転職面接でよくある「困る質問」とその裏にある意図を検証
[最終更新日]2024/06/29
転職の面接選考を受ける中で、答えに窮してしまう質問や「なぜそんなことを聞くのだろう?」と疑問を感じてしまう質問をされることがあります。
多くの場合、そのような「困る質問」をされた場合、その裏には何らかの意図があると考えて間違いありません。
目次
1)本音で答えてしまっていいか困る質問
他にも似た業態の会社はありますが、なぜ当社を志望したのですか?
暗に「うちではなく、他社に応募したほうがいいのでは?」と言われているようにも受け取れる質問です。
似たパターンに「うちは業界の中で決してシェアが高いほうではありません」といった、謙遜とも受け取れる言い方に対して、どう反応すればいいのか迷ってしまうケースが挙げられます。
こうした質問は、志望動機を聞き出すための変化球と考えていいでしょう。
- 企業や商品についてよく調べた上で応募しているか?
- 志望の本気度は十分か?
- 内定を出したとして、本当に入社してくれそうか?
といった点を見ていると思われます。
「ここの会社でなくてはいけない」「ここで働きたい」という思いが伝わればOKですが、的外れな答え方をしないためにも前もって企業や商品についてしっかりとリサーチしておくことが大切です。
反対にNGの回答は、「本当はどこでも良かったが、偶然この会社の求人を見かけただけ」と思われてしまうような答え方です。
面接では、入社後にしっかりと定着してくれそうな人物かどうか?を見ていることも多いため、採用してもまたすぐに転職してしまいそうだと思われるのは避けたいところです。
退職した/したい理由を聞かせてください
在職中の人であれば今の職場を辞めたい理由、転職歴がある人なら以前の職場を辞めた理由を聞かれるケースです。
「会社を辞めたい」と思い始めるのはネガティブな理由によるものが多いため、どこまで本音で答えていいものか迷ってしまう人が多いはずです。
本音で答えたことによって、「この人はネガティブな面がある」と思われてしまわないか、不安に感じるでしょう。
もし「職場の人間関係」など、一般的に良くないと言われることが退職理由だったとしても、それ「だけ」が理由ではないはずです。
「キャリアアップしたい気持ちもあった」「もっと仕事の幅を広げられたらいいと思っていた」というように、前向きな理由が(たとえ後付けでも)あれば、そちらを優先して伝え、ネガティブな理由は補足程度に伝えるようにしましょう。
避けたい答え方として、「嫌なことから逃げたかった」だけだと思われるような伝え方が挙げられます。
そのような受け取り方をされると、入社してもまた転職を繰り返すのではないか、と思われる可能性があるからです。
現在、ほかに選考中の企業はありますか?
転職活動中は、複数の企業に応募することは当然あり得ますし、数社の選考が並行して進んでいることも考えられます。
その際、「他にも応募している企業がある」と言っていいのかどうか、迷ってしまうかもしれません。
他社と天秤にかけているようで、失礼にあたるのではないか?という心理が働くのは自然なことです。
企業側としては、採用予定人数が限られている場合は特に、「内定を出したものの辞退が相次ぐ」ような事態を避けたいと考えています。
とはいえ、欲しいと思う人材を「他社も選考中だから」というだけの理由で不採用にするわけにはいかないため、選考する企業としても悩ましいところではあるのです。
そこで、採用して入社に至る可能性が高いかどうか、ある程度は把握しておきたいというわけです。
基本的には、他社の応募状況や選考の進み具合を正直に伝えて問題ありません。
ただし、「他にも受けているから、ここがダメでも問題ない」といった横柄な感じを与えないよう、ありのままを誠実に答えている印象を持ってもらうことが大切です。
2)アピールすべきか謙遜すべきか迷う質問
ご自身の強み・弱みについて教えてください
強みと弱み、長所と短所といった聞き方をされた場合、「良い面ばかりをアピールしたら、謙虚さに欠けると思われるのでは?」と思い、つい「弱み」や「短所」といったマイナスの面を多めに言ってしまう人がいます。
もちろん、良い面ばかりを強調して自身のウィークポイントを自覚していないように思われるのはNGですが、かといって謙遜のあまり必要以上に弱点を強調すると、本当に力量不足なのではないか?と受け取られる可能性もあるので注意が必要です。
こういった質問への回答は、バランス感覚が重要なポイントになります。
強みと弱みの内容そのものも大切ですが、それと同じぐらいに「自身を冷静に客観視できているかどうか」という視点でも判断されていると考えましょう。
「弱み」は「強み」とも受け取れるものにするとよい、と言われることがありますが、無理に取り繕って弱みを強みに置き換えようとする必要はないでしょう。
誰にでも長所と短所がありますので、良い面も悪い面も自分自身の中できちんと受け止めることができている、と伝われば問題ありません。
前職のご経験の中で、当社で活かせそうなものを教えてください
即戦力を求めている場合、よく投げかけられる質問です。
前職で経験していた業務が、次の職場でほぼそのまま活かせるとしたら、採用する企業にとっては研修やOJTに割く時間や労力を最小限に抑えることができるからです。
したがって、同業種への転職で直接的に活かせそうなスキルや経験がある場合、積極的にアピールするようにしましょう。
謙遜して「それほど大した経験ではないのですが」などと言うと、言葉通りに受け取られる可能性もありますので、アピールすべき点は臆することなく伝えることが重要です。
もし直接的に活かせそうなスキルや経験がなかったとしても、「活かせるかもしれない経験」はアピールしておきましょう。
特に異業種へ転職する場合、企業側も新しい風を吹き込んでくれることを期待していることがありますので、「業界が違うから活かせそうにない」と決めつけてしまわず、経験してきたことや身につけてきたスキルについて、しっかりと伝えることが大切です。
前職での成功体験について教えてください
売上や契約数が可視化される営業職のような職種は、「成果」や「成功体験」が説明しやすく、相手にも伝わりやすい面があります。
しかし、職種によっては「成功体験」と言われても、明確に「これが私の成功体験です」と伝えづらいケースもあるでしょう。
大切なのは、「成功体験」という言葉のハードルを上げ過ぎないことです。
自分なりの工夫を加えたことで仕事の進め方を効率化できた、といったことも成功体験の1つと言えます。
「この程度のことを成功体験と言っていいのだろうか?」と、自分の中で成功体験の基準を上げてしまった結果、「成功体験と言えるものは特にありません」などと答えてしまうのは非常にもったいないことです。
面接担当者は、ほぼ間違いなく言葉通りに受け取りますので、「成功体験がない人」と認識されてしまうことになります。
この手の質問は、成功体験の内容もさることながら、「常に考えながら仕事をしているか」「課題点と改善策を自発的に探そうとしているか」といった、仕事に対する姿勢を見るという目的も含まれているのです。
3)圧迫面接では?と感じられる質問
あなたは当社での仕事に向いていないのではありませんか?
面と向かって「向いていない」と言われてしまうと、ショックを受けたり内心ムッとしてしまったりするかもしれません。
意外なことに、こうした意地悪とも思える質問をされた場合、「いいところまで来ている」というサインであることが多いのです。
面接担当者は、書類選考の段階で「会って話したい応募者」を絞り込んでいます。その中でも、実際に面接の場で話してみて「採用の可能性あり」の人に対しては、普通の質問では推し量れない部分をチェックしようと試みることがあります。
それが「向いていないのでは?」といったストレスを与える質問です。
あえてストレスフルな質問を投げかけることで、冷静に対処できるかどうか、ストレスに対してどのように対応するのか、といった点を見ている可能性があります。
こうした質問をされた際、あからさまに不快な表情を見せたり、「圧迫面接だ」と思い込んでパニックに陥ったりしないように注意しましょう。
せっかく有力な採用候補に挙がっていても、「ストレスにかなり弱い」「想定外の事態に対処できるか不安」と判断されてしまうと、内定が遠のいてしまう可能性も否定できません。
「なぜですか?」「どうしてですか?」と掘り下げて聞かれる
答えた内容に対してすぐに納得してもらえず、「なぜそう思うのですか?」「〇〇について詳しく聞かせてください」といったように、さらに深掘りする質問が重なることがあります。
答える側としては「しつこい」と感じる場合が多いため、こうした質問が何度か続くと圧迫面接のように感じる人も少なくありません。
しかし、面接担当者は「採用する決め手」を探しながら面接を進めていますので、強く興味を持った点があれば、そこを深掘りして聞いておきたいと考えるのは自然なことです。
また、返ってきた答えに関して、面接担当者の主観で勝手な解釈をしていないか、回答の真意をくみ取れているかどうかを確認しておく意味も込められていることがあります。つまり、それだけ話を真剣に聞いてもらえている証拠と見ることができるのです。
「なぜ?」と理由を深掘りされたとき、より納得度を高められる的確な答えが返ってくれば、「この人の話は信頼できる」「相手に分かりやすく説明できる」といったプラス評価になるはずです。「しつこいなあ…」と思わず、「真剣に聞いてもらえている」と前向きに捉えましょう。
(質問内容に関わらず)同じことを何度も繰り返し聞いてくる
面接中、「何度答えても同じことの繰り返しでは?」と思えることを、繰り返し聞かれることがあります。「さきほどと同じ質問になってしまいますが…」などと前置きされることもあれば、二次、三次面接で改めて同じ質問をされることもあります。
このように何度も同じことを聞いてくるのは、どういった意図によるものなのでしょうか。
考えられる理由の1つめは、単純に確認を入れておきたいからです。
聞き違いや思い違いがないよう、企業側の選考データとして重要な事項については再確認し、間違いがないようにしておきたいというわけです。
もう1つの理由としては、話している内容に一貫性があるかチェックしておくためです。
どんなに頭のいい人でも、本心で思っていないことを口先だけで言っていると、何度も繰り返し聞かれているうちにボロが出てくるものです。
繰り返し話しているうちにつじつまが合わない点が出てこないか、本心で話しているか、といったことをチェックしているのです。
「同じ質問の繰り返し」に対処するためにも、小手先のテクニックに頼らず本音ベースで話すことが大切です。
4)どう答えたら正解なのかが分かりにくい質問
残業がありますが問題ありませんか?
1年を通じて残業が全く発生しない会社は、世の中では希少な部類に入ります。
程度の差こそあれ、残業があるのは多くの企業に共通することです。
「残業」という言葉に過敏に反応して、長時間労働とすぐに結びつけてしまわないよう注意が必要です。
また、何らかの事情で残業が不可能な場合、選考中にその旨を伝えておく必要があります。
面接で残業について確認するのは、やむを得ず残業ができない事情があるのかもしれず、前もって確認しておきたいからです。
反対に、意欲を見せておこうと「残業は全く問題ありません」などと即答してしまうのも問題ありです。残業代がかさんでいることを問題視しており、仕事の効率を考えずダラダラと長時間働く人が入ってきては困ると考えている可能性もあるからです。
繁忙期など残業が多くなる時期があるのか、残業時間の目安はどの程度か、といったことを確認した上で、必要な残業は責任をもって行う姿勢を見せるようにしましょう。
今までにどのようなことで挫折を経験しましたか?
挫折経験についての質問をされることはめずらしくありません。
企業側としては、「入社してもすぐに辞めてしまう人」や「プライドが異様に高い人」が入ってくるのを避けたいので、ある程度は挫折も経験してきたバランス感覚のある人のほうが安心できると考えているケースが多いのです。
ただし、面接担当者が聞きたいのは「挫折してつらい思いをした」「どれほど大変な思いをしたか」といったことではありません。
ときどき、挫折経験について聞かれると「つらい体験」について詳細にわたって話し始める人がいますが、面接担当者が知りたいのは「その挫折経験をどう乗り越えたのか」の部分です。質問の意図を履き違えることがないよう注意が必要です。
挫折の経験を自分の中で整理し、自分を客観視しながら乗り越えてきた体験があれば、今後何らかの失敗をしてもそこから教訓を得て成長していくことができる人である可能性が高いと言えます。
挫折経験について聞かれたら、「どう乗り換えたか」の部分にフォーカスして話すことを心がけましょう。
何か質問はありますか?
面接でよくある一般的な質問ですが、「何を質問したらいいのか困ってしまう」という人は多いのではないでしょうか。
前もって1つか2つ質問を用意した上で面接にのぞむとよいと言われることがありますが、いかにも「用意してきました」といった不自然な質問をするのも良くありません。
採用されて入社したと仮定して、働き始めてからのことを想像して質問を考えるといいでしょう。
たとえば、「研修はどのように行われるのですか?」「配属予定の部署は決まっていますか?」といったことであれば、聞いておく必然性のある質問であり、かつ失礼にあたらないはずです。
なお、面接の最後に「何か質問はありますか?」と聞くのは、一種の定型句のような側面もあります。一方的に聞くだけ聞いたので、反対に聞きたいことがあればどうぞ、といった意味合いが含まれていることもあるのです。
「やる気を見せるためにも、必ず質問するべき」といったノウハウを見かけることがありますが、必ずしもそうとは限らないものです。
本当に聞きたいことがなければ、「これまでのお話の中で疑問が解けました」といった答え方をすれば問題ありません。
5)面接対策・サポートの手厚いおすすめ転職サイト・エージェント
採用面接の際のイレギュラーな質問に関しては、事前にある程度の予測や実践を重ねておくことが重要です。
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まとめ 「困る質問」は面接の正念場!重要な質問と考えよう
面接で答えに困ってしまうような質問が来たら、「採用まであと一歩」のところまで来ている合図かもしれません。
質問を投げかける側は、「この聞き方は答えづらいだろう」と想定した上で、あえて聞いていることがほとんどです。
つまり、どのように答えるのか注目されているところであり、面接の正念場とも言える瞬間なのです。
答えづらい質問ほど重要と考えておけば、面接での「困る質問」にも落ち着いて対処できるのではないでしょうか。面接前のシミュレーション時に、この記事が役立てられれば幸いです。