介護職員初任者研修とは?取得の流れとおすすめ学習法
[最終更新日]2024/08/21
「介護の仕事を検討しているから、介護職員初任者研修について知りたい…」
「本当に自分にとって必要な資格か判断したい!」
「介護職員初任者研修を取った人の体験談から、良い点,悪い点を把握したい」
今回はそんな悩みや疑問に応えるべく、「介護職員初任者研修とは何か?」という概要から、資格取得に向けての対策方法まで、網羅的に解説します。
目次
1)介護職員初任者研修とは?
『介護職員初任者研修』とは、簡単に言うならば「介護職の入門資格」です。これまでは『ヘルパー2級』という名前だったのが、2013年の介護保険法改定により変わりました。
介護職員初任者研修は、超高齢化社会に向けて必要となる介護知識と、実際の介護技術をプロから学ぶことができる「基礎講座」となっています。そのため、未経験の方が最初に取得すべき介護資格とされ、もし持っていれば就職活動はもちろん、ご家庭で介護が必要なときにも非常に役立ちます。
そんな介護職員初任者研修のカリキュラム内容は厚生労働省が定めていますが、実際に取得するには「民間企業」が運営する講座を予約し、スクールに通う方法が一般的です。
現在はスクールの数も充実し、ご自宅から近い場所、自分のスケジュールに合わせた講座を選べますので、非常に取得しやすい介護資格として需要が増している状況にあります。
介護職員初任者研修の科目内容
介護職員初任者研修のカリキュラムは国が定めているため、どの企業のスクールに通ったとしても、研修内容は同じになります。
また原則として「130時間」の受講時間が資格取得の前提条件とされており、都道府県や企業による差はありません。その130時間の中で、前半は座学による介護理解、後半は身体を動かしての実践的な介護技術の習得をする場合が多いです。
基本的な内容が大半とはいえ、「そもそも介護の目的とは何か?」「どうすれば自分にも利用者様にも負担を少なく介護できるか?」など、介護職として一生使える知識をプロが丁寧に教えてくれるため、未経験者にとって有意義な研修内容となっています。
科目 | 時間数 |
---|---|
職務の理解 | 6時間 |
介護における尊厳の保持・自立支援 | 9時間 |
介護の基本 | 6時間 |
介護・福祉サービスの理解と医療との連携 | 9時間 |
介護におけるコミュニケーション技術 | 6時間 |
老化の理解 | 6時間 |
認知症の理解 | 6時間 |
障害の理解 | 3時間 |
こころとからだの仕組みの生活技術 | 75時間 |
振り返り | 4時間 |
合計 | 130時間 |
上記表の各科目について、簡単に内容を説明しましょう。
職務の理解
介護施設の種類や、どのような仕事をするのかなど…。「介護職」が行う仕事内容と、実際に働く現場のイメージを深められる内容になっています。
介護における尊厳の保持・自立支援
介護が必要となった方にとって、「幸せで尊厳のある暮らしとは何か?」を理解し、同時にその方々のために介護職はどう向き合っていくべきなのか…がわかる内容となっています。また、要介護者がいずれ自立できるような介護とは何か?という応用的な内容も勉強できます。
介護の基本
介護職の専門性とはどんな所にあるのか、そして、1人の要介護者に対して付く様々な職業(医者,介護職,看護師など)と、その連携について学びます。他にも、介護職が知っておくべきリスク等も勉強できます。
介護・福祉サービスの理解と医療との連携
介護保険制度、それに基づく介護サービスの種類、医療との関わりについて学びます。法律や他職種に関する話が多いため、正直未経験者からすると難しく感じる部分も多い範囲となっています。
介護におけるコミュニケーション技術
介護職に必要な「コミュニケーション」について網羅的に学びます。例えば、どのようにコミュニケーションを取れば利用者様に受け入れてもらえるのか、ご家族への配慮はどうすべきなのか?などを学ぶことができ、かなり実践的な知識が身に付きます。
老化の理解
加齢に伴い、どのような変化が身体に訪れるのか…?視覚,聴覚,味覚,感情面など、あらゆる側面化から高齢化・認知症の理解が深まるような内容となっています。
認知症の理解
認知症によって発生してしまう言動についてと、それに対する介護職の職務理解ができる内容です。高齢者や認知症の方がどんな気持ちなのか…などを客観的に理解できるため、介護職を目指す方はもちろん、ご家庭で介護が必要な方にとっても有意義な学びが得られます。
障害の理解
障害に対する基本的な知識を身に付けます。具体的には、「視覚障害」「聴覚障害」「統合失調症」など、様々な障害における発症要因や対策について学ぶことができます。
こころとからだの仕組みの生活技術
カリキュラムの半分以上を占める箇所ですが、内容としては「入浴」「排泄」「食事」「体位変換」「車いすへの移乗」など、日常で必要となる介護技術を学ぶことができます。実際に利用者側,介護職側を演じながらシミュレーションをするため、かなり実践的な学びが得られます。
振り返り
文字通り、これまで学んだことの総復習を行います。講座によっては最初に学んだ日から数か月が経っている場合も多いので、思い出すという意味でも非常に有意義な時間となっています。
また、最後に修業試験がある場合がほとんどですので、それに向けての勉強という意味合いもあります。
2)介護職員初任者研修を取得するメリット
ここからは、「介護職員初任者研修を取得すべきメリット」について解説します。
130時間という膨大な時間と、数万円のお金を投資して勉強するわけですから、それに見合うメリットがないと損をしかねません。そういった意味でも、「今のあなたに必要か?」という視点を持って本章を読み進めてみてください。
就職活動で有利になる
介護職員初任者研修を持っていると、それだけで求人の幅が大きく広がります。そして、それと同時に就職活動でも有利に働く場合が多いです。
その理由は、「信頼性が高くなる」「即戦力と判断してもらえる」から。介護に対して何の知識もない人と比べた場合、基本的な知識,技術を習得している介護職員初任者研修・取得者の方が、事業所にとっても安心して仕事を任せられます。
また、介護職員初任者研修では実際の介護施設で体験をさせてもらえることも多いので、そういった経験があれば尚即戦力の人材として内定を貰いやすくなる…というメリットがあります。
将来のキャリアアップ・給料アップにつながる
2013年の法改定により、介護職では「介護職員初任者研修」→「実務者研修」→「介護福祉士(国家資格)」…
という流れでキャリアアップを図れるようになりました。
つまり、介護職員初任者研修がキャリアアップの入り口になっているということです。未経験から実務者研修を受けることもできますが、応用的な内容も多い研修のため、先に初任者研修で基礎を固めてから受講する方がスムーズだとされています。
また、資格があるのと無いのとでは給料にも差が出てきますので、介護の世界で給料アップを狙いたいのなら、必ず取得しておくべきだと言えます。
自分自身の負担を減らし、介護ができるようになる
個人的に介護職員初任者研修を取得する最大のメリットは「自分の負担が減ること」だと感じています。
というのも、私は元々資格なしで介護施設のアルバイトに入っていました。
すると、認知症の方の突飛な行動に憤りを感じたり、うまく介助ができなくて腰に負担が掛かったりと、未経験だからこその困難を多く経験する羽目に陥ってしまいました。
しかし介護職員初任者研修を受けてみると、「あ、認知症の方ってこういう心理なんだ」「腰に負担をかけないで介助する方法もあるんだ!」と、より良い介護の仕方を理解でき、心も身体も負担が大幅に減ったのです。
長く働くうえで必要なのは「介護を嫌いにならないこと」だと思います。そういった意味で、介護職員初任者研修で介護の知識を深めることにより、あなた自身を豊かにすると考えられるのです。
3)介護職員初任者研修の取得の流れ
ここでは「介護職員初任者研修」を取得するまでの一般的な流れをご紹介します。
1.スクールに申し込む
先ほども述べたように、介護職員初任者研修は民間企業などのスクールから取得する場合がほとんどです。そのため、まずはインターネット・ハローワークなどからスクールを調べ、申し込む必要があります(ハローワークで職業訓練として取得する場合はいくつかの条件あり)。
ただし、民間資格ゆえスクールによって金額や日程が大きく変動します。ですので、まずは「あなたの家から近いか」「日程に無理はないか」という二点を重視し、検索をかけてみるとよいでしょう。
その二点に問題のない資格スクールを見つけたら、あとは他の講座と料金の比較検討をしていけば、あなたに最適のスクールが自ずと見つかります。
2.資料が届くので、よく読んで準備を進める
スクールに応募すると、その企業から介護職員初任者研修で使う資料が届きます。
実際に使うテキストや、スクールによっては事前課題等も入っているので、早めに開封して目を通しておくとよいでしょう。
また、いずれ実技で使う持ち物も提示されている場合が多いです。今から準備できるものは買っておくと、後々ラクになると思います。
3.実際の講習を受ける
130時間の講習・実技を受けます。一般的には複数名で受講することが多いので、メンバーと交流を深めながら学ぶことができます。筆者が通ったスクールでは1講座に12名ほどおり、下は10代,上は50代後半の方まで、幅広い年層の方が通っていました。
ちなみに、介護職員初任者研修の講座は「振り替え」をできるスクールも多く、もし急な予定が入ってしまったら別日に変更できることも多いです。仕事や家事が忙しい方は、こういった制度のあるスクールを選べば安心して取得することができるはずです。
また、自宅学習として課題が提出されることも多いので、隙間時間を利用しながら家でもシッカリと勉強することが求められます。
4.実技試験・筆記試験を受ける
実技試験は無いスクールも多いですが、学んだことを理解し、実践できるかどうかを講座内で披露するような形です。とはいえそこまでプレッシャーを感じる必要もなく、講師の方がていねいに教えてくれるので安心して行えます。
また、筆記試験に関しては「〇点以上で合格」という基準が定められており、不合格の場合は資格取得ができません。その場合は別日に再試験を行い、合格するまで挑戦します。
ですが決して難易度は高くありませんので、テキストや講師の方が重要だといった箇所を覚えられれば、ほぼ落ちることはないです。実際筆者の通っていたスクールでは90%以上が合格していました。
5.合格通知が届く
130時間の通学、自宅学習の提出、試験に合格…という3つをクリアできれば、試験の数日後に合格通知が届きます。合格証明書なども入っていますので、しっかり保管し、面接の際などに役立てましょう。
以上で介護職員初任者研修の流れは終わります。
4)介護職員初任者研修のおすすめ勉強法
1.図や漫画で理解できる介護本を1冊買って読む
スクールに通う前から実践できる勉強法です。
一般的にスクールから配布されるテキストはお堅いものが多く、文章がギッシリで読みづらいものも多いです。そうしてテキストが理解できないと、未経験の場合介護に対して苦手意識を持つキッカケになります。
そのため、本屋などで「介護職員初任者研修の対策本」や「初心者向け介護のテクニック本」など、介護の知識を深められる本を一冊買ってしまうことをオススメします。中でも図解や、漫画でわかる系の本はスラスラと読めるので、かなりおすすめです。
こうしてザックリとでも介護について理解したうえでテキストを読めば、何の予備知識もないまま読むより数倍理解が早くなるはずです。
介護職員初任者研修と併せて利用がおすすめの【図・イラスト付きの教本】
2.講師が「大事」と言ったところにマーカーを引く
これは修業試験などの対策に役立つテクニックです。
一般的に試験は講師陣が作成している場合が多いです。そのため講師の方が授業中に「大事だよ!」と話したところは、そのまま試験に出ることも多いです。
ゆえに、講師の方が大事だと話した箇所はそのままテキストにマーカーを引くなどして目立たせると、後々試験勉強で復習する際に役立ちます。
まとめ)介護職を目指すなら「介護職員初任者研修」は必須!
ここまでの内容をまとめます。
- 介護職員初任者研修は、未経験者にも安心な介護職の入門資格
- 取得していると、就職活動やキャリアアップに有利!
- 介護の基礎が理解できつつ、実践的な技術をプロから学べるのは貴重
- スクールの立地、日程、料金を比較して、最適な講座を選ぼう
「介護職員初任者研修」は、まさに初心者向けの介護資格。すべての介護未経験者が介護の世界に入っていくうえで、必須とも言える知識を身につけられます。
キャリアアップ等にも役立つので、今後介護職に就きたい…と悩んでいるのならば、取得して損をすることは絶対にありません。まずはインターネットなどから検索し、研修について比較検討してみてください。
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