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「感謝できない自分が嫌い」──人に心から感謝をすることができないと感じたときの処方箋

[最終更新日]2025/07/31

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「感謝できない自分が嫌い」|人に心から感謝をすることができないと感じたときの処方箋

誰かが親切にしてくれたとき、あるいは普段お世話になっている人たちに対して、素直に感謝の気持ちが湧いてこない自分に、罪悪感を抱いたことはありませんか。

感謝すべきなのに、感謝できない私はおかしいのかもしれない」──そんな風に自分を責めてしまうとき、実は心が疲れていて、感謝を受け取る余裕を失っているだけかもしれません。

この記事では、“感謝できない”自分との向き合い方をお届けします。

目次

まず立ち止まって考えたい問いがあります。
──相手が自分を思ってくれているとき、感謝しなければならないのでしょうか?

「ありがたく思うべき」と頭では理解していても、どうしても気持ちが追いつかない。そんなときに湧いてくる違和感や葛藤を、少しずつ紐解いていきましょう。

心の余裕がないとき、「ありがとう」は出てこない

ストレスが続くと、優しさも届きにくくなる。

ストレスや疲れが続いていると、人のやさしさをそのまま受け取るのが難しくなることがあります。
それは性格の問題ではなく、心や身体が限界に近づいているときに起きる、ごく自然な反応だとされています。

心理療法家ポール・ギルバートは、慢性的なストレス状態にあると、心の“受け取る器”が無意識のうちに閉じてしまう傾向があると説明しています※1

このような状態では、相手の善意がどれほど明らかであっても、感謝の気持ちを抱くには想像以上のエネルギーを要することもあるのです。

※1 参考:Introducing compassion-focused therapy _ Advances in Psychiatric Treatment _ Cambridge Core.

感謝できないとき、人は自分をもっと傷つけてしまう

「感謝しなきゃ」が、心を苦しめていく。|感謝しなきゃ…!!

厄介なのは、感謝できない自分を責めることで、心の疲弊がより深刻になることです。

心理学の研究によれば、感謝を「返さなければならないもの」と捉えると、自尊心が低下し、精神的な負担が強まる傾向があると報告されています※2

本来、感謝は人を軽くするはずの感情ですが、ときにそのことで自分を苦しめてしまうこともあるのです。

「感謝しなきゃ」と思えば思うほど、不思議とその気持ちが遠のいてしまう。
そんな逆転現象のような経験をしたことがある方も、少なくないのではないでしょうか。

※2 参考:The Debt of Gratitude_ Dissociating Gratitude and Indebtedness.

ところで、「感謝」とはそもそも、どういうものなのでしょうか。

誰かに「ありがとう」と伝えるのは、単なる礼儀なのか。それとも、もっと深い意味があるのか。日々のなかで当たり前のように使っているこの言葉には、どんな背景や定義があるのか。
ここでいちど、立ち止まって見つめ直してみたいと思います。

感謝は「返さなきゃ」の義務じゃない

「ありがとう」は自然と生まれてくるもの

実用日本語辞典によると、「感謝」とは次のような意味です。

人や自然などから恵みや厚意を受けたことを「ありがたい」と思うこと、および、その気持ちを相手に表明する(礼を言う)ことを意味する表現。

この説明に違和感を覚える人は少ないと思いますが、いざ感謝するとなると、それを義務のように感じている人も多いのではないでしょうか。

これに対して哲学者カントは、感謝を「不完全義務(完全に義務といえるものではない)」と位置づけ、“誰かから強制されるべきものでもない”と述べています※3

また心理学者トニー・マネラは、感謝に対して「真の感謝」と「義務感からくる負債感」とで、はっきり区別されるべきと指摘しています※4

これらの考えから見えてくるのは、感謝の気持ちは「義務」と切り離して考えるべきだということです。
つまり、「感謝しなければ」とプレッシャーを感じたとき、それはすでに自然な感謝の感情から離れてしまっている可能性があるのです。

※3 参考:The metaphysics of morals|Immanuel Kant
※4 参考:(PDF) Negative Feelings of Gratitude

「感謝しているときの脳」は、じつは穏やかに整っている

「ありがとう」は心も脳も整えてくれる

その一方で、感謝の感情自体は「脳にポジティブな影響を与えること」が、多くの研究結果で示されています。

感謝の心理学で知られるロバート・エモンズによる2003年の研究では、週に一度、感謝できる出来事を日記に記録した人々が、そうでない人に比べて幸福度とレジリエンス(心の回復力)が有意に高まったと報告されています※5

また、2022年の神経科学研究(Fox)では、感謝を感じているときには脳の前頭前皮質が活性化し、「感情のコントロールがスムーズに働く」ことが明らかになりました※6

つまり、感謝しているとき、脳は自然と穏やかで安定した状態に向かっていくのです。

こうした研究が示しているのは、感謝は「しなければならない」ものではなく、本来、心と脳にとって無理のない、健やかな状態だということでしょう。

※5 参考:Counting Blessings Versus Burdens: An Experimental Investigation of Gratitude and Subjective Well-Being in Daily Life
※6 参考:The Neuroscience of Gratitude and Effects on the Brain.

幸せがともなわない「ありがとう」は、感謝じゃない

ここまでをふり返ると、感謝とは「心が動いたときに自然と生まれるもの」と言えるでしょう。

義務感から口にする「ありがとう」や、罪悪感でしぼり出す言葉は、本来の感謝とは少し違います。

心が疲れているときは、無理に感謝を表そうとしなくてもいいのかもしれません。
「いまは感謝できない」と認めることが、あらためて感謝に向き合うための出発点になることもあります。

感謝の本質を理解したところで、「では感謝できない今をどう過ごせばいいの?」という疑問が湧くかもしれません。無理をせず、小さなステップから始められる実践的なアプローチをご紹介します。

処方箋1. まずは「ありがとう、自分」から始めよう

今日も1日がんばれた。ありがとう!

他人に感謝するのが難しいときは、まず自分に感謝してみることから始めてみてください。

ここまでお伝えしたように、感謝の気持ちは、脳の情動を穏やかに整える効果があります。
けれど、心が疲れているときに他人へ感謝を向けることを負担に感じてしまうこともあるでしょう。

そんなときは、自分に向けて「ありがとう」と言ってみるのです。
「今日も一日がんばったね」「疲れてるのに、ちゃんと出勤できたよ」──そんなふうに、自分の小さな努力を見つけて、そっと労ってあげる。

これは甘やかしではなく、必要なケアです。
セルフ・コンパッション(自分への思いやり)を高めることで、ストレス反応が和らぎ、情動の安定につながることが、心理学者クリスティン・ネフの研究でも示されています※7

自分の小さな努力や疲れに目を向け、それを認めること。
こうした穏やかな習慣が、心の回復を促し、少しずつ他者への感謝の気持ちを取り戻す助けにもなります。

※7 参考:The Role of Self-Compassion in Development_ A Healthier Way to Relate to Oneself – PMC

>処方箋2.気持ちが追いつかないときは、行動から始めてみる

「覚えておくこと」から始めてみる

「相手の想いに、うまく感謝を返せない」と感じるときは、まずその行為を忘れないことを”意識”することをおすすめします。

古代ローマの哲学者セネカは『恩恵について』の中で、「覚えていることこそ最大の返礼だ」と述べています※7
たとえ今、心から感謝できなくても、誰かがしてくれたことを静かに記憶にとどめておく。──それだけでも、十分に敬意を示しているとセネカは語ります。

また、感情は行動のあとに育つこともあります。

感謝の気持ちがまだ湧かなくても、お礼の言葉をひとこと伝えてみる。あるいは、相手の幸せをそっと願ってみる。
そうした小さな行動が、あとから感謝の感情につながっていくこともあるのです。

※7参考:On Seneca, de Beneficiis, Books 1-2 – Theopolis Institute

処方箋3. ありがとうを“返す”より、“巡らせる”

※文字なし(カフェでの会話シーン)

筆者が社会人なりたての頃、よく昼食をご馳走してくれる10歳上の先輩がいました。

さすがにご馳走の機会が多くなってきたので、「申し訳ないので、次回は自分がご馳走したい」と伝えたところ、その先輩は笑いながらこう言いました。

お前が俺の歳になったら、同じように後輩に奢ってやってよ。そうやって世の中は回ってんだから。

この時私は、たしかに「この恩を返さなければならない」というプレッシャーを感じていたのですが、先輩は「直接返すのではなく、第三者に親切を巡らせたほうがいい」と言ってくれたのです。
これを聞いたとき、ふっと心が軽くなって、優しい気持ちになれたことを記憶しています。

こうした行為は「恩送り」と呼ばれます。
つまり、受けた好意をその人に返すのではなく、別の誰かに渡していくという考え方です。

Grant & Gino(2010)の研究では、この「恩送り」が受け手の心理的負担を和らげ、感謝の気持ちを前向きに広げる効果があると示されています※8

感謝を「閉じたやりとり」ではなく、「ひらかれた流れ」として捉える。
私たちが暮らすこの世界自体も、そうしてひとつひとつの感謝が誰かのもとへと届きながら、広がってきた結果なのかもしれません。

※8 参考:A little thanks goes a long way: Explaining why gratitude expressions motivate prosocial behavior.

「ありがとう」をゆっくり育てていこう

感謝できないとき、そこにはきっと「感謝ができない理由」があるはずです。
そして真の感謝の気持ちとは、心が整い、余裕が戻ったときに、ふと生まれてくるものでしょう。

「返さなきゃ」「ありがたく思わなきゃ」という焦りが強くなるほど、感謝の感情は遠ざかってしまうこともあります。そんなときは、まず自分をいたわること、覚えておくこと、そして無理のない範囲で行動すること。

そして、感謝は、“するもの”ではなく、“巡っていくもの”と考えてみる。

自分のペースで、ゆっくりと。
かたちにとらわれすぎず、少しずつ自分の感情と向き合っていくなかで、感謝の気持ちは育っていくはずです。

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