生産管理に未経験から転職するのは難しい?志望動機のまとめ方
[最終更新日]2024/11/13
生産管理の仕事に興味を持っていて、未経験から挑戦してみたいと考えていませんか?
未経験から転職することは可能なのか、転職するにあたって何をどのように準備すればいいのか、迷っている人もいるでしょう。
目次
1)生産管理とは?生産管理の仕事内容
生産管理とは、主に製造業において材料の調達や製造工程など、生産計画に基づいた業務全般を管理する仕事のことです。
生産管理の働きかけは、よく「QCD」という言葉で表されます。
QCDとは「Quality:品質」、「Cost:コスト」、「Delivery:納期」のことで、つまり製品に対して「高い品質で、低コストで、かつ納期の遅延なく生産する」──これが、生産管理をする目的です。
生産管理の業務フロー
生産管理の一般的な業務フローは、以下のとおりです。
業務 | 説明 |
---|---|
①需要予測 | 製造する製品の受注量がどれだけになるか、過去の受注実績や販売計画、競合他社の状況などを踏まえて予測します |
②生産計画 | 需要予測にもとづき、実際に製造する製品の種類や数量、完成時期などの計画を立案します。 |
③調達・購買計画 | 生産計画を実現するために必要な資材の量と時期を明確にした上で、調達・購買計画を立てていきます。 |
④生産実施・制御 | 製造ラインの稼働状況の管理を行います。 |
⑤工程管理 | 製造が計画通りに進んでいるか、工程をこまめにチェックします。 |
⑥品質管理 | 完成した製品が求められる品質の水準に達しているか、検査します。 |
⑦在庫管理 | 完成した製品の在庫管理を行います。 |
未経験の人からすると、生産管理の仕事のイメージが強いのは④の「生産実施・制御」やと⑤の「工程管理」ではないでしょうか。
実際は上の表のとおり、需要予測から生産計画、そして品質管理・在庫管理まで生産管理が担当することがあります(※会社によって、生産管理が担当する業務範囲は異なります)。
また、未経験から生産管理に就いた場合はじめに任されるのは④~⑦の管理業務になるでしょう。
経験を積んだ後、より上流となる①~③の業務を担うようになります。
2)未経験から生産管理への転職は可能?
関連するスキル・知識があれば未経験で転職も可能
未経験から生産管理に転職することは可能です。
製造現場での購買や品質管理、在庫管理など、生産管理と親和性の高い業務を担当した経験があれば、職種未経験でも採用される可能性があります。
生産管理の業務範囲は非常に幅広いことから、関連性の高い業務を経験したことのある人もいるでしょう。
製造業に従事してきた人であれば、生産管理でこれまでの経験を活かしやすいのです。
生産管理の仕事と関連性の高い資格
生産管理に従事する上で必須の資格はありません。
しかし、未経験者の場合は関連する資格を取得しておくことで基礎的な知識を一通り習得していることをアピールする材料になるでしょう。
生産管理と関連性の高い資格として、次の2つが挙げられます。
資格名 | 説明 |
---|---|
生産管理オペレーション | 製造業における生産活動の効率的な運営を管理するスキルを証明する資格です。効率的な生産プロセス、在庫管理、品質管理などを学習します。 |
生産管理プランニング |
|
いずれも職業能力開発促進法にもとづいて設立された民間資格で、中央職業能力開発協会(JAVADA)が試験を実施しています。
生産管理と関連のない異業種・異職種からの転職難易度は高い
製造業そのものが未経験の人など、生産管理に関連する業務経験が全くない場合は、転職の難易度はやや高くなります。
製造業における基本的な知識や仕事の進め方から学ぶ必要があるからです。
異業種・異職種から転職する場合は、まず製造現場で経験を積み、知識・スキルを培った上で将来的に生産管理へとステップアップしていくことを目指すほうが現実的でしょう。
生産管理の仕事がおすすめの人
- 購買や品質管理、在庫管理などの業務経験がある人
- 論理的に物事を考えるのが得意な人
- 仕組み全体を俯瞰的に捉えられる人
- 仲介役や調整役が苦にならない人
生産管理の仕事が未経験でも、購買や品質管理、在庫管理の業務経験があれば活かせる可能性があります。
生産管理の担当者には物事を論理的に考える力や、工程全体を俯瞰して捉える能力が求められます。
こうした能力を発揮して活躍したい人は、生産管理の仕事が向いている可能性が高いです。
また、生産管理は製造部門や営業部門など、複数の部署と連携して業務をすることが少なくありません。そのため、仲介役・調整役となることが苦にならない人は、生産管理への適性が高いでしょう。
3)生産管理の仕事に必要なスキル・知識
サプライチェーンに関する知識
生産管理の担当者には、サプライチェーンに関する知識が求められます。
サプライチェーンとは、製品が顧客に届くまでの一連の流れを表す言葉です。
サプライチェーンの例
ここで注意したいのは、サプライチェーンには「モノの流れ」のほか、「お金の流れ」そして「情報の流れ」があることです。
たとえば「お金の流れ」については、上記図の「調達・生産・物流」でコストが発生し、「販売・消費」でようやく売上が発生します。ここで売上よりもコストの方が高ければ赤字になってしまいますし、売上が非常に少なければ新たな調達や生産ができなくなってしまいます。
また、現在どのような製品が顧客から求められているかを知るためには、実際の消費状況を把握しなければなりません。
上の図にあるとおり、「モノの流れ」と真逆に進む「情報の流れ」があって、はじめて私たちは顧客ニーズを知れます。
サプライチェーンは、業種や業態によって様々な流れがあります。同じ業種・業態でも企業単位で異なるケースもあるでしょう。
サプライチェーンの概念的な知識はあらかじめ持っておき、入社後はいち早く「モノ・お金・情報」の流れを把握できるよう努めることが大切です。
データ分析力と効率化への対応力
生産管理の業務では、生産性向上と業務効率化に向けて、様々なデータをもとに判断や意志決定を行います。
需給予測や生産計画の立案、作業時間や必要人員の算出、在庫量の調整など、あらゆるシーンでデータと向き合うことが求められるでしょう。
また、近年の製造現場では、生産管理システムを活用するケースが増えています。
生産管理システムの例:株式会社日立システムズ「FutureStage 製造業向け生産管理システム」
画像引用元:機能のご紹介:FutureStage 製造業向け生産管理システム:株式会社日立システムズ
上の図は、日立システムズの「FutureStage」という生産管理システムの機能全容を示したものです。
このシステムでは、生産に関わるデータを管理するだけでなく、例えば生産性を停滞させているボトルネックを検出したり、部材の在庫状況にあわせて発注時期の提案をしたりといったことも行われます。
データのチェックや管理・アラートをシステムに担わせる一方で、「このシステムを活用して、どうやって生産性と業務効率を向上していくか」については、変わらず生産管理の人たちが考えて、そして選択や判断をしていきます。
臨機応変に対処できる判断力・調整力
製造業は不測の事態と常に隣り合わせです。
必要な原材料が期日までに届かない・製造設備に不具合が生じる・納入先から納期を早めるよう依頼されるといったように、何が起きるか予測できません。
不測の事態が発生しても臨機応変に対応し、製品を安定的に供給することが求められます。
目の前の状況を元に的確な判断を下す能力や、関係部署との交渉を進める調整力が求められるポジションで活躍してきた人であれば、生産管理の業務にも活かせる可能性があります。
あらかじめ立てた計画に固執することなく、現状に合わせて柔軟に対応できる能力をアピールするとよいでしょう。
関連部署と円滑にやり取りできるコミュニケーション力
生産管理はさまざまな部門との板挟みになるケースが少なくありません。
顧客の希望に応じて納期を早めて欲しいという営業部門と、品質を維持するために納期を早めることはできないという製造部門の板挟みになることもあり得ます。
各部署の言い分を中立な立場でヒアリングした上で、それぞれの担当者に納得してもらえるよう妥協点を探っていく必要があるでしょう。
連携が求められる社内外関係者の例
- 社内の他部署(購買部門・営業部門・設計部門・製造/開発部門・生産技術部門など)
- 納品先企業
- 資材の仕入れ先
相手の立場を尊重しつつ円滑に交渉を進めるには、コミュニケーション力が不可欠です。
伝えるべきことを理路整然と伝え、相手の立場や状況に配慮する想像力を発揮して活躍してきた人であれば、生産管理の業務でも活かせる可能性があります。
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4)未経験から生産管理に転職する際に準備するポイント3点
「なぜ生産管理を目指すのか」の志望動機を明確にしておく
「生産管理に転職しよう」と思い至ったタイミングで、いちど「志望動機」を言語化しておくとよいでしょう。
志望動機は面接でも必ず聞かれる質問のひとつですが、あらかじめ明確にしておくことで希望条件を定める際や企業選びをする際にブレが起きにくくなります。
「志望動機が定まらない…」という人は、生産管理で求められることと、あなた自身が期待している生産管理のやりがいから整理してみるとよいでしょう。
志望動機の例① 製造メーカーの場合
-
これまで、自動車部品メーカーの製造および品質管理を担当していました。
業務でとくに大事にしていたのは「効率化への取り組み」です。
高水準の品質で製造し続けるために、どのような工程やチェック品目があるとよいかということを常々考え、過去に数回、改善提案もさせていただきました。こうした効率化への取り組みを「より会社の利益に大きく貢献できるポジションで働きたい」と考え、生産管理の職に就くことを決意しました。
志望動機の例② 食品メーカーの場合
-
これまで「食」の仕事に関わりたいと、食品業界でキャリアを積んでまいりました。
前職では食品メーカーの経理事務として原料仕入れ計画の立案や管理を行っておりましたが、商品企画にも携わっていきたいと考え、転職を決意いたしました。時代とともに移り変わる消費者のニーズにいち早く対応し、新商品を次々と開発している貴社には大きな魅力を感じております。また、「現場の声を吸い上げる機会が多いとうかがっており、これまで培ったアイデア力、提案力を貴社で活かせればと考えております。
志望動機の例③ 未経験からの転職の場合
-
「消費者の側に立った製品」を大切にする貴社のお取り組みにぜひ関わりたいと思い、志望いたしました。
以前、〇〇誌に取り上げた貴社の○○工場の特集において、普段何気なく使っている製品が、製造の工程で幾多の創意工夫が積み上げられていることを知り、ものづくりとしての働き方に一層の魅力を感じるようになりました。
現在はメーカー営業として3年ほど従事しておりまして、個人売上目標は〇ヵ月連続達成中です。顧客ニーズと開発・製造現場からの新しい取り組みのかけ橋となることを大事にしてきました。
生産管理は未経験ではございますが、貴社でいち早く貢献できますよう、業務に関するあらゆる知識を柔軟に吸収して、より多くのお客様に貴社製品のよさを伝えていきたいと考えております。
キャリアの棚卸しを行い、生産管理で発揮できる能力を整理しておく
生産管理への志望動機を言語化したのちは、「キャリアの棚卸し」も行っておきましょう。
キャリアの棚卸しとは、これまでの実務経験を以下の観点で振り返りながら、自身の適性や強み、そして課題を再定義することです。
- 具体的にどのような業務に携わってきたのか
- その業務で求められる能力・スキルは何か
- 業務を通して学んだこと・伸ばした能力は何か
キャリアの棚卸しをすることによって、「生産管理でどのような働き方をしたいか」といったイメージがよりクリアになり、企業選びの際に迷いのない選択がしやすくなるはずです。
加えて、面接の際にも自信をもっての自己PRがされやすくなるでしょう。
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生産管理への転職支援に強い転職エージェントを活用する
メーカー・製造業への転職支援に強い転職エージェントを活用し、プロによるサポートを得ることも重要なポイントです。
とくに職種未経験者の場合、業界内で求められるスキルの水準が直感的に分からないケースも多いでしょう。
求人を紹介してもらうだけでなく、選考対策やキャリア相談といったサポートを得られることから、転職エージェントを積極的に活用することをおすすめします。
5)生産管理への転職におすすめの転職エージェント
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まとめ)生産管理への転職は「志望動機の説得力」がカギを握る
職種未経験者が生産管理に転職することは決して不可能ではありません。
ただし、採用担当者は「入社後どのような活躍ができるのか」をシビアな目で見ていることを忘れないようにしましょう。
未経験のハンデを払拭するには、説得力のある志望動機を準備した上で選考に臨む必要があります。
今回紹介した生産管理の仕事内容や志望動機の作成ポイントを参考に、ぜひ生産管理への転職を実現してください。
業界・職種について入念に調べ、志望動機をじっくり考えてきた形跡が見られれば、生産管理に転職したいという熱意や意欲が伝わるはずです。