい」「転職した方がよいかもしれない」と思うのなら転職エージェントに相談を
今後のキャリアについて考えた結果、転職という選択肢が有力であれば、転職エージェントに相談しておくとよいでしょう。
転職エージェントでは求人の紹介だけでなく、キャリア相談や転職に適したタイミングなど、客観的な視点からアドバイスを得られます。
また、過去に同じような状況で転職するべきか迷っていた人の事例や、同じ業種・職種から転職した人の事例を教えてくれることもあるでしょう。
具体的に転職時期が決まっていない場合もキャリア相談を受け付けている転職エージェントも多くあります。
例えば以下に紹介する転職エージェントでは、公式サイト上で「転職時期が決まっていな人もサポート可能」と明記されており、在職中からのじっくり転職に向いています。
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まとめ)人によって態度を変える上司にあなたの人生まで支配されないように
人によって態度を変えることが好ましくないのは明らかです。
ましてその相手が上司であれば、日常的に接点を持たざるを得ないことが苦痛に感じられるのは決して不自然なことではありません。
今回紹介した対策に共通しているのは、上司に対して「誰にでも同じように接する人になってほしい」「考えを根本的に改めてもらいたい」と期待していない、という点です。
むしろ、人によって態度を変える上司に時間やエネルギーを奪われないようにすることが先決でしょう。
気づかないうちに人生を上司に支配されていませんか?今回の記事が、ご自身の人生を取り戻すきっかけになれば幸いです。