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直感の当たる確率は本当に90%?あなたの直感を研ぎ澄ます方法

[最終更新日]2025/02/18

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直感の当たる確率は90%?あなたの直感を研ぎ澄ます方法

なんとなく、こうしたほうがいい気がする」──そんな直感が働いて、実際にその通りだったという経験はありませんか?
直感のとおり行動したことで物事がうまく進んだとき、私たちは不思議な力を得た感覚にもなります。

ネット上では「直感は90%当たる」と紹介されている記事も見かけますが、本当に直感の精度はそんなに高いのでしょうか?

目次

「直感の当たる確率90%」と証明した研究結果は無い

巷で「直感は90%当たる」と言われる根拠は、多くの場合、専門家やビジネス書などで部分的に紹介された統計やエピソードが、一人歩きしたものだと考えられます。

たとえば、熟練した外科医や消防士など特定の領域で長く経験を積んだプロフェッショナルの“勘”が非常に頼りになる例は報告されていますが、万人に通用する形で「90%の的中率」を証明した研究は、2025年現在のところ見当たりません。

一方で、直感の有効性を指摘する専門家も多い

ただし、直感そのものの有効性を指摘する専門家が複数いることも事実です。
ここでは、代表的な意見・見解について見ていきましょう。

「直感は膨大な情報をシンプルにまとめ上げる力」

ゲルト・ギゲレンツァー(Gerd Gigerenzer)の主張
直感は膨大な情報をシンプルにまとめ上げる力|心理学者 ゲルト・ギグレンツァー

ドイツの心理学者ゲルト・ギゲレンツァーは、著書『Gut Feelings: The Intelligence of the Unconscious』で、私たちが意識しなくても膨大なデータを素早く処理して“使える形”にしていると指摘しています。

たとえば、経験豊富なスポーツ選手が一瞬のうちに最適な動きを取れるのは、この「無意識の高速計算」が働いているから。
ギゲレンツァーは「直感」が単なる思いつきではなく、過去に得た多くの知識を“シンプルに取り出す”力だと説明しています。

参考文献:Gut feelings: The intelligence of the unconscious

「経験がつくる“勘”の威力を見逃すな」

ゲイリー・クライン(Gary Klein)の主張
経験がつくる“勘”の威力を見逃すな|認知科学者 ゲイリー・クライン

認知科学者ゲイリー・クラインは、消防士や医師といった「現場での瞬発的な判断」が求められる専門家を調査し、経験豊富なプロほど直感の精度が飛躍的に高まることを明らかにしました。

これは、何度も成功・失敗を重ねるうちに脳がパターンを学習し、同じような状況が出現すると素早く「これまでの最適解」を呼び出せるようになるためです。

クラインによれば、直感は無意識のうちに積み上げた知識の結晶であり、経験によって研ぎ澄まされる“勘”の威力を見逃してはいけない、と強く主張しています。

参考文献:Sources of Power: How People Make Decisions

「直感はしばしば頼りになる一方で、バイアスもある」

ダニエル・カーネマン(Daniel Kahneman)の主張
直感はしばしば頼りになる一方で、バイアスもある|心理学者 ダニエル・カーネマン

一方で、直感の有益性だけでなくそのリスクにも言及したのが、ノーベル経済学賞を受賞した心理学者ダニエル・カーネマンです。
彼は、著書『Thinking, Fast and Slow』で人の思考は以下の2つがあることを提唱しました。

  • 直感的思考
  • 論理的思考

直感にはスピードという利点がある一方で、さまざまなバイアス(思い込み)も入り込みやすいといいます。
たとえば、確証バイアスや後知恵バイアス。

確証バイアス 自分の信じていることや期待していることを裏付ける情報ばかりを重視し、それに反する情報を無視したり軽視したりする傾向。
後知恵バイアス 物事が起こった後に、「そんなことは最初から分かっていた」と思い込む傾向。

これらが働くと、実は勘違いしているにもかかわらず「当たった気がする」「最初から分かっていた」と思い込んでしまうリスクがある、ということです。

参考文献:Thinking, Fast and Slow

経験が浅い場合 vs. 経験豊富な場合|●経験が浅い場合:時間がかかり、失敗に導くことも ●経験豊富な場合|瞬時に成功に導く

直感は、一瞬にして回路をつなぐ

「直感が働く」というのは、過去の知識や体験が瞬間的につながり、まるで電気回路が一気に通電するようなものです。

頭の中で「あれもこれも」と考えずとも、必要な情報が一瞬で“自動的に”結合し、適切な結論へと導くイメージといえます。

これは多くの場合、同じようなパターンを何度も経験した末に形成される“無意識の連想ネットワーク”が存在するから。
新しいシーンに出会っても、似通った要素を瞬時に拾って思考をスパークさせることで、素早く正解に近づくわけです。

「直感」と「第六感」は似て非なるもの

「直感」と「第六感」は混同されやすいですが、実はまったく異なるものです。

直感とは、過去の経験や知識が無意識のうちに高速処理され、「なんとなく正しい」と感じる判断を生み出すものです。
たとえば、経験豊富な医師が一目見ただけで患者の病状を見抜くようなケースは、直感の典型例でしょう。
これは、意識的には説明できなくても、過去に得た知識やパターン認識によって瞬時に判断が下されているのです。

一方、第六感(シックス・センス)は、科学的な根拠が乏しく、超自然的な感覚や予知能力のような意味合いで使われることが多い言葉です。
「何か嫌な予感がする」「この道を選ぶべきだと不思議と感じる」といった、論理的な裏付けがない感覚を指します。

直感は無意識に蓄積された「経験・知識」などが高速処理された結果

私たちは日々の生活や仕事を通じて、多数の事例や経験を脳内に蓄積しています。
これらのデータは意識せずとも整理され、状況に応じて一気に呼び出されるのです。

つまり、直感は“無根拠”ではなく、むしろ“根拠が言語化されていないだけ”と言えます。
無意識に下された判断ほど、実は膨大な知識や経験が背景に存在しているのです。

直感には経験や環境など、さまざまな要素が密接に関わっています。
では、どうすれば私たちはその直感をさらに研ぎ澄まし、当たる確率を高めることができるのでしょうか?

ここでは三つの方法をご紹介します。

方法1)失敗を重ねる(経験を積む)

とにかく経験を積む

直感の精度を高めるために最も効果的なのは、「とにかく経験を積む」ことです。
直感は、過去の知識や体験が蓄積され、それが無意識のうちに処理されることで生まれるため、経験が多いほど精度も向上します。

たとえば、熟練した料理人はレシピを見なくても適切な味付けを直感的に判断できます。
また、ベテランの営業マンは顧客のちょっとした表情や仕草から「この人は買うかどうか」を見極めることができます。
これらはすべて、数多くの成功や失敗を経験する中で培われたものです。

大切なのは、「失敗を恐れずに多くの試行錯誤をすること」。
失敗した経験も、実は脳が貴重なデータとして蓄積しており、次の判断に活かされます。

むしろ、成功体験だけでは直感は鍛えられません。
失敗と成功の両方を経験することで、より適切な直感が働くようになります。

方法2)あえて直感を働かせる機会を作ってみる(アウトプットの機会を増やす)

直感を使う機会を増やす

直感を磨くには、意識的に「直感的な判断」をする機会を増やすことも有効です。

普段、私たちは慎重に考えすぎたり、データに頼りすぎたりして、直感を活用する場面が限られがちです。
しかし、直感を働かせる場数を増やすことで、その精度は向上します。

直感を働かせる機会の具体例

シチュエーション例 具体的なやり方
レストランでのメニュー選び 「直感で選ぶ」と決め、最初に目に留まったメニューを注文してみる。
購入判断(ショッピング) あれこれ迷いすぎず、「最初に惹かれたもの」を試しに買ってみる。
日記やブログでの“直感日記”の記録 「なぜ直感的にそう思ったのか」を短く書き留め、後から振り返る。
朝の予定決め 「今日はこの順番でこなそう」と直感で考え、その通りに動いてみる。
ブレーンストーミング(アイデア出し) 最初の5分は資料を見ずに“閃き”だけでアイデアを書き出し、後で検証する。

また、直感トレーニングの際は、以下を意識するとよいでしょう。

  • 即決を意識する
    レストランのメニューを「考えすぎずに直感で選ぶ」、買い物の際に「パッと決めてみる」など、日常の小さな決断を素早く行う練習をする。
  • 直感を言語化する
    自分の直感で決めた理由を言葉にしてみる。「この道を選んだのはなぜだろう?」と考え、その理由を後で振り返ることで、直感がどのように働いたのかを理解しやすくなる。
  • 習慣的にアウトプットする
    アイデアをすぐにメモしたり、人と話したりして、直感的な発想を外に出す習慣をつける。そうすることで、直感の鋭さが増していく。

方法3)ポジティブ感情を大切にする

ポジティブ感情を大切にする

心理学者フレドリクソン(Barbara Fredrickson)の「拡張-形成理論(Broaden-and-Build Theory)」によると、ポジティブな感情は視野を広げ、新しい情報を受け入れやすくし、柔軟な思考を促進するとされています。これにより、直感的な洞察が生まれやすくなるのです。

参考文献:The broaden-and-build theory of positive emotions

ポジティブな気分を保つ方法

方法 説明
小さな成功体験のメモ 1日の終わりに「今日はうまくいったこと」を1つ書き出してみる。
朝の軽い運動 10分程度のストレッチやウォーキングで血行を良くし、頭もスッキリ。
リフレーミング(捉え直し) 失敗や嫌な出来事を「これは学習のチャンス」とポジティブに変換。
好きな音楽を聴く テンションが上がる曲やリラックスできる曲で感情をスイッチ。
感謝を伝える 些細なことでも「ありがとう」を伝えると、自分も相手も気持ちが上向きに。

まとめ)直感は「経験」と「気分」で磨かれる

直感は「生まれつきの才能」ではなく、経験を重ね、意識的に磨くことで誰でも鍛えることができるスキルです。

失敗を恐れずに挑戦し、日々の判断の中で直感を試してみる。
さらに、ポジティブな気持ちを大切にすることで、より柔軟で的確な直感が働くようになります。

「なんとなく、こっちの方がいい気がする」と思ったら、その感覚を信じて行動してみるのも一つの手。
繰り返し直感を活用することで、自分なりの「当たる直感」を育てていくことができます。

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