仕事が憂鬱で、精神状態を悪くしたことがある人は95％以上｜みんなの意見

人は誰でも、生きていればなんらかの悩み・ストレスを持つものです。
ですが、「ここまでのストレスだったら通常で、ここからは危険」というような線引きをすることは不可能だと思います。人の心に境というものはありませんから。

こうしたところに、「仕事でのストレス・悩みの扱いの難しさ」があるのだと思います。

明らかに心身に支障をきたしている場合は別ですが、
仕事が辛くて憂鬱になっている人に対して私はまず、「仕事と距離を取ってみる」ことを提案しています。

距離を取るとは、「今のご自身の仕事状況を俯瞰してみる」ということです。

例えば、現在の仕事内容をいちど整理する、職場環境をあらためて見直してみる、そして現在の仕事への満足度（どういう点にやりがいを感じていて、またどの点に不満や不安があるのか）を確認するのです。

これらの行為は仕事をしながら同時にできるものではありませんので、きちんとオフの時間を取って心身ともにリラックスできる状況で行います。

ポイントは、今の辛い状況の「犯人捜し」（原因追及）に終始しないことです。
自分を責めることも、また周りを責めることも、ストレス・悩みを解消するうえではあまり役に立たないでしょう。

「これが良い・悪い」という観点で見るのではなく、ただ「今はこういう状況なんだな」と認識することが大切です。

基本的なところですが、まずは食事、睡眠、運動を適度に取ることです。

趣味の時間を持つことも大事でしょうが、本当に辛い状況になったときに人は趣味なんかできなくなるものです。
また、お酒やギャンブルなどの趣味は根本的な解決に至らないだけでなく、更に状況を悪化させてしまうこともあります。

とくに睡眠は気にかけておくと良いでしょう。睡眠時間は、その人の健康上のバロメータです。

不眠が何日も続く、そのほか食欲がなくなる、常に疲労感があるなどの身体的な症状が出ている場合は、早いタイミングで周囲からの援助を得るべきでしょう。

パートナーや信頼できる上司への相談、それから産業医や心療内科での受診も検討されると良いと思います。

産業医や心療内科に相談することにハードルの高さを感じる方もいるようですが、「日常的な相談ができる場所」と捉えて利用されることをおすすめします。

精神状態の悪化はあるところまで進んでしまうと、人間関係や生活自体の「崩れ」を引き起こします。その後、うつなどの病状として顕れることもあります。
そうなってしまう前に、（自分一人で対処しようとせず）他者の助けを得るべきです。

心療内科への受診については、「病院（先生）の良い・悪いの判断はどうすればよいか」といった質問を良く受けます。

相性などの問題もあるので一概にはいえませんが、ひとつは「じっくり話を聞いてくれるかどうか」を見ると良いと思います。
話をほとんど聞かないで薬を出してくるような先生のところは辞めたほうがよいです。

大抵の診療所では、1回目のときは話をよく聴いてくれます。肝心なのは2回目以降です。
2回目に受診した際も話を聴いてくれて、更に前回自分の話したことを覚えていてかつしっかり理解してくれている診療所（先生）かどうかを確認することをおすすめします。

なにかに憂鬱になったり精神的に苦しんだりしているときとは、「なにかが分かっていない状態」でもあるのだろうと思います。

一人の人間が分かることの範囲なんてたかが知れてますから、わかっていなことがあるということは当然なのですが、今あるその悩みは、その『なにか』がわからない（見えていない）から悩むのであり、それがわかれば悩みも自然と解消されるのです。

その『なにか』とは、大いなる真理とかそういうものではなく、気付いてしまえば「ああ、そういうものか」というものであることが多いです。

例えば、長時間労働によるストレスに対して、その悩みが「長時間労働」だけでしたら転職をすれば解決できます。
でも、多くの人は「転職できない理由がある」と言う。
──こうした場合、悩みの本質は長時間労働ではなく、その「できない理由」のなかにあることが多いのです。

では、「今わかっていない何か」とは、何か。

それは、すぐには分からないでしょう。ですが、ふとしたときに思い当たることがあります。

わたしはそれを、「大きなきっかけ」と呼んでいます。そのきっかけは、「こうすれば巡ってくる」というものではなく、どちらかというと然るべき時に向こうから訪れるものです。

ですが、せわしない日常においては、それはなかなかやってきません。

いつもの日常から一歩出て、今の状況を俯瞰する。そして周囲の人たちと話をしてみる。まずはそこから、進めてみると良いだろうと思います。