「人生の意味を見つけられない…」と悩む方へ。これから先の生きる意味の見つけ方
[最終更新日]2025/02/15

──「どう生きるか」で迷ったとき。
「何を目指せばいいのかわからない」「毎日がただ過ぎているだけ」など、「人生に意味を見いだせない」と感じる瞬間は誰にでもあるかもしれません。
著名人または友人のSNSでキラキラした成功例を見るたびに、「自分には特別な目標も情熱もない」と落ち込んでしまう方もいるでしょう。
目次
1)なぜ私たちは「生きる意味」を気にするのか?

はじめに、なぜ私たちは「生きる意味」を気にするのかについて、考えてみましょう。
気にする理由は多岐にわたるように思えますが、大きく分けると次の2つに集約できるのではないでしょうか。
- 理由① 自分の存在価値を確かめたいから
- 理由② 周囲との比較からの焦り・停滞感
理由① 自分の存在価値を確かめたいから
「自分にはこれをやる価値がある」「自分の存在に意味がある」と感じられれば、日々の過ごし方にやりがいや充実感を得やすくなります。
逆に、何をしても「所詮、無意味かも」と思ってしまうと、モチベーションが低下してしまいがちです。
誰しも、「自分はここにいていいんだ」という確信を欲しているのではないでしょうか。
理由② 周囲との比較からの焦り・停滞感
人は、他者と比較をしなければ自己を認識できないという側面もあります。
逆説的ですが、そのせいでかえって「自身の存在理由」が見えにくくなってしまうケースがあります。
自分のペースで生きているつもりでも、周囲と比べてしまうことで「自分が他者より秀でている点が見つからない」「自分だけ遅れているのでは?」という不安が募り、人生の意味を無理やり探さなければ、と焦ってしまうわけです。
2) 人生の「意味」は様々

ところで、「人生の意味」とはそもそも何を指すのでしょうか。
なにかを実現または達成することでしょうか。それとも、生き方やあり方を表すものでしょうか。
実は、この「人生の意味」自体、捉え方は人によってまちまちなのです。
以下に紹介する通り、歴史上の著名人たちだけを見ても、「他者への奉仕」「科学による社会貢献」「芸術表現」「精神的探求」など、多彩な考えが存在します。
「自身の人生の意味」について言及のあった著名人
ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ (1853-1890)
職業 | オランダのポスト印象派画家 |
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人生の意味への 言及・行動 |
「芸術を通じて人々を愛する」という思いを貫き、描くことによって自分の生きる価値を証明しようとしました。 参考文献:「 Vincent van Gogh The Letters 」 |
宮沢賢治 (1896-1933)
職業 | 日本の詩人・童話作家 |
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人生の意味への 言及・行動 |
「雨ニモマケズ」の精神で、他者や自然に役立つことを常に考えました。人生の意味は、周囲の幸せのために尽くす“実践”にあると捉えていたようです。 参考文献:「 宮沢賢治学会イーハトーブセンター/宮沢賢治イーハトーブ館 」 |
ヴィクトール・フランクル (1905-1997)
職業 | オーストリアの精神科医・心理学者 |
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人生の意味への 言及・行動 |
ナチス強制収容所の体験から「意味のある人生観」が苦難を乗り越える鍵になると説きました。人生の本質は「意味への意志」だと語っています。 参考文献:『夜と霧』 |
アルベルト・アインシュタイン (1879-1955)
職業 | 理論物理学者 |
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人生の意味への 言及・行動 |
「成功者より価値ある人間になるべき」と主張し、社会への貢献こそが自分の生きる意義と考えました。科学を通じて人類の進歩に寄与することを重視しています。 参考文献:『THE WORLD AS I SEE IT』 |
マハトマ・ガンジー (1869-1948)
職業 | インド独立運動の指導者 |
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人生の意味への 言及・行動 |
「真理」を追求するなかで非暴力・不服従運動を展開し、他者への思いやりと正義を実践することが人生の意義だと考えました。 参考文献:「 Gandhi Heritage Portal 」 |
マザー・テレサ (1910-1997)
職業 | カトリック修道女、宣教師 |
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人生の意味への 言及・行動 |
「愛こそが人生の意味」と断言し、最貧層や病む人々への奉仕を、そして行動を通じて他者への思いやりを示すことを徹底しました。 参考文献:「 マザー・テレサ 愛と祈りのことば 」 |
スティーブン・ホーキング (1942-2018)
職業 | イギリスの理論物理学者 |
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人生の意味への 言及・行動 |
難病ALSの進行と闘いながら宇宙論研究を続けました。「好奇心を失わないこと」と「自分の役割を果たすこと」が、人生を支える意味だと述べています。 参考文献:「 Stephen Hawking Estate 」 |
稲盛和夫 (1932-2022)
職業 | 京セラ・KDDI創業者、経営哲学者 |
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人生の意味への 言及・行動 |
「仕事を通じて自分を高め、世のために尽くす」姿勢を人生の意義と捉えました。魂を磨くことこそ、究極の生きるテーマだと語っています。 参考文献:『 生き方 人間として一番大切なこと』 |
美輪明宏 (1935年生まれ)
職業 | 日本の歌手・俳優・タレント |
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人生の意味への 言及・行動 |
「幸せは自分の内側から生まれる」とし、今をどう生き、どれだけ人を愛せるかが人生の意味を左右すると主張しています。 参考文献:『人生ノート』 |
村上春樹 (1949年生まれ)
職業 | 日本の小説家 |
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人生の意味への 言及・行動 |
「特別なメッセージはない」としつつ、作品で“自己探索”を描きます。自ら行動し続ける中で生まれる物語こそが人生の意味に通じる、というスタンスをとっています。 参考文献:『職業としての小説家』 |
※上表の「人生の意味への言及または行動」は、多面的な解釈を簡潔にまとめたものです。原典により詳しく触れたい際は、著作などもあわせてご参照ください。
一口に「人生の意味」と言っても、スティーブン・ホーキングのように知的好奇心に人生の意義を見いだす人もいれば、美輪明宏や村上春樹のように“内面から湧き上がる何か”を指針とする人もいます。
ただし、どの人物も最終的に「言葉だけでなく、実際に行動すること」で人生の意味を体現している点に注目すべきでしょう。
ガンジーやマザー・テレサのように社会運動を起こすケース、ゴッホやアルベルト・アインシュタインのように創造に関わるケースなど、形は違えど共通しているのは、“行動を通じて意味を確かめている”ことです。
3)ゴッホの事例|偉大な芸術家の活動は私たちに何を教えるのか
先人たちの「人生の意味」を知って、更にその後どのような人生を歩んだかを理解しておくことは、ご自身の人生の意味を考えるうえでも有意義かもしれません。
ここでは、オランダのポスト印象派画家、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ (1853-1890) の軌跡をたどってみましょう。
Vincent van Gogh, Public domain, via Wikimedia Commons
生前は認められなかった天才画家
ゴッホは「ひまわり」「星月夜」など、世界的に有名な作品を多数残しました。ですが、当時はまったく画が売れず、生活は困窮を極め、また精神的にも非常に不安定でした。
自身の才能をときに信じ、ときに疑って、それでも描くことだけは決して諦めず、生涯で2,000点もの作品を描きあげ、生前に売れた画はたった1枚(※諸説あり)。
『赤い葡萄畑』という作品で、価格は400フラン(現在の価格に換算すると十数万円程度)であったといいます。
Vincent van Gogh, Public domain, via Wikimedia Commons
「一枚しか画が売れなかったのに、どうして生活ができていたのか?」と疑問に思った方もいるでしょう。それは、ゴッホの弟テオドルス・ファン・ゴッホ(通称「テオ」 1857-1891)が、彼の生活をずっと支援し続けていたからです。
画像引用元:Public Domain, Wikimedia Commons
テオは、兄ゴッホの才能を信じ続け、「いつかきっと、彼の画は世界に認められる」と、経済的かつ献身的な援助を、数十年間にわたり続けました。
後世で評価された理由は、テオがゴッホの画を諦めずに紹介し続けたから?
さて、ゴッホの画が世の中から認められるようになった「きっかけ」とはなんだったのか?──テオが彼の画を紹介し続けたからでしょうか。
実は、テオもゴッホの半年後に亡くなっています。最愛の兄が志半ばで亡くなったことを悔やみ、そして悲しみ、病に倒れたといわれています。
ゴッホの画を世の中に広く知らしめたのは、テオの妻 ヨハンナ・ファン・ゴッホ=ボンゲル(1862-1925)です。
画像引用元:Woodbury & Page – Geheugen van Nederland, パブリック・ドメイン, Wikimedia Commons
彼女は義兄ゴッホおよび夫テオの死後、2人の間で交わされた書簡を整理し、1914年にオランダ語で書簡集を発刊しました。
そして家の一室を展示会場にして、近所の人たちにゴッホの画を紹介し続けました。
はじめの数年は、「誰からも相手にされなかった」といいます。それでも彼女は諦めることなく、そして少しずつ、「これほど心を揺さぶられる画は初めてだ」と評価する人たちを獲得していったのです。
──ここで一度、思いを馳せてみましょう。
描くことによって自身の生きる価値を証明しようとしたゴッホの想いは、テオとヨハンナにどのような影響を与えたのでしょうか。
また、テオとヨハンナの二人は、どのような自身の「人生の意味」を抱きながら、生きていったのでしょうか。
4)どうやって「人生の意味」を見つけるか? 5つのステップ
ここからは、ご自身の「人生の意味」を見つける際のおすすめの進め方をステップに沿って紹介します。
大切なことは、結果ではなく行動を意識すること。ここまで紹介した著名人のような、壮大な目標・ビジョンを立てる必要はありません(もちろん、「大きい目標を立てたい」という方はチャレンジしてみるのも良いと思います)。
それよりも、あなた自身が「これが私だ」と自然に思えるような、人生の意味を見つけていきましょう。
Step1|はじめに、“ありのままの自分”を受け入れる

人生の意味を見出すことの重要性は、森田療法やATC(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)など、多くの思考法において見られます。また、それらに共通しているのは、「自分の不安や迷いを否定しない」という姿勢です。
「意味を見つけなきゃ」と焦るあまり、自身の弱点や落ち込みを隠そうとすると、逆に苦しみが増すこともあるでしょう。たとえば現在気分が落ち着かずにいたら、まずは「自分は今、混乱しているな」と客観的に受け止めることが大切です。
そのうえで、「なぜ混乱しているのだろう?本当は、どうしたかったんだろう?」と思考を深掘りしていくのです。
Step2|「自分は、どうありたいか?」を言語化する

次は、「自分がどんな状態でありたいのか」を言葉にしてみましょう。ここでは、目標や成果といった“結果”よりも、自分の”あり方”に焦点を当てることがポイントです。
たとえば、「誰かの役に立てる人でいたい」とか「心穏やかに毎日を過ごせる自分でありたい」など、思いつく事柄をノートやメモに書き出してみてください。
「どんなときに自分は満たされるのか」「本当は何を大切にしたいのか」を一言でもいいので言語化しておくと、ぼんやりしていた自分の価値観がクリアになっていきます。
そして、ここで見つけた「私はこうありたい」という思いを、とりあえず“仮の人生の意味”として設定してみましょう。最初は「これが本当に人生の意味なのかな?」としっくりこないかもしれませんが、次のステップを重ねるうちに納得感を高められます。
まずは“仮”の形でも構わないので、自分の「ありたい姿」を言葉にしてみることが大切です。
補足知識:「名は体を表す」
「私はこうありたい」の言語化に悩んだ際は、あなた自身の「名前」の由来を確認するのも一つの手です。
「名は体を表す」という言葉があるとおり、知らず知らずのうちに名前があなたの価値観を形成していることは少なくありません。
両親に名づけの経緯を訊いてみたり、または漢字や単語の語源を調べてみるのもよいでしょう。意外な由来や、納得できる意味合いが見つかるかもしれません。
Step3|小さな行動を起こしてみる

頭の中だけで「人生の意味」を考えていても、堂々巡りになることが多いです。
大きな目標をいきなり設定する必要はありませんが、まずは少し興味を惹かれることや、誰かを手助けできそうなことなど、“小さなアクション”を始めてみましょう。
行動の中で得られるフィードバックが、新たな気づきや目標を生み出す契機になることがあります。
Step3と次に説明するStep4は、Step2で得た「人生の意味」を調整するフェーズです。「一度決めた『人生の意味』は、変えてはいけない」ということはありませんので、行動を通してあなた自身の本当の想いをよりクリアにしていきましょう。
Step4|他者との関わりを大切にする

ゴッホのように、自分一人の中で描き続ける行為が死後に評価されるケースがある一方で、多くの場合は“今の周囲の反応”が人生の意味を実感する重要なカギになります。
人は一人で生きられない以上、他者とのコミュニケーションや協力が欠かせません。そのなかで、「自分ができる役割」「ありがとうと言われる体験」などを通じて、自分なりの意味を深めていきます。
Step5|続ける or やめるを主体的に選ぶ

「せっかく見つけた意味が徒労に終わった……」と感じたとき、必要以上に自分を責めないことです。
最終的な成果はコントロール不能である場合が多いので、「自分の価値観や行動プロセス」を大切にする発想が大切です。
行動の中から学んだことを糧に、「続けるか、方向転換するか」を主体的に選択していけば、新たな意義が見えてくることもあるでしょう。
まとめ)あなたの人生の意味は、行動と他者との間で育つ
人生の意味とは、頭の中で完成させるものではありません。
自分の弱さや不安を受け入れ(Step1)、自分がどうありたいかを言葉にし(Step2)、小さな行動を起こしてみる(Step3)。そうして他者と関わりながら(Step4)、実際に続けるのか・別の道を選ぶのかを主体的に判断していく(Step5)——、
その過程で、いつの間にか「これが自分の生きる意味なのかもしれない」という納得感が芽生えることがあります。
そして、その意味が必ずしもすぐに評価されたり、成果となって現れるとは限りません。
ゴッホのように、生きているあいだに報われないケースもあれば、思いもよらない場面で誰かの心を救う可能性だってあるのです。
大切なのは、“いまの自分”を正直に見つめ、行動と他者との関わりを通じて意味を育んでいく姿勢です。
あなたが選んだ道は、いつか思いがけない形で誰かの心を支えるかもしれません。
焦らず、自分のペースで一歩ずつ進んでみましょう。