研究開発職になるには?仕事内容・将来性と未経験からの転職のポイント・注意点
[最終更新日]2024/07/08
これまでに培ってきた専門性を活かして、研究開発職に転職したいと考えたことはありませんか?
異業種・他職種から研究開発職への転職は可能なのか、実態を知りたい人もいるでしょう。
目次
1)研究開発職の仕事内容・主な業界
研究開発職の仕事内容
研究開発職は、研究職と開発職の特徴を併せ持った職種です。
研究職には基礎研究と応用研究があります。
基礎研究は理論や法則を発見することを主な目的とする研究領域で、必ずしも商業的な利益につながるとは限りません。
一方、応用研究は基礎研究で得られた知見を元に、産業への活用を目指すことを主な目的としています。
「研究開発職」は、応用研究の延長線上に位置づけられることが多いです。
研究結果を元に実際の商品開発を進め、市場のニーズに応える商品を生み出すことが、主な仕事です。
実際に売れる商品を開発することがミッションとなるため、市場調査など、マーケティングの知識・スキルも求められます。
研究開発職が活躍している主な業界
研究開発職が活躍している業界には、大きく分けて独立系と企業系があります。
独立系とは、シンクタンクや研究機関など、研究開発に特化している事業者のことです。
これに対して、企業系の場合は企業内に研究開発を担うセクションが設置されています。
企業系の研究開発職として活躍できる代表的な業界を見ていきましょう。
ゼネコン
総合建設業者では、建設物の安全性向上を実現する工法の研究や、エネルギー関連の技術開発などが行われています。
近年では脱炭素社会の実現に向けた生産効率の向上なども、ゼネコン各社にとって重要な研究開発テーマの1つです。
マリコン
海洋土木工事や港湾工事を手がける建設業者では、地震や津波への対策や環境保全に関わる研究開発がさかんに行われています。
国の政策とも深く関わる分野であり、研究開発職の活躍の場が数多くある業界です。
住宅メーカー
住宅メーカーでは建築物の構造設計や材料に関する研究開発が行われています。
地震や台風といった自然災害が多い日本においては、建物の強度や耐用年数を向上させるために研究開発職が重要な役割を担っています。
建材メーカー
建材メーカーでは、新たな建材の開発や既存の建材を改良するための研究開発が行われています。
構造・設計に関する工学的な知識や解析技術の知識を駆使して新たな建材を開発し、公的機関の性能証明取得を経て商品化を実現しているのです。
食品メーカー
食品メーカーでは消費者の健康志向や食の安全性に対する関心の高まりを受け、新商品の研究開発が常に行われています。
基礎・応用研究に携わる部門や、製造に関わる生産技術職、顧客との距離が近い営業職など、複数の部門との連携が求められるポジションです。
医薬品メーカー
医薬品メーカーでは各研究所から上がってきた化合物の臨床試験を行い、商品化へとつなげています。
治験の試験内容を決定し、データの収集・解析を担うのが、医薬品メーカーの研究開発職の役割です。
海外の大学や研究機関と共同開発するケースもあるため、語学力が求められることも少なくない仕事です。
2)研究開発職の年収と将来性
研究開発職の平均年収
求人ボックスによると、研究開発職の平均年収は525万円です(2024年7月現在)。全職種の平均年収と比較してやや高い水準と捉えてよいでしょう。
一方で、年収の分布としては300万円台から900万円台と幅広く、経験やスキル、勤務先の給与条件によって年収に差が開く可能性もあることが分かります。
一般的な傾向として、研究開発職として経験を積み役職に就くことで年収が上がるケースが多く見られます。
キャリアアップを実現すれば、将来的に年収800万円以上を目指せる職種です。
以上を踏まえると、全体として平均年収は高めであるものの、就業先の条件や必要なスキルに応じて給与水準が変動しやすい職種といえます。
研究開発職に転職すれば必ず年収アップが実現できるとは限らない点に注意しましょう。
研究開発職の将来性
市場にモノやサービスが溢れている現代社会において、新たな商品の開発は企業にとって生命線といえます。
研究開発職は企業の売上や収益に直結するポジションであるのみならず、安全性や遵法性といった企業の信頼に大きく関わるミッションを担っています。
優れた知見と経験の持ち主は、多くの企業にとって喉から手が出るほど欲しい人材です。研究開発職の職種全体としては十分に将来性が期待できる仕事です。
ただし、企業によって研究開発への投資額は大きく異なります。
研究開発費の予算をどの程度確保するかによって、設備投資をはじめとする研究環境が大きく左右されます。
転職を目指す際には業界・企業研究を入念に行い、研究開発への投資状況や過去の推移を十分に見極める必要があるでしょう。
研究開発職のキャリアパス
研究開発職のキャリアパスには、大きく分けてマネージャーとスペシャリストの2通りがあります。
マネージャーは一般企業の管理職に相当し、リーダーや主任といった役職を経て就任するのが一般的です。
研究部門の統括や研究者の管理が主な役割であり、企業経営とも距離が近いポジションです。
研究に関する知見や経験のみならず、マネジメントや経営に関する幅広い能力が求められます。
スペシャリストとは、研究者として専門領域の研究に専念する人のことです。
特定の分野・領域に長く携わっていくだけでなく、最新の知見を常に取り入れて知識・スキルの研鑽を続けていく必要があります。
研究開発の実務に長く携わっていきたい人にとって、スペシャリストは現実的なキャリアパスといえます。
3)研究開発職に向いている人の特徴
研究開発職への転職を目指すにあたって、自身に適性があるのか、向いているのはどんな人なのか気になっている人もいるでしょう。
研究開発職に向いている人に共通する3つの特徴をまとめました。
探究心を持って粘り強く研究を続けられる人
研究開発は短期間で結果が出るケースは少なく、中長期的な見通しを持って粘り強く取り組むことが求められる仕事です。
自身が立てた仮説が正しいかどうか、実際に商品化が可能かどうか、進めてみないと分からないケースも少なくありません。
暗中模索の状態が続いても決して諦めることなく信念を持ち続ける姿勢は必須といえるでしょう。
新商品の開発や既存商品の改良は、「まだ世の中に存在しないもの」を生み出す作業の連続です。
現状に満足することなく、常に探究心を持って仕事に取り組む必要があります。
困難な目標の達成に向けて地道に取り組むことが楽しいと思えるタイプの人は、研究開発職に向いている可能性が高いでしょう。
知識の習得を自主的に続けられる人
基礎・応用研究の世界は日進月歩です。
研究開発職に携わっていく以上、新しい技術や科学的な知見を常に取り入れていく必要があるでしょう。
学術的な最新動向を注視し、自主的に知識を吸収し続けていくことが求められます。学び続けることに喜びを感じられるタイプでなければ務まらない仕事です。
また、吸収すべき情報は学術分野に限りません。
世の中のニーズやトレンドをくみ取り、商品開発に取り入れていくことが求められます。
所属する企業や業界のトピック以外にも幅広い分野に好奇心を持ち、世の中の「風」をキャッチしていくことが大切です。知識や情報を貪欲に吸収し続けていくタイプの人に適した仕事といえます。
チームワークやコミュニケーション力に長けている人
研究開発の仕事は1人で進めるものではなく、チーム単位で取り組むことになります。
基礎・応用研究を担当する部門や制作部門、営業部門などと協力して商品を開発していくため、チームワークを重視して仕事を進められる人に適した仕事です。
協調性が求められる点は、研究開発への転職を目指すにあたって必ず押さえておく必要があるでしょう。
異なる部門間で協力して仕事を進めるには、コミュニケーション力が欠かせません。
立場の異なる相手の話をじっくりと聞く傾聴力や、自身の考えを正確に伝える論理的思考力が求められます。
これまでにチームで成果を挙げた経験があれば、研究開発職への転職後も強みを活かせるはずです。
4)研究開発職への転職を目指す際に意識すべき3つのポイント
研究開発職への転職を目指すにあたって、意識すべきポイントを紹介します。
転職準備を進める際には、次の3点を実践しましょう。
これまでの経験業務・実績をまとめておく
職種未経験から研究開発職への転職を目指す場合、前職の経験で活かせる知識・スキルをアピールする必要があります。
これまでの経験業務や実績をまとめておき、応募書類や面接で伝えられるように準備しておきましょう。
とくに研究・開発・製造・生産技術といった技術職種の経験は、研究開発に活かせる可能性が高く評価されるケースも多いです。
職務経歴書を作成する際には、アピールしたいスキル・経験を抽出してまとめたほうが伝わりやすいはずです。
業務経験以外にも、大学・大学院での研究内容や研究成果で研究開発に活かせる要素があれば、積極的にアピールすることをおすすめします。
研究開発職に就いた後のキャリアビジョンを明確にしておく
転職活動では研究開発職に「就くまで」にフォーカスしがちですが、実際に転職した後のキャリアビジョンを明確にしておくことも非常に重要です。
採用する企業側としては、応募者を採用すべきか検討する際に中長期的なメリットを見極めて決定を下します。
入社後のビジョンが明確になっていれば長期にわたって活躍してくれる可能性が高く、採用するメリットが十分にあると判断されやすいでしょう。
研究開発職として将来的にスペシャリストを目指したいのか、マネージャーとしてのキャリアを歩みたいのか、大枠の方向性を定めておく必要があります。
その上で、直近で研究開発に携わってみたい商品を将来像から逆算して伝えることが大切です。
補足:キャリアプランとキャリビジョンについて
キャリアプランとは、あなたが将来に望む仕事や働き方を実現するためのプランニング(行動計画)のことをいいます。
その際に、キャリアプランとセットで使われる言葉に「キャリアビジョン」があります。 キャリアビジョンは、あなたが未来に「こういう働き方をしたい」というイメージのことです。
つまり、まず「目標」としてキャリアビジョンを描き、それを実現するためにキャリアプランを立てるということです。
キャリアビジョンとキャリアプランは、以下のように表に落とし込むことによって考えやイメージを整理しやすくなります。
キャリアビジョン、キャリアプランの作成表
キャリアビジョン、キャリアプランの作成表(記入例)
キャリアビジョン (仕事で実現したいこと) |
キャリアプラン (そのためにやるべきこと) |
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1年後 |
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3年後 |
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5年後 |
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10年後 |
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「キャリアビジョンのイメージが持てない」という人は、さきに「キャリアの棚卸し」を行っておくことをおすすめします。
以下の記事にキャリアの棚卸しの進め方を紹介しています。興味のある人はあわせてご覧ください。
研究開発職への転職支援に強いエージェントを活用する
研究開発職に未経験から転職する場合、転職支援実績の豊富な転職エージェントを活用することをおすすめします。
研究開発職と一口に言っても、企業によって求めるスキルや経験は千差万別です。
人材募集の背景や採用担当者が求める能力を把握しているプロの知見を借りることで、転職成功率を高められます。
研究開発への転職におすすめの転職エージェントについては、次章に手詳しく紹介します。
5)研究開発職への転職におすすめの転職エージェント
アカリクキャリア
大学院出身者と研究者の転職支援に特化したエージェント。書類通過率50%以上の、丁寧な選考サポートが特徴です。
アカリクキャリアは技術者・専門職特化の転職エージェントで、主に院卒・研究者の人たちの転職支援を行っています。
とくに都市部のIT・通信・Web系の求人が豊富で、研究開発職の求人は約1,400件(2024年7月現在)あります。
アカリクキャリアの強みは、コンサルタントの技術知識レベルが非常に高いこと。
半導体エンジニアへのキャリアパスについても、専門的な知見からアドバイスを受けやすいでしょう。
また、紹介される求人も大手企業のものが多いです。
書類添削、面接対策のサポートも丁寧で、書類選考の通過率は50%以上(公式サイトより)と非常に高い数値をキープしています。
アカリクキャリアの評判とおすすめの人
アカリクキャリアを利用した人の声としては「中長期的なキャリアを見据えた提案をしてくれた」「希望に合わせて、適切な求人紹介をしてくれた」など、研究職・技術職の「その先のキャリア」を踏まえてのサポートを行ってくれたことを高く評価するものが多く見られます。
一方、紹介求人は基本「空き枠採用」となるため、全体の数はやや少なめです。
時期によっては「すぐに紹介できる求人がない」場合もあります。そのため、アカリクキャリアを利用時は、中長期的に「いい案件があったら始動する」スタイルで利用するのがよいでしょう。
アカリクキャリアの特徴
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サービス対応地域 | 全国 |
拠点 | 東京 |
研究開発職の求人数 | 約1,400件(2024年7月現在) |
メイテックネクスト
メーカー系の研究開発職におすすめの転職エージェント。研究開発を熟知したコンサルタントによる、機械的な要件のみに頼らない柔軟なマッチングが可能です。
メイテックネクストは、1974年の設立以来、延べ数千社におよぶメーカーにエンジニアを派遣してきた実績を持つメイテックグループが運営する転職エージェントです。
研究開発職の公開求人数は、約900件(2024年7月現在)。担当コンサルタントからは、深い技術知識にもとづいたキャリア分析とアドバイスを受けられます。
業界専門コンサルタントがプロの視点からキャリア分析をするため、転職希望者自身も気づいていない「適職」の提案と、企業ごとの内情を踏まえたアドバイスを受けることができます。
メイテックネクストの評判とおすすめの人
メイテックネクストを利用した人の声としては「専門的な知識を持つコンサルタントに担当してもらうことができ、安心できた」「大企業の求人が多く、書類通過率も高かった」など、専門性の高さやアドバイスの的確さを高く評価するものが多く見られます。
登録してからは、コンサルタントとの面談機会を多く持つことを意識するとよいでしょう。2回目、3回目と回数を経ることによって、担当コンサルタントがあなたの希望や志向をより深く理解してくれるようになります。
メイテックネクストの特徴
特徴 |
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研究開発職の公開求人数 | 約900件(2024年7月現在) |
サービス対応地域 | 東京・愛知・大阪・福岡 |
運営会社 | 株式会社メイテックネクスト |
Laboしごと
一人ひとりのキャリアパスにあわせて求人を紹介してくれる、バイオ・化学系職種の転職支援に特化した転職エージェントです。業界知識の豊富な担当者から、転職とキャリア双方の支援を受けられます。
Laboしごとは、バイオ・化学系職種の転職支援に特化した転職エージェントです。
同サービスの特徴は、一人ひとりのキャリアパスにあわせて求人を紹介してくれることです。
「プロフェッショナルの生涯価値の向上」をミッションに掲げており、個人の経験やスキルを踏まえたうえで、正社員にかかわらず、派遣も含めてライフスタイルやその時々のシーンに合わせたさまざまな働き方を提案してくれます。
研究職の転職では、「そもそも、どのような求人があるのか」「民間企業と公的研究機関では、どちらがいいのか」など、キャリアの方向性がわからずに悩む人が多いです。
Laboしごとでは、転職の希望条件をヒアリングし、キャリアの悩みを一緒に考えてくれます。
求職者の悩みを把握したうえで、将来のキャリアも見据えながら、適切なアドバイスをしてくれることが強みです。
これからのキャリアについて不安を抱えている人は、心強い味方となってくれるでしょう。
Laboしごとの特徴
特徴 |
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サービス対応地域 | 東京・神奈川・埼玉・千葉 |
拠点 | 東京 |
研究開発職の求人数 | 約200件(2024年7月現在) |
リクルートエージェント
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リクルートエージェントの特徴
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サービス対応地域 | 全国 |
研究開発職の公開求人数 | 約2.9万件(2024年7月現在) |
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その後「応募や企業への交渉についてサポートしてほしい」となったときに、エージェントサービスを利用することもできます。
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doda登録の際に入力するWebレジュメに、これまでの経歴と併せて研究開発職への意向をPRしておくとよいでしょう。
希望する条件に合致する企業からのスカウト・オファーが届く確率を高められます。
dodaの特徴
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サービス対応地域 | 全国 |
研究開発職の公開求人数 | 約1.6万件(2024年7月現在) |
dodaは求人を自分から応募可能ですが、エージェント経由でのみ紹介される非公開求人も多いです。担当エージェントには初回面談時に希望条件をしっかり伝えておくことで、より有意義なサポートを受けられるでしょう。
まとめ)研究開発職への転職は狭き門。だからこそ事前準備を入念に!
研究開発職は企業の将来を担う重要なポジションであり、企業としても高い期待を寄せている職種といえます。
そのため人材を厳選して採用する企業が多く、転職の難易度は決して低くありません。
前職までの経験や体得したスキルを効果的にアピールし、入社後の活躍に期待してもらえるかどうかが転職成功のカギを握るでしょう。
今回紹介してきたポイントを参考に、事前準備を入念に整えた上で転職活動に臨んでください。
商品開発担当者としてどのようなキャリアを歩んでいきたいのかを明確にしておくことで、選考においても採用担当者の心に残るアピールができるはずです。