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「今が不幸だったら、きっとこれから幸せになれる?」“塞翁が馬”のほんとうの話

[最終更新日]2025/05/31

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不幸の後に幸せはやってくる?

どうして自分ばかり、こんなにツイていないんだろう……
仕事、恋愛、家族、健康、人間関係。30代・40代になると、人生の“壁”や“つまずき”に直面することが増えてきます。
同年代の友人が幸せそうに見えて、「自分だけがこんなにも不幸なんじゃないか」と感じてしまう夜もあるかもしれません。

中国の古いことわざ、「塞翁が馬(さいおうがうま)」には「人生に起こる幸せも不幸も、長い目で見ればわからない」というメッセージが込められています。

でも、それは本当なのでしょうか?「不幸のあとに幸せはやってくる」なんて、単なる慰めの言葉ではないのでしょうか。

目次

「塞翁が馬」の由来と、現代人に響く理由

塞翁が馬

「塞翁が馬」とは、中国の古い物語に登場する言葉です。

あるとき、老人(塞翁)が飼っていた馬が逃げてしまい、周囲は「なんて不幸なんだ」と嘆きました。ところが、しばらくするとその馬が立派な馬を連れて帰ってきて、今度は「幸運だ」と喜びます。
しかし、その馬に乗った老人の息子が落馬して足を折ってしまい、また「不幸だ」と嘆かれるのです。――けれど、そのケガのおかげで息子は戦争に行かずにすみ、命を救われたのでした。

この話が伝えたいのは、「その時その時の“幸・不幸”だけを見て一喜一憂しないで、長い目で人生を見てごらん」ということ。
現代社会でも、思い通りにいかないことや「なんで自分だけ?」と思う瞬間はたくさんあります。だからこそ、「塞翁が馬」は、悩む私たちの心にもどこか響くのかもしれません。

人間の脳は、幸せも不幸も「慣れてしまう」

人は幸せにも不幸にも、やがて慣れてしまう

心理学には「快楽適応」という考え方があります。これは、「人はどんなに嬉しい出来事も、どんなにつらい経験も、やがて慣れて元の気持ちに戻っていく」というものです。

たとえば、宝くじの高額当選者と事故による下半身不随の被害者を比較した有名な研究(Brickman, Coates & Janoff-Bulman, 1978)では、どちらのグループも時間が経つにつれ、日常の幸福度が一般人と大差ない水準に戻る傾向が観察されました*1。

また、日々の気分や幸福感が一時的に大きく変動しても、数カ月~1年ほどで「自分らしい幸福度」に自然と戻ることが、さまざまな心理学的縦断研究で示されています*2。

つまり、「今の不幸や不運も、一生続くわけじゃない」。人間には、たとえ大きな波がきても、少しずつ“自分らしい幸せ”に戻る力が備わっているのです。

*1 Brickman, P., Coates, D., & Janoff-Bulman, R. (1978). Lottery winners and accident victims: Is happiness relative? Journal of Personality and Social Psychology, 36(8), 917-927.
*2 Lucas, R. E., Clark, A. E., Georgellis, Y., & Diener, E. (2004). Unemployment alters the set point for life satisfaction. Psychological Science, 15(1), 8-13.

ときに、「持続する不幸」もある

人生に関わる大きな変化は、心の回復にも時間がかかる

とはいえ、どんな出来事も「いつか慣れる」と言い切れるわけではありません。
最新の研究では、「失業」「離婚」「重い病気」「大切な人との死別」などの経験は、何年経っても幸福度がなかなか元に戻らないケースがあることが分かっています。

たとえば、ルーカス博士らによる大規模パネル研究(Lucas et al., 2004/2007)では、失業や離婚、障害の発症がその後何年も幸福度の低下を引きずる例が多く見つかりました*2*3。
特に「仕事」や「健康」など、人生の土台に関わる大きな変化は、心の回復にも時間がかかる傾向があります。

*3 Lucas, R. E. (2007). Long-term disability is associated with lasting changes in subjective well-being: Evidence from two nationally representative longitudinal studies. Journal of Personality and Social Psychology, 92(4), 717-730.
*4 Clark, A. E., Diener, E., Georgellis, Y., & Lucas, R. E. (2008). Lags and leads in life satisfaction: A test of the baseline hypothesis. Economic Journal, 118(529), F222-F243.

ほどよい逆境が、幸せを続ける力になる

適度な逆境を経験すると、幸福度が高く、ストレスにも強くなる

心理学の研究では、「適度な逆境を経験している人」のほうが、幸福度が高く、ストレスにも強くなれる傾向があることが示されています。

アメリカの大規模な調査(Seery et al., 2010)によると、まったく逆境を経験していない人や、あまりにも多くの困難にさらされた人よりも、「ほどよい苦労を乗り越えてきた人」のほうが、持続的な幸福感や心の回復力が高いという結果が出ました*5。

この「心の回復力」は、心理学でレジリエンスと呼ばれます。
レジリエンスとは、困難やストレスに直面したときに、折れずに立ち直る力のこと。これは、先天的な性格ではなく、後から誰でも鍛えたり育てたりできるものだとされています*6。

つまり、今あなたが経験しているつまずきや苦しみも、未来の自分を支える“力”になっていく可能性があるのです。

*5 Seery, M. D., Holman, E. A., & Silver, R. C. (2010). Whatever does not kill us: Cumulative lifetime adversity, vulnerability, and resilience. Journal of Personality and Social Psychology, 99(6), 1025-1041.
*6 Southwick, S. M., & Charney, D. S. (2012). Resilience: The Science of Mastering Life’s Greatest Challenges.

「小さな目標」や「生きる意味」が、幸福度を支えてくれる

小さな目標を見つけられる人は、回復も早く、幸福感も高まりやすい

つらい出来事や逆境に直面したとき、「ただ耐えるだけ」では心が疲れてしまいます。
そんなとき、ほんの小さな目標でも「自分にとっての意味」や「希望の種」を見つけられる人は、回復も早く、幸福感も高まりやすいことが、心理学の研究でわかっています。

実際に、「人生に意味や目的を感じている人」は、困難な状況でも主観的幸福度が高いという傾向が、国内外の多数の調査で報告されています*7。

「この経験には、どんな意味があるだろう?」
「今の私に、できる小さなことは何だろう?」
――そんな問いかけが、心を前向きに整える手がかりになるのです。

たとえば、ナチスの強制収容所を生き抜いた精神科医ヴィクトール・フランクルは、その著書『夜と霧』の中で、「たとえ今は意味がわからなくても、“生きることそのものに意味がある”と信じる姿勢が、人間の尊厳を守る」と説きました*8。

逆境に意味づけを与えることは、自分を騙すことではなく、“心の居場所”を作るための行動です。どんなに小さな目標でも、それが希望へとつながる第一歩になります。

*7 Steger, M. F., Kashdan, T. B., Sullivan, B. A., & Lorentz, D. (2008). Understanding the search for meaning in life. Journal of Personality, 76(2), 199-228.
*8 Frankl, V. E. (2002). Man’s Search for Meaning(『夜と霧』)。

一人で抱え込まない——人間関係が幸福を支える理由

良い人間関係は人生の満足度を高める

人は「つながり」の中でこそ、つらさから回復しやすくなります。
良好な人間関係や社会的サポートは、長期的な幸福度の最大の土台のひとつ。たとえば、ハーバード大学が80年以上続けている“成人発達研究”では、「人生の満足度や幸福感を高める最大の要素は、“良い人間関係”である」と何度も結論付けられています*9。

また、困ったときに相談できる友人や家族、誰かに自分のことを話せる場があるだけでも、メンタルの回復力が大きく高まることが分かっています*10。
「こんなこと、話しても仕方ない」と思い込まず、まずは誰か一人でも信頼できる人と話してみる――それが、「不幸を糧に変える」ための第一歩になるかもしれません。

*9 Waldinger, R. J., & Schulz, M. S. (2023). The Good Life.
*10 Cohen, S., & Wills, T. A. (1985). Stress, social support, and the buffering hypothesis. Psychological Bulletin, 98(2), 310-357.

幸せは、必ずしも偶然訪れるものではなく、経験を通して築かれていくものでもある

困難を経験した人は、人生に新しい意味を見出すことがある

心理学の研究によると、大きな困難やトラウマを経験したあと、人はただ傷つくだけでなく、以前よりも自分を深く理解し、人生に新しい意味を見出すことがあるとされています。

たとえば、アメリカの心理学者テデスキとカルフーンの研究(2004)では、深い喪失や事故、病気などを経験した人の約半数が、「自己への信頼が強まった」「他人への思いやりが増した」「生きる意味を見つめ直すきっかけになった」と答えています*11。

こうした変化は、「心的外傷後成長(Post-Traumatic Growth:PTG)」と呼ばれています。
つまり、不幸な出来事がそのまま“終わり”になるのではなく、自分自身の中にある強さや価値観を再発見する「始まり」にもなりうるということです。

ここで大切なのは、「塞翁が馬」のように“いつか運が巡ってくる”のを待つのではない、という点です。
この成長は、外から幸せが舞い込むのを期待するのではなく、不幸な経験を通して、自分の内側に“幸せを育てる力”が芽生えていくということを意味しています。

だからこそ、今あなたが感じている痛みや戸惑いにも、やがて「自分自身を強くしてくれた出来事だった」と思える日が来るかもしれません。
幸せは、必ずしも偶然訪れるものではなく、経験を通して“築かれていくもの”でもあるのです。

*11 Tedeschi, R. G., & Calhoun, L. G. (2004). Posttraumatic growth: Conceptual foundations and empirical evidence. Psychological Inquiry, 15(1), 1-18.

不幸を感じているときほどやってみてほしい「小さな行動」

小さな行動の積み重ねが幸福度を上げる

どんなに理屈で納得しても、「今、つらい」「今、何も変わらない」と感じてしまうのが人間です。
でも、幸福度を高めるには、「小さな行動」を積み重ねていくことが、科学的にももっとも効果的だと分かっています*12。

例えば、心理学の研究では、「自分が今日できたこと」を1つ書き出す、「小さな感謝日記」をつける、1日に1回だけでも誰かに“ありがとう”や“お疲れさま”を伝える――そんなシンプルな行動が、2週間〜1か月で幸福感を高める効果が実証されています*12*13。

どんなにささやかなことでも、「今日うれしかったこと」を毎日ノートに書いてみる(感謝日記)、誰かにちょっとした親切をしてみる(ドアを開けてあげる、ゴミを拾う、同僚にコーヒーを差し入れるなど)、これらはすべて、実際に幸福度が上がると世界中の研究で繰り返し示されています(Seligman et al., 2005; Layous et al., 2012)*14*15。

「自分の不幸ばかりに目が向いてしまう」時ほど、あえて「小さな良いこと」に目を向ける――それが、少しずつ気持ちを前向きに変えていく“ベイビーステップ”になります。

*12 Lyubomirsky, S., Sheldon, K. M., & Schkade, D. (2005). Pursuing happiness: The architecture of sustainable change. Review of General Psychology, 9(2), 111-131.
*13 Emmons, R. A., & McCullough, M. E. (2003). Counting blessings versus burdens. Journal of Personality and Social Psychology, 84(2), 377-389.
*14 Seligman, M. E. P., Steen, T. A., Park, N., & Peterson, C. (2005). Positive psychology progress: Empirical validation of interventions. American Psychologist, 60(5), 410-421.
*15 Layous, K., Lee, H., Choi, I., & Lyubomirsky, S. (2012). Culture matters when designing a successful happiness-increasing activity. Journal of Cross-Cultural Psychology, 44(8), 1294-1303.

「どうしても行動できない日」はどうする?—自己肯定のコツ

自分を責めずに、できたことを褒める

それでも、「何もやる気が起きない日」「誰にも会いたくない日」もあるはずです。
そんなときは、「今日はベッドから起きられた」「コンビニまで行けた」――どんなに小さなことでも、自分を責めずに“できたこと”を認めてあげるのが大切です。

心理療法でも、自己肯定感を取り戻すために“自分に優しくする(セルフ・コンパッション)”ことが推奨されています(Neff, 2003; Gilbert & Procter, 2006)*16*17。

「今日もダメだった」と思う代わりに、「今日も生き抜いた自分、よくやった」と声をかけてみましょう。
心が沈む日も、塞翁が馬の物語のように「あとから意味が見えてくる日」がきっと訪れます。

*16 Neff, K. D. (2003). Self-compassion: An alternative conceptualization of a healthy attitude toward oneself. Self and Identity, 2(2), 85-101.
*17 Gilbert, P., & Procter, S. (2006). Compassionate mind training for people with high levels of shame and self-criticism. Clinical Psychology & Psychotherapy, 13(6), 353-379.

「塞翁が馬」が本当に伝えたいのは、「今がすべてではない」ということ

焦らず、比べず、自分の歩調で

ここまで読んで、「前向きに考えるのは、やはり自分には難しい」と感じた方もいるかもしれません。そう思うのは、ごく自然なことです。気持ちが追いつかない日があるのは、人として当然のことです。

ですので、無理をする必要はありません。
もし、今の自分にできそうなことがひとつでも見つかれば、そこから始めてみる。小さな行動でも、少しずつ気持ちや状況が動いていくことがあります。

「塞翁が馬」の物語が伝えているのは、今の出来事が人生のすべてではないという視点です。

この先、どんな変化があるかは分かりません。けれど、今の経験が、いつか自分を支えるものに変わる可能性もあります。
焦らず、比べず、自分の歩幅で。そうして日々を過ごしていくことにも、きっと意味があるはずです。

今の不幸は、将来の幸せの「材料」かも

ここまでの内容を、いちど振り返ってみましょう。

  • 「塞翁が馬」は、目の前の出来事が人生のすべてではないと教えてくれる
  • 人の心は、幸せにも不幸にも徐々に慣れていく性質を持っている
  • ただし、すべての苦しみが短期間で癒えるわけではなく、時間が必要な場合もある
  • 幸せを築いていける人に多く見られる共通点に、「ほどよい逆境」「目標・意味づけ」「人間関係」がある
  • 小さな行動の積み重ねが、気持ちを前向きに整える手がかりになる
  • 幸せは偶然だけでなく、自分の経験を通して形づくっていけるものでもある

つらさの中にいると、「このまま何も変わらないのでは」と感じることがあります。
でも、不幸や痛みは、それだけで終わるとは限りません。
時間とともに、意味や学びへとかたちを変え、将来の自分を支える「材料」になることもあります。

そして、今日できる小さな一歩が、未来のあなたにとっての支えになっていくかもしれません。
「今がすべてではない」という視点を、ふと思い出せるだけでも、そこから何かが少しずつ動き出すことがあります。

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